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端部は延長床版を活用

NEXCO西日本 中国道寺河内橋など4橋の床版を取替

公開日:2019.11.29

長野第一橋 主桁中央部の床版部を先行撤去
 下フランジ上面と床版間にパイプサポートで仮受

 さらに撤去が難しいのはもちろん合成桁の長野第一橋である。合成桁であるため、非合成桁のように単純に床版(橋軸直角方向)中央部で切断するというわけにはいかない。基本的には桁の合成効果を持たせるために主桁フランジ上のコンクリートは最後まで残して、主桁中央部の床版部を先行撤去していく手法を採用した(右図は長野第一橋の施工フロー)
 まず合成桁としての機能を保持するため補強鋼材を既設対傾構間に設置する。次いで床版撤去時の受け台として下フランジ上面と床版間にパイプサポートで仮受支保工(図)を設置した。
 切断は4mごとにカッターをいれ、まず地覆壁高欄を床版張り出し部と合わせて吊り切りして撤去した。ついで、2mごとに橋軸直角方向をカッターで切断し、さらに主桁直上を除く床版部を橋軸方向に切断して撤去した。撤去に関しては合成桁の特性上、桁にクレーンを設置するわけにはいかない。そのためA1橋台側に80t、A2橋台側に60tラフタークレーンを配置して切断された既設床版を撤去していった。


長野第一橋撤去床版搬出計画図

 残るのは上フランジ直上のコンクリートだ。これは水平にコアを抜いてワイヤーソーのワイヤーを挿入し既設のスタッドジベルの頭が残らない範囲で水平切断し、同様に両端のクレーンを使って撤去した。残り50~80mm厚のコンクリートは手ばつりにて除去し、わずかに残ったジベルはツライチカッターで除去した。既設スタッドジベルは実に3,200本に達するためこの除去をいかに手際よく行うかについても工夫した結果、前述したワイヤーソーによる水平一括切断のほか、迫川橋でも使用しているアルミ合金製簡易足場板「セフテージ」を採用した作業床を設置、作業者の疲労軽減と安全性向上を図った。また、ツライチカッターは3人で6台を使用することで(機械の発熱予防、故障対策)、常に稼働状態を保てるようにしている。
 水平カッターは湿式を採用しているため水養生が必須である。そのため桁下面の足場はクイックデッキを採用し、その上に水養生用のシートを配置した。濁水はノッチタンクにいったん貯水し、汚泥と分離した後、水は再利用した汚泥は最終処分場に持ち込み、適切に処理した。
 限られた時間の中で作業を効率的に行うために雨天時のケレン作業や防錆剤の塗布も「仮設屋根」を設置することで工程の遅延を防止した。


パイプサポートで仮受支保工を設置


既設床版撤去状況

仮設屋根(井手迫瑞樹撮影)

床版架設 現場に応じて施工方法を工夫
 KK合理化継手を採用

 さて、PC床版の架設である。施工時高さは橋梁によって異なるため、架設前に高さを計算し、PC床版ごとに所定の高さになるよう高さ調整ボルトを調節し、床版を架設した。
 床版の架設は各現場に応じて、少しずつ施工方法を変えている。下渋川橋は斜角70°を有している。基本的に1日当たり8~10パネルずつ撤去(撤去パネルは前述のように橋軸直角で2分割)し、3~4パネル(1パネル当たりサイズは床版厚240mm、橋軸方向長1,720mm×幅員10,600mm、12.4~12.6t、他の橋梁もサイズ重量はほぼ同じ)ずつ、合計35枚配置する。






床版の架設手順(下渋川橋)

 寺河内橋は2台のクレーンを使って中央部から両橋台に向けて撤去・架設していった。Rは多少あるものの、パネルの形は基本的に通常の長方形のパネルを用いた。同橋の1日当たりの床版パネル撤去・設置数量は下渋川と同程度の施工量とし、合計82枚を設置した。




寺河内橋の取替手順

2台のクレーンを使用して施工した

 長野第二橋はA1からA2側へ1台のクレーンを使って下渋川橋、寺河内橋と同様の撤去・架設を行い、合計37枚を設置した。



床版の取替手順と使用したクレーン

 長野第一橋のみ、撤去は先述のように特殊な方法で施工した。架設は標準的な長方形パネルを橋梁の橋台外側に設置したクレーンから3~4枚ずつ架設し、合計13枚を設置した。



長野第一橋施工手順


プレキャストPC床版の架設(いずれも井手迫瑞樹撮影)

 主桁フランジ上面には充填モルタルの漏れを防止するためにソールスポンジを設置した上でモルタルを充填した。場所によりハンチの高さが異なり、モルタルの充填高が高くなりすぎる個所がある。そうした箇所にはPC版に打ち下ろしを設けて台形形状とした。


ソールスポンジを設置

 継手部(右写真、井手迫瑞樹撮影)は従来のループ継手に比べて大幅に継手長を短くできるKK合理化継手を採用し目地幅を280mmに短縮している。またコンクリートは高炉スラグ微粉末を採用、間詰部および、端部に一部存在する場所打ち床版部は早強コンクリートを採用している。いずれも強度は50N/mm2で、現場打ちコンクリートのスランプは15㎝とした。

 さて、ここで特徴的なのが端部および延長床版のプレキャスト床版パネルの配置である。
 斜角65°を境にそれ以上は床版を縦割りに配置し、それ以下は床版を通常のプレキャスト床版同様の横割り配置とした。その理由は「横締めPC鋼材の最小ピッチが決まっているために、端部パネルの橋軸直角方向の斜角がきつすぎると、横締めPC鋼材を配置できない箇所が出てきてしまうため」(同)だ。合成桁である長野第一橋は延長床版を設置しない。


端部は少し斜めな形状になる箇所も(井手迫瑞樹撮影)/延長床版の架設

縦割りに配置した延長床版部(井手迫瑞樹撮影)

 延長床版の伸縮装置は固定側では埋設型のMMジョイントを使い、可動側では高耐久性コンパクト型鋼製フィンガージョイントであるSEFジョイントを採用している。

 壁高欄の打設は、全て現場打ち施工した。高欄コンクリートの長期耐久性を向上させるためシラン系浸透性吸水防止材『アクアシール1400』を塗布している。

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