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起重機船およびSEP船を用いて床版を撤去・架設 防衝工も検討

国交省京浜港湾 横浜港南本牧はま道路は5月復旧を目標に施工進む

 国土交通省関東地方整備局京浜港湾事務所は、昨年の台風15号で被災した横浜港南本牧はま道路の損傷部の復旧に向け工事を進めており、5月に復旧する見通しだ。その現場について取材した。(井手迫瑞樹)


PC桟橋部は7径間中4径間がシリアスな損傷

 鋼桁部は外洋側の張出床版が大きく捲れ上がる

調査 

 被災した部分は、南本牧運河上を跨ぐ3径間連続鋼床版箱桁(約500m)の内、南本牧コンテナターミナル(CT)側の約300m部分と隣接するPC桟橋部110m。走錨して橋梁への激突を引き起こしたのはパナマ船籍の貨物船(6,736t)。鋼桁とPC桟橋の境となる橋脚付近を中心に、鋼桁部は鋼床版張出部がめくれ上がるように損傷し、PC桟橋部に至っては2径間において一部のPC桁が脱落するなどの大きな損傷を受けた。船の激突は1度だけではなく、何度も繰り返して衝突したため、被害が大きくなったようだ。調査の結果、PC桟橋受梁部、PC桁下面、鋼橋部下面、および側面部に損傷があった。PC桟橋部はPC桁の一部脱落および損傷が4径間、PC定着部の損傷があった個所が4径間あった。壁高欄に至っては7径間中6径間で損傷が見られた。その結果、被害が大きい4径間については取替を決定、3径間については、詳細点検や工事の中で健全性を確認し、復旧方法を検討することにした。

 PC桟橋部の支承は、約15mm程度のずれが生じており、交換あるいは補修による使用可否については、PC桁撤去後に判断することにした。また、伸縮装置はPC桟橋部の2箇所について損傷が見られ、全交換または一部交換については引き続き詳細調査を実施のうえ決定することにした。

 鋼桁部は船が下から突き上げるように衝突したため、捲れ上がるように損傷した外洋側の張出床版部については取り替えることにした。壁高欄についても一部で損壊しており現場打ちにより打ち換える。ウエブなどでも衝突による凹凸が見られる箇所については、詳細調査の上、必要に応じて当て板などで補強することを検討する。支承などの損傷は概ねなかった。


橋脚は受梁部断面修復 PC桟橋部は桁を2~3本ずつ起重機船で吊撤去

 支承はP3部のみ交換

撤去(PC桟橋部)

 現場は既に施工に入っている。基礎は鋼桁のニューマチックケーソン、PC桟橋部の鋼管杭基礎とも変形は認められず、補修の必要はない。

 上部工の損傷部は、まず鋼・PC桟橋共通の工程として、舗装および道路照明灯、壁高欄を撤去する。舗装から壁高欄までの撤去は全て桁上で行い、壁高欄はワイヤーソー用のコア削孔を行った後、ワイヤーソーで切断し、25t吊ラフタークレーンで橋上に仮置きし、トラックに積み込んで、所定のヤードに運搬し、小割した上で撤去した。桁の取替に支障となる鋼桁とPC桁の取り合い部分の伸縮装置はガス切断した。

 PC桟橋上部工部(損傷している4径間PC桁は1径間当たり19本)は、まず連結部を撤去し、次いで主桁2~3本ごとに間詰コンクリート部をコア削孔およびコンクリートカッターで桁横締めPC鋼線ごと切断する。海上には船の位置と方向を自動で保持する自動定点保持機能(DPS)を有する自航式500t吊起重機船(五洋建設所有『CP-5001』)を配置し、PC桁を2~3本ずつ起重機船のクレーンで吊り上げ、起重機船の貨物搭載甲板に積み込んでいく。通常は仮設構台を設置し、その上にクレーンを搭載するのが一般的であるが、仮設構台の設置時間短縮と施工時の影響の軽減を意図して起重機船による撤去工法を採用した。 

PC桁撤去状況①(国土交通省関東地方整備局京浜港湾事務所提供、以下同


PC桁撤去状況②

撤去が完了したPC桟橋部

 支承はP3部のみ交換する。19か所のゴム支承が配置されているが、同箇所は15mm程度変形しており、桁を取り外してもその変形が戻らなかったためだ。P3近傍では船体が何度もぶつかった形跡があり、取り分け酷い損傷であったことが分かる。

 残り3径間については横締めの損傷が懸念され、壁高欄をはつって調査した結果、問題がないことを確認した。断面欠損もほとんど生じておらず、桁の取替や補修は必要ないと判断した。

 橋脚の受梁部はコンクリート部が部分的に大きく脱落、あるいはクラックを生じ、エポキシ樹脂塗装鉄筋が露出している状態にあった。上部工撤去後、受梁に支保工および足場を設置した上で、損傷部をブレーカーではつり、必要な個所は配筋し、断面修復を行った。


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