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5000ppm以上の高濃度ポリ塩化ビフェニル(PCB)を含有している鋼製構造物の塗膜の現状調査

環境省が『高濃度ポリ塩化ビフェニル含有塗膜の調査について』を通知

 環境省は昨年11月28日に関係省庁や自治体に向けて『高濃度ポリ塩化ビフェニル含有塗膜の調査について』と題した通知を行った。5000ppm以上の高濃度ポリ塩化ビフェニル(PCB)を含有している鋼製構造物の塗膜の現状調査を行うことで、西日本(ここでは静岡・岐阜・京都・滋賀以西)では2020年度末 、東日本(北陸・甲信・関東以東)では23年度末の高濃度PCBを処理するための計画を円滑に行おうというもの。調査期限は西日本が19年9月、東日本が21年9月と特に西日本が非常にタイトで、調査に基づく費用も所定の維持管理費で賄うことを求めており、関係諸機関にとって重い負担となりそうだ。


 同通知には別添で高濃度PCB含有塗膜調査実施要領が添付されている。同要領では、高濃度PCBを含油する塗料について、日本塗料工業会にヒヤリングした結果に基づいて特定している。該当する高濃度PCB含有塗料は、4メーカーが該当している。いずれも1966年から72年1月の通商産業省(当時)による製造中止の通達までにPCBを可塑剤として使用して製造された塩化ゴム系塗料。該当塗料の使用が正式に中止されたのは74年6月10日であり、調査対象としては74年までに塗装を行った鋼道路橋・鉄道橋、洞門、排水機場、ダム、水門、タンク(石油およびガス貯蔵タンク)、船舶などとしている。

 調査方法としては台帳など資料を基に66~74年までに該当する塗料を用いた塗膜が完全塗替え(1種ないし2種ケレンによる塗替え)されているかを確認するとともに、同塗替えによることが確認できない、またはそもそも塗料名未記載や塗装履歴が未記載の構造物については、塗膜のサンプルを採取して『低濃度PCB含有廃棄物に関する測定方法(第3版)』の第2章「8.塗膜くず(含有量試験)」に基づいて試験することを求めている。


 低濃度PCB(5,000ppm未満)含有塗膜については、今次の検査で「必ずしも取りまとめを要しない」(環境省)としているが、前掲の4メーカーの該当塗料は「いずれも数%~10%程度の範囲のPCBを含有しているため、今後、低濃度PCB含有塗膜でもこれらが基本的に該当すると見込んでいる。今回の調査票に基づいて記入し、2027年3月までの処理期限までに除去できるように関係諸機関ごとに把握しておくことが望ましい」(同)としている。

 副生PCBについても、0.01ppm以上の値が検出された廃棄物の処理方法については、実務を担う各県での処理状況を調査すると、PCB特別措置法を基本に、低濃度PCB処理施設として届出を出している処分業者に委託をして、適切に処分をするなど廃掃法(廃棄物の処理および清掃に関する法律)の特管産廃の規制にかけている。カネミ油症の重い経験がもたらしている反省とは言え、諸外国が規制の閾値を50ppm以下としていることを考慮すると厳しすぎる基準と言えそうだ。


 現状は上記の方法で処理することが必要であるが、現状の橋梁数と塗装面積から考えると、高濃度PCBの処理計画のみならず、低濃度PCBの処理計画についても、国土交通省をはじめとする道路管理者と環境省サイドとの、入念な協議が必須であると思われる。