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ダイヤモンドバーおよびハック高力ワンサイドボルトを採用

NEXCO中日本 横浜町田IC「第二跨道橋」のロッキングピア耐震補強現場レポート

国道16号と東名高速道路が連結する交通の要所
 
NEXCO各社ではロッキングピアを有する橋梁の耐震補強を早期に完了すべく対策を進めている。同ピアを有する橋梁は熊本地震において落橋する災害に見舞われ、その補強が急務であるが、高速道路、交通量の多い国・県道を跨ぐ古い本線・ランプ橋に採用されており、実際の工事において厳しい条件が課されている。今回はその一例として、NEXCO中日本横浜保全・サービスセンターが対策を進める、国道16号と東名高速道路が連結する横浜町田ICのランプ橋の一部である「第二跨道橋」の耐震補強現場をレポートする。(井手迫瑞樹)

第二跨道橋位置図(NEXCO中日本提供資料より抜粋)

片側15本のロッキングピア
 下側約2mにコンクリートが充填

 同橋は、昭和42年に竣工した橋長35.72m(幅員18.1m)のRC3径間連続中空床版橋。斜角は86°とほとんどない。ロッキングピアは片側15本の鋼管柱で成り立っており、ピア高は平均6m。下側約2mにはコンクリートが充填されているという特徴を有している。

P2側のロッキングピアは上下道に挟まれる形で屹立
 柱間にブレース材を設置する形で補強 

 さて、現場に行くと国道16号から東名に入るインターのため交通量が多い。記者が訪れたのはお盆前の8月7日。既に夏休みの渋滞の傾向があり、車の量は多く、大型車混入率も高かった。上下合わせて5車線あるが、P2側の15基のロッキングピアは上下道に挟まれる形で屹立している。P1側もとてもヤードが広いとは言えない。そのため上下剛結による補強ではなく、柱間にブレース材を設置するが、その際には既存ロッキングピアが鋼管の閉断面のためハック高力ワンサイドボルトを用いて留める。支承構造は、下部のみブラケットを付けてフーチングにアンカーする形でRC巻き立てして剛結し、上部のピボット沓はそのまま残し、逸脱防止工を付ける形で耐震補強することにした。橋台はA2のみ橋軸直角方向に落橋防止工を設置する。


第二跨道橋補強一般図(同上) (クリックで拡大してご覧ください)


第二跨道橋のロッキングピア P1側(左)、P2側(右)(いずれも井手迫瑞樹撮影)

ロッキングピアの下沓と上沓


ダイヤモンドバーでワンサイドボルト用の隙間を作る
 橋脚2基合わせて1200個所を削孔
 
記者が取材に入った際は、P1側の橋脚補強を進めていた。補強はまず既存橋脚をドリルで削孔し、さらにコンクリートが詰まっている個所についてはワンサイドボルトを設置するため、拡張ナット状の隙間を確保すべくダイヤモンドバーと呼ばれる器材(写真)をφ125用のディスクグラインダー用機器のヘッドに装着し、ドリル削孔した孔に突っ込んで拡張していく。ダイヤモンドバーは偏芯搖動するように作られており、ストレートに孔に突っ込んだ後、施工者が上下左右に動かすことより、孔径を大きくしていく。中にコンクリート粉が詰まると施工できないため、その都度内部をバキュームして粉を吸い取り、またダイヤモンドバーで削孔し、最終的に形状を確認する専用の機材を挿入し、ワンサイドボルトの施工が可能かどうかを確かめる。「1本あたり30分はかかる」(元請のショーボンド建設)ため1人1日当たりの施工数は「15本程度」。橋脚2基合わせてこうした孔を1,200本施工せねばならず、相当に骨が折れる作業だ。また、施工時は車道に切粉が飛ばないように養生しながら施工していた。削孔から拡張までは「少なくとも1か月はかかる」(同社)見込みだ。上側削孔時は高所作業車を用いるため、1車線規制しての施工となる。


ダイヤモンドバー(左)をφ125用のディスクグラインダー用機器のヘッドに装着(中)
実際の孔明け作業(右)(井手迫瑞樹撮影)

偏心機構(左)、ほじくるように施工していた(中、右)
(井手迫瑞樹撮影)

 ブラケットおよびブレース材の設置は、P1については1車線規制した上で防護の足場を建てて架設する。また、P2は1車線夜間通行規制した上でユニックおよび高所作業車によりガセットとブレース材を吊って架設していく。橋脚ごとに7隔間あるが、1日でガセットを設置し、翌日に斜材を架設するという施工により2日でピア間の補強は終える。ガセットの設置にはφ24mmのハック高力ワンサイドボルトを使用する。

施工計画図(NEXCO中日本提供資料より抜粋)

(左)ハック高力ワンサイドボルト(井手迫瑞樹撮影)、夜間通行規制して施工(NEXCO中日本提供)

ガセット(左)およびブラケット(右)の取り付け
(NEXCO中日本提供)

ブレース材の取り付け
(NEXCO中日本提供)

取り付けが完了したブラケットおよびブレース材(井手迫瑞樹撮影)

 さらに連結する橋脚下部のブラケットを付け(これも同ボルトを用いる)フーチングに削孔した上で、アンカーにより連結し、支承は残置する形でRC巻き立てして剛結する。同施工時も1車線規制する。


 施工で苦労している点は、「規制につきる」(同)。「交通量が激しく、天候によっては規制がかけられないこともある。施工時の粉塵などで苦情が出ることもあるため、施工の養生には気を付けている」(同)。さらに夏場を迎えており、作業者の暑さ対策も必須で、効率という面では厳しい局面を迎えている。

 もう一つはダイヤモンドバーの耐久性。「それほど安くない製品でありながら、1個当たり8か所ほどの削孔で摩耗し、性能の限界を迎えるため、もう少し耐久性を上げることができるよう商品開発に努めていきたい」(ロブテックスファスニングシステム)ということだ。


 横浜保全・サービスセンター管内では、同橋以外にも5か所で同様の手法によるロッキングピアの耐震補強を進めており、早期完成を目標に対策を進めている。設計は中央コンサルタンツ。施工はショーボンド建設。一次下請はアルチブリッジ(架設)、清水塗工(塗装)、第一カッター興業(表面処理)、ミスミ特殊(アンカー削孔)。