HOME現場を巡る一覧愛媛県 島民の期待高い「岩城橋」主塔部の建設が進捗

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防食・耐風もケアし、岩城島と生名島をつなぐ斜張橋

愛媛県 島民の期待高い「岩城橋」主塔部の建設が進捗

生名島側下部工・主塔の進捗状況

 生名島側の本体橋工事を担当するのは、三井住友建設・三井E&S鉄構エンジニアリング・昭和コンクリート工業JV。現場代理人は三井住友建設の伊藤拓也さん。こちらも斜張橋などの現場を歴任してきた強者だ。

 主塔部は橋脚が既に立ち上がっており、現在は橋脚の上の塔柱部2リフト目までの施工を終えている。全体では28リフトあり、順次打ち重ねていく。移動足場は使わず、ある程度の高さは地上から足場を組み、その後はブラケットを構築して足場を盛替えて施工していく。「昇降式移動足場などを用いても結局斜材定着部構築に再度足場が必要となるため」(三井住友JV)だ。



主塔部の施工状況、エポキシ樹脂塗装鉄筋を採用している

 主塔部基礎は岩城島側同様に直接基礎であり、その底版は幅27m四方、高さは5m、コンクリート打設総量は3,600㎥と岩城側より若干少ない。平板載荷試験や岩盤に対するシュミットハンマー試験を行い支持力を確認した後に基礎の施工に入った。

 やはりマスコン対策は必須で、1層目ごとの打設厚さを525~650mmと比較的薄くし、8リフトに分けて打設した。また打ち重ね日数の短縮や補強鉄筋を配置し、膨張材は使用していない。底版はすべて海面上にあるため岩城側のような仮締切も必要なかった。

 橋脚については、生名島側も主塔橋脚部は塩害対策区分Sに該当するため、全てエポキシ樹脂塗装鉄筋を採用している。また、マスコン対策として膨張材の付与やひび割れ抑制を企図した補強鉄筋を配置している。


上部工架設ステップ

 主塔の施工と並行して、来秋以降にはPC桁(桁高2.5m×幅員11m)を片持ち架設工法により架設していく。主塔橋脚上の柱頭部(L=12m)を施工した後、移動作業車(ワーゲン)で両側へ1ブロック4mずつ張出し、片側14ブロック(計28ブロック)を架設する。斜材の架設・緊張は2ブロック約8m架設するごとに行う。PC桁と鋼桁の間には、接合部(1000mm、鋼殻セル内にコンクリートを充填し、PC鋼材で緊張力を導入して接合する)を設置する。

 次いで鋼桁は最初の1ブロックをFC船により張出し架設した後、2ブロック目からは、FC船で桁上に設置した巻上装置付き架設桁(エレクションノーズ)により、台船上から吊り上げて架設していく。

 1ブロック当たりの鋼重は100t弱であり、これを両側から10ブロックずつ架設していく。ちなみに閉合ブロックの架設は三井住友JV側が行う予定だ。


供用時のイメージパース

構造上の特徴

 主塔部はL2地震動が生じても弾性応答を超えないように基本性能を設定している。主塔の形状はH型だが、これはL2地震時に生じる基部への曲げモーメントの集中を防ぐため。    

 塔柱の間にRC横梁を通し、L2地震時の力をそこへ誘導し、制震ブレースのように機能させる構造を採用している。横梁は道路に面しているため、剥落しないように下面にはアラミド繊維シートを貼付け、なおかつ梁下に設置している検査路が、剥落が生じた際の受け止め機構になるように設計している。

 主塔部の橋脚高さは約30mあり、長大橋を支持することから地震時の慣性力が大きいため、圧縮強度30N/mm2のコンクリート、SD490の鉄筋を用いている。

 塔柱部は1~2リフト目を除いて中空断面とした。基本的にはRC構造だ。130m超の高さまで鉄筋を組む際に作業サイクルを効率化するため、主鉄筋にD51(1主塔に約400本配置する))、帯鉄筋にD25を採用した。維持管理性向上のため、斜材定着体は主塔内部に配置しているが、ここに斜材の定着鋼管、(斜材定着部を補強するための)PC鋼棒が入ってくる。「狭い場所で確実に組み立てる手順が重要だ」(三井住友JV)。

 主桁構造はPC桁部が2室構造、鋼桁部が1室構造であり、桁高は2.5mに統一している。余裕のある桁内空間を確保することで、その後の点検や補修をやりやすくしている。


風対策

 現地観測地点と近接する気象官署との相関解析により算出した平均風速は35.4m/s、道路橋耐風設計便覧における基本風速(34.8m/s)と本四基準における基本風速(37.0m/s)を比較して本四基準を採用し、対策に当たった

 鋼桁では風に対して無対策の場合、10m/s以下の低風速に対して鉛直たわみの渦励振が生じる。そのため、模型による実験を繰り返して上下の風や渦励振による桁のバタつきを風振動制御板や水平プレート、桁下部の角度をつけることで抑制する工夫を施した。従来の床版張り出し長の延長とフェアリングの取り付けという対策もあったが、今次工法のほうが鋼重比較で約1億円の製作コスト縮減が見込める。

 斜材ケーブルはφ15.6mm×最大31本(19本、24本)のPC鋼より線タイプを使用している。ケーブル本数は120本に達する。制振対策としては、レインバイブレーションに対してUストライプ(突起)形状のPE保護管で空力対策を行うとともに、桁側の定着部に高減衰ゴムのダンパーを配置してケーブルの振動減衰率を無対策時0.5%から3%程度に向上させている。


防食

 コンクリート防食は、既述のように主塔・PC桁にはエポキシ樹脂塗装鉄筋を採用している。また、海上部に位置する鋼桁部外面にはLCCを考慮してAl-Mg合金溶射を用いた。

 斜材には亜鉛めっき+防錆剤+ポリエンチレン被覆を使ったPC鋼より線という三重防錆仕様を採用した。検査路もFRP製を使う予定だ。

防食性能比較試験


 設計は長大。施工は岩城島側が鹿島・MMB・富士ピー・エスJV、生名島側が三井住友建設・三井E&S鉄構エンジニアリング・昭和コンクリート工業JV。2021年度の完成供用を目指している。(2019年1月1日掲載)