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鈑桁RC床版の550m部分8000m2強が対象

名高速 雁道工区で二方向アラミド繊維シートによる下面貼付け補強が進む

 名古屋高速道路公社が床版補強など大規模修繕を進めている高速3号大高線の雁道工区が終盤を迎えている。同工区は合成鋼鈑桁および非合成鋼鈑桁からなる16径間、約550mの高架が施工対象。16径間を2径間ずつ8ブロックに分割して、ブロック単位で施工している。RC床版に対して8,044m2の二方向アラミド繊維シートによる下面貼付け補強、8,820m2の表面被覆、橋脚には1,099m2を対象に剥落防止工を施工し、排水管(1,564m)取替や伸縮装置補修(230m)も行うもの。その現場を取材した。(井手迫瑞樹)


補強構造図(名古屋高速道路公社提供、以下注釈無きは同)

 同区間は市道堀田高岳線の上空に平行して建設された、高架構造の道路である。そのため、ヤードは比較的狭く、足場も夜間しか設置することができない。

交通量の多い名古屋市道に並行する名高速の高架橋(井手迫瑞樹撮影)

 高速3号大高線は、1979年に供用してから40年がたっており、また設計道示が古いこともあり、疲労を一つの要因とする、二方向ひび割れや流出石灰の損傷が多く見られる。

このため、二方向アラミド繊維シートによる床版補強を進めているもの。当該工区は1方向ひび割れしか見られず、比較的損傷が少なかった。

 主補強材である二方向アラミド繊維シートは、前田工繊が製作した「FFシートAW50/50」を採用した。同シートは縦横2つの糸を重ね織しているのではなく、特殊な目留め糸で止める機構を採用している。これによりシートの㎡当たり重量を700g弱に軽くしている。縦横の糸を把持し応力の伝達を適切に行えるようにしつつ、風合いを柔らかくして現場で貼りやすくしている。これにより「含浸作業の際で現場環境が汚されることや、事前含浸を必要とせず施工でき、工程を短縮できるといったメリットがある」(元請の鈴中工業)。

 同シートは表と裏で目の粗さが異なっている。表を粗く、裏を密実にすることで、含浸時のエアの排出をし易くしており、シートが母材に、より密実に接着する効果をもたらしている。またシート端部にはラップ幅を示す赤いラインが描かれており、現場で計測する手間を省いている。


 施工フローは下表の通り。

施工フロー
 まず、床版を裏面から調査して、かぶり厚や塩分量、中性化深さなどを調査し、0.2mm以上の有害なひび割れが見つかった個所にはエポキシ樹脂を注入して補修する。次いで変状箇所はカッターで切断した後にチッパーで斫り、含浸材(リフレモルα)を塗布し、断面修復材(リフレモルセットSP)で補修する。補修後、下地処理を丁寧に行い、アラミド繊維シートの貼り付けに移るが、ここで注意しなくてはならないのが温度と湿度だ。冬季の施工もあったため、温度5℃以下かつ相対湿度80%以上でないことを確認することに加え、露点温度を確認した上で、施工し、次工程の含浸に使うエポキシ樹脂が効果不良を起こさないように気を付けた。表面含水率には特に気を付けており、断面修復後の養生を3週間程度と長めにとることでドライな状態に近づけ実際は1~2%という状況でシートの貼り付けを開始した。


床版の下面からの調査

ひび割れ注入工

断面修復工

下地処理

表面の含水率測定と露点温度測定

プライマーおよびパテによる不陸修正

 アラミドシートの含浸は不陸が生じている個所はパテで修正し、全体にプライマー、次いで下塗り含浸材を塗布し、シートを貼り付け、次いで上塗り含浸材を2回塗布し、最後に表面被覆した。

下塗り含浸材の塗布およびシートの貼付け

ラップ長の確認および丁寧に抑えつける

上塗含浸材の施工

シート貼付け完了状況(井手迫瑞樹撮影)

トップコートを施工して完了

 床版ハンチ部の剥落防止工は、押し抜き試験基準値1.5kNを満たす繊維シートを用いない塗布型の剥落防止工を採用している。1ブロックごとの標準施工日数は約3か月程度。

 高欄や橋脚にも剥落防止工を施工しているが、ここでは塗布型ではなく2軸ビニロンメッシュを使用した材料(KSMシート)を採用している。


 作業人数は床版が1班4人×3班体制の12人、伸縮装置の補修(乾式止水材の交換と受け樋の設置)が6人、排水管の取替が6人。

 元請は鈴中工業。一次下請は構造物補修補強がボンドエンジニアリング、排水管交換がライフク、伸縮装置取替がケイ・エヌ・メンテ。工期は2017年5月9日~2020年3月13日。
(2019年9月25日掲載)

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