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市道上は移動多軸台車、渡河部は軌条桁を用いて架設

横浜市 さくらみらい橋(大岡川横断人道橋)の建設が進捗

 横浜市は、さくらみらい橋(大岡川横断人道橋)の建設を進めている。同橋は、2020年度に開庁する横浜市の新庁舎や民間開発が進む北仲通北地区と新たに整備されるJR桜木町駅の南側の改札口方面を結ぶもの。架橋により安全な歩行ルートの確保と利便性が向上するとともに、みなとみらい地区や関内地区との連絡を強化し、来街者の回遊性が高まることが期待されている。街中の現場のため、狭隘なヤードに加えて交差物が多く、首都高速道路とも近接している厳しい条件下でどのように工事が進められたのかをレポートする。



位置図(横浜市提供。以下、注釈なき場合は同)


Y字型ラーメン構造で周辺の水辺空間と一体化

 設計時には全体形モデルを作成して地震応答解析を実施

橋梁概要と設計上の工夫

 同橋は、全長約259mの連続ラーメン鋼床版箱桁橋でY字型の平面形状をしている。新市庁舎側から大岡川を渡河した地点(左岸)で、JR桜木町駅の南側の改札口方向と北側の商業ビル(クロスゲートビル)方向に分岐する形だ。有効幅員は、渡河部(経路A)が6.55m、桜木町駅方向(経路B)が有効幅員4.65m、クロスゲートビル方向(経路C)が3.15mとなっている。



(仮称)大岡川横断人道橋 橋梁一般図


 橋梁のデザインは「水辺をひらく橋」というコンセプトのもと、大岡川の水辺空間と一体化するように設計された。周囲の景観を引き立たせるシンプルなシルエットとするため、逆台形の鋼箱桁ラーメン構造を採用し、ガラス高欄にすることで透過性を確保して、水辺からの景観にも配慮した。塗装は白色系としているが、これはガラス高欄とともに新市庁舎との調和も考えてのことだ。ラーメン構造の採用にあたっては、耐震性の向上および支承省略による維持管理費削減も考慮している。

 箱桁の側面には船底をイメージして曲線のブラケットを一定間隔で設置して、リズム感を出していることも特徴である。また、渡河部については眺望を確保するために、屋根用の柱を中央柱にして屋根を両開きにする工夫を行った。

 設計時における大規模地震時の耐震性確認では、橋梁がY字型の形状をしているため、上下部工を一体化した三次元モデルを作成して、さまざまな方向からの地震応答解析を実施した。


完成イメージ図。渡河部の屋根は眺望確保のために両開きにした


箱桁の側面に設置された曲線のブラケット(大柴功治撮影)


P2基礎工ではジャイロプレス工法とケコムケーシング工法を採用

 首都高速の地下躯体に影響を与えないために二重の締切を行う

下部工の施工

 最も困難な施工となったのはP2基礎工だ。構造上、大岡川左岸(桜木町駅側)にP2橋脚を構築しなければならなかったが、左岸には首都高速神奈川1号横羽線の地下躯体(トンネル)が近接しているという現場条件があった。首都高速道路と河川管理者との協議により河川際の護岸にP2橋脚を構築することになったが、施工箇所と首都高速の地下躯体との距離は3m強しかなかった。

 そのような条件下であるため、首都高速の地下躯体に変位を与えることと掘削時の出水は絶対に避けなければならない。そこで、ジャイロプレス工法とケコムケーシング工法を採用して二重の仮締切を行う対策を取ることにした。




仮締切工のステップ図(抜粋)


 まず、河川部の仮締切を行うために、鋼管杭(φ800mm)を13本打設する必要があったが、ヤードは首都高速道路の地下躯体真上しかなく、杭打機などの重機による大きな荷重をかけることはできない。そのため、杭の搬送・吊込み・圧入という連続作業をすべて完成杭上で行うことにより狭隘なヤードでも施工が可能なジャイロプレス工法を採用して、鋼管を圧入していった。




ジャイロプレス工法での鋼管圧入


 その後、河川部と護岸一部の締切内部を土砂で充填して築島を構築した。これは近接する首都高速の地下躯体への影響を避けるためで、さらに築島内の基礎部をケコムケーシング工法で掘削して、場所打ち杭(φ3,000mm、杭長18m)を打設していった。同工法を採用したのは、狭隘なヤードでも施工が可能なこと、施工速度が速く工期短縮が図れることに加えて、鋼製ケーシングを引き抜かずにそのまま埋め殺しにできるので、ケーシングを締切の形で使用できるためである。



築島の構築


ケコムケーシング工法での掘削とケーシング建て込み、接合完了


 施工にあたっては事前に施工手順を踏まえた各ステップのFEM解析を行い、変位量を出して安全性を確認している。施工時には、首都高速道路の地下躯体の変位計測管理を行い、万全を期し、安全に工程遅延することなく完了することができた。

 P2以外の基礎も場所打ち杭で、オールケーシング工法により打設をしていった。いずれの基礎も歩道部や地下埋設物などとの関係で小スペースにおさめる必要があったために組杭基礎とはせずに、1本の場所打ち杭の上にアンカーフレームを設置している。



オールケーシング工法でのP3基礎工


 鋼製橋脚はトレーラーで運び込み、クレーンで立て起こして、アンカーフレームと接続した。



P2橋脚の設置