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業績部門では髙木千太郎氏・井岡隆雄氏ほか4名が受賞

土木学会 2019年度田中賞を発表 横浜港北ジャンクション高架橋、史跡鳥取城跡擬宝珠橋などが受賞

 土木学会は14日、2019年度土木学会賞の授賞を発表し、「田中賞」作品部門では新設4橋、改築4橋、技術1件が受賞した。新設の4橋は「横浜港北ジャンクション高架橋」「菰野第二高架橋」「豆谷大橋」「Myaung Mya Bridge」、改築は「史跡鳥取城跡擬宝珠橋」「錐ヶ瀧橋の拡幅」「櫃石島高架橋(トラス部)の耐震補強」「大槌川橋りょう」の4橋、技術は「回転杭工法」の1件だ。

「田中賞」業績部門では、「道路橋のアセットマネジメントによる戦略的予防保全管理の提唱と実現への貢献」により髙木千太郎氏((一財)首都高速道路技術センター(上席研究員))、「コンクリート橋梁における建設技術および合理化施工の開発と発展への貢献」により井岡隆雄氏(オリエンタル白石(株)特別顧問(前同社代表取締役社長))のほか、五十畑弘氏(道路文化研究所特別顧問)、本田秀行氏(金沢工業大学・教授)の4名が受賞した。


作品部門【新設】

 横浜港北ジャンクション高架橋は、供用中の道路に囲まれた極めて狭隘な用地内での架橋となったために主な上部構造を二層化構造として橋梁のコンパクト化を図り、架設は特殊多軸台車や1,350t吊クローラクレーンを用いて大ブロックの一括架設を行うことで交通影響を最小にするよう配慮して施工された。このように限られた条件の中で複数路線のアクセスを可能にし、横浜市内の道路交通ネットワークの構築に寄与したことが受賞理由となった。



横浜港北ジャンクション高架橋(土木学会提供。以下、注釈なき場合は同)


狭隘な用地に架橋された/桁架設


 菰野第二高架橋は、新名神高速道路の菰野IC~亀山西JCT間に位置する橋長1,103mの連続高架橋。中央河川部がPRC3径間連続エクストラドーズド橋(341m)で、中央径間長は161mとなっている。将来の拡幅計画に対応させるために斜材ケーブルを一面吊り形式とし、コンクリートウェブを有する3室箱断面のPRC構造を採用している。



菰野第二高架橋


 豆谷大橋は、橋長259mの鋼中路式ローゼアーチ橋。左右非対称なアーチと片側のみの側径間が織りなすシルエットを谷の形状に調和させていることで、力学的な安定感、安心感を持たせている。



豆谷大橋


作品部門【改築】

 史跡鳥取城跡擬宝珠橋は、旧擬宝珠橋の橋脚遺構を保護しながら木橋を復元するために、戦後の既設橋の基礎構造を再利用し、遺構との干渉を避けながら二相ステンレス鋼(SUS821L1)を用いた水中梁を架け、その上に木橋を復元するハイブリット工法が採用された。これにより、遺構を保護したまま同座標で復元橋脚の配置を実現している。土木技術の発展と文化財保護が両立しうる建設事業のひとつの事例として評価された。



史跡鳥取城跡擬宝珠橋


(右)ステンレス製水中梁

(左)張出ブラケットにより、水中梁と木造橋橋脚を接続(弊サイト掲載済み)


 櫃石島高架橋(トラス部)の耐震補強では、道路鉄道併用橋を含む鉄道橋では初となる免震ゴム支承への取替による全体系の免震化を実現した。国内最大級の支承取替にあたってはFEM解析等による詳細な変位等の算出、施工時の高精度逐次管理システムの採用により、ミリレベルの精度が要求される施工を短期間で実現している。今後の耐震補強技術の発展、既設橋の耐震補強に貢献する事例として受賞が決定された。



櫃石島高架橋(トラス部)の耐震補強


免震支承(弊サイト掲載済)/改築後の桁内


 錐ヶ瀧橋の拡幅は、日平均交通量4.5万台という重交通路線の新東名高速道路において、供用2車線を確保しながらPC長大橋の拡幅施工を行ったもの。特に上り線は幅約1.8mの狭小な空間で施工を行う必要があったため、専用の壁高欄撤去作業車と床版施工作業車を製作している。



錐ヶ瀧橋の拡幅施工


 大槌川橋りょうは、橋長375mのJR山田線(現・三陸鉄道)宮古~釜石間で最長の橋梁で、東日本大震災の津波により全23連の桁が流され、橋台と橋脚も甚大な被害を受けた。復旧にあたっては工期短縮が課題となり、流出桁2連の再利用や残存部材を活用した橋脚復旧などを行った。



大槌川橋りょう


作品部門【技術】

 回転杭工法は、日本製鉄、JFEスチールにより開発された工法で、先端にらせん状の鋼板(羽根)を溶接した鋼管杭を全旋回機等で回転圧入することで、羽根の推進力により鋼管杭を地中に貫入できる。コンクリート等を一切使わず、低騒音・低振動・無排土施工を実現できるほか、先端の羽根により大きな鉛直支持力・引き抜き抵抗力が得られるなどの特徴を有している。今後の橋梁建設に貢献する技術であることや、海外事業においても同工法の特徴は有効であり、日本発の技術として本工法の活用が期待できることが評価された。



回転杭工法

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