道路構造物ジャーナルNET

優秀賞は『循環式エコクリーンブラスト工法』など2工法

令和二年度『日本建設機械施工大賞』最優秀賞は『トンネル覆工コンクリート自動施工ロボットシステム』

公開日:2020.07.23

 一般社団法人日本建設機械施工協会は、令和二年度『日本建設機械施工大賞』を発表した。最優秀賞は清水建設・西日本高速道路・岐阜工業が開発した『トンネル覆工コンクリート自動施工ロボットシステム』、優秀賞には環境に配慮した鋼橋の予防保全工法としてヤマダインフラテクノス㈱・循環式エコクリーンブラスト研究会が開発した『循環式エコクリーンブラスト工法』など2工法が選ばれた。
 他受賞は以下の通り。
 優秀賞『1人乗り除雪グレーダの安全性向上の検討 近接車輛検知システムの開発』(国土交通省東北地方整備局東北技術事務所)
 選考委員会賞『「重機搭載レーザー計測システム」の開発~日々の出来形測量を省略~』(フジタ・ジオサーフCS)、『パイロット孔が不要な押し切り式ワイヤーソー装置「ディープノンループカッター」』(大林組・コンセック)
 地域賞部門最優秀賞『3Dマシンガイダンス【E三・S】』(佐藤工務店)。

 『トンネル覆工コンクリート自動施工ロボットシステム』は、湯浅御坊道路の川辺第二トンネルなどで導入している技術。生コンクリート配管の切替えにマニピュレータ方式を採用し,打設高さと連動する自動化・ロボット化を行った。従来、生コンは投入方式としていたが、全高さにおいて、中流動コンクリートの特性を最大限活用した吹上げ打込み方式とする新しい機構とした。圧送ポンプ、多数の圧力、温度、加速度センサー群から得られるデジタル信号と機械システムを連携制御することにより、覆工作業主任者を含む 2 名での施工が可能である。施工状況は、無線端末を含むモニタにて可視化しており、デジタルデータ駆動型の覆工コンクリート自動施工を実現している。
 将来はワンマンでの施工も目指している。


覆工自動施工システムの外観と湯浅御坊道路のトンネルでの施工状況

覆工自動施工システム概要図と、PCシステムで集中制御・打設状況可視化を行っている内容

 エコクリーンブラスト工法は、金属系研削材を循環再利用するシステムを導入し、従来ブラスト工法施工における非金属系研削材の破砕による産業廃棄物の発生を、約 1/40 にまで削減することを可能としたもの。産業廃棄物の運搬・処理により排出される温室効果ガスや処理費用も大幅に削減できる。また、研削材の破砕により発生していた大量の粉じんを抑えることも可能とした。実績は昨年末までに累積施工実績100万m2を超えている。


循環式エコクリーンブラスト工法の施工状況と施工完了後の鋼材下地

 加えて鋼橋の疲労を軽減するショットピーニングも期待できる『エコクリーンハイブリッド工法』の適用も進めている。腐食による損傷はブラスト工程を含んだ重防食塗装への塗替え(Rc-Ⅰ塗装系)で予防できるが、「疲労き裂」に対する予防保全工法は確立していない。これについてブラスト用研削材をピーニング用特殊鋼球に置き換えることで、既設鋼橋へのショットピーニングが可能となり、疲労強度向上効果があることを実証した。施工対象は、疲労き裂の発生しやすい溶接部とその近傍。施工後の出来形管理はピーニング用特殊鋼球による打痕が一様についたかを機械的に図ることでカバレージ率(90%以上を2回確認)を確認する。
 ブラスト施工後にショットピーニング工程という選択肢が追加されたことで、より効果的な鋼橋の予防保全が可能となり、受賞した両者は同工法の適用を積極的に進めている。


ショットピーニング施工状況と出来形管理状況
(2020年7月23日掲載)

ご広告掲載についてはこちら

お問い合わせ
当サイト・弊社に関するお問い合わせ、
また更新メール登録会員のお申し込みも下記フォームよりお願い致します
お問い合わせフォーム