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防食・耐風もケアし、岩城島と生名島をつなぐ斜張橋

愛媛県 島民の期待高い「岩城橋」主塔部の建設が進捗

 愛媛県は、上島町の岩城島と生名島を結ぶ岩城橋の建設を進めている。平成16年度に複数の離島自治体が合併した上島町の主要4島(弓削島、佐島、生名島、岩城島)で唯一架橋されていない岩城島と生名島を結ぶもの。橋長は斜張橋である本体橋部だけで735m、取り付け高架部を含めると実に1,050mに達する。現在は下部工および、主塔部を施工中だ。両島民からの期待も高い現場を取材した。(文、写真:井手迫瑞樹)

岩城橋の施工状況(左が岩城島側、右が生名島側)


橋梁概要

 朝6時頃松山から電車に乗り、1時間ほど揺られて、今治駅に到着。次いで今治桟橋から船に乗り、岩城港に10時半頃に着いた。青いレモンの島と銘打たれた桟橋の門をくぐり、近くにある複合施設「リモーネプラザ」でレンタサイクルを借りて、岩城島側の現場に向かう。「山を一つ越えるから電動自転車の方が良い」という親切な声を聴かず、自分の体力を過信したことを呪いながら、通常のクロスバイクで息絶え絶えになりつつ急坂を上り、下った先に岩城島側の架設現場はあった(架橋位置は右図参照)

橋梁一般図

 同橋の下部工はRC張出式橋脚(基礎は場所打ち杭、深礎杭)など、主塔部はRC構造(直接基礎)で、桁より下の基礎床付面までは岩城島側が40.5m、生名島側が38.5m、桁より上の塔頂までが97mで、主塔高は実に最大137.5m(生名島側は135.5m)となっている(右図参考)。主塔部の橋脚の高さが違うのは、岩城島側の底版(フーチング)が若干海水面より低く深い位置にあるため。また、底版の床掘は岩城島側のみ仮締切を行って施工している。

 上部工は、橋長735mの5径間連続鋼・コンクリート混合斜張橋で、2面吊15段の斜張橋。側径間および中央径間の一部までを192mのPC箱桁、中央部の351mを鋼箱桁とした混合構造だ。支点部ではなく中央径間で形式が変わる長大橋は、記者の記憶では新東名高速道路矢作川橋梁(日本道路公団中部支社豊田工事事務所(現・NEXCO中日本豊田保全・サービスセンター管理の「豊田アローズブリッジ」))や斜張橋形式ではないが、最近の牧港高架橋(沖縄西海岸道路、沖縄総合事務局南部国道事務所)を思い出す。接合部はどのような構造にするのか、その塩害対策はどのように行うのか。興味がわいてくる。

 下部工はアプローチ橋も含め15基あるが、発注はすべて完了している。基礎は5P(生名島側主塔の次の陸上部橋脚、深礎杭)を除いて施工を終え、橋脚躯体の施工に入っており、PW1(岩城島側アプローチ橋の橋脚)と生名島側主塔部橋脚は施工を完了していた。


 現在は、取り付け部や側径間、主塔の下部工が進んでいた。岩城島側の本体橋工事を担当するのは鹿島・MMB・富士ピー・エスJV。現場代理人は鹿島建設の大村惠治さんが務めている。橋梁施工歴30年の強者で、最近でも和歌山県内のハイピアを伴う長大橋の現場を終えて、この現場に来た。

 

岩城島側下部工・主塔の進捗状況

 岩城島側の現場は、現在、取り付け部の橋脚が1本完了し、側径間部は杭基礎工事が完了して橋脚の鉄筋が組まれていた。また主塔部は、底版の5mと橋脚のうち10m高さまで立ち上がっていた。主塔部は直接基礎であるが、その底版は幅25m、長さ30.5m、高さは5m、コンクリート打設総量は3,800㎥に達する。マスコン対策は必須で、「10層に分けて薄く層打ちした」(鹿島JV)。具体的には1層目は750mm、2~8層は450mm、10層目は650mm厚で施工した。10層目のみ膨張材を入れて温度応力の発生に伴うひび割れを防止している。

岩城島側アプローチ部の施工状況

 底版の上の橋脚部は12リフト中4リフト目までの打設を完了している。橋脚部は塩害対策区分Sに該当するため、エポキシ樹脂塗装鉄筋を採用している。1リフトは2.5~4m。

主塔部橋脚の施工状況

 橋脚の上の塔柱部は、1~2リフト目のみは充填構造だが、その後は中空構造であり、斜材ケーブル定着部は引張応力に対してPC鋼棒で補強を行う方針(生名島側も同様の構造)。

 岩城島で念入りに管理しているのがコンクリートの練り混ぜ品質だ。「東広島産の石、宇部三菱製のセメントを使うことは、今までの上島架橋と変わらないが、岩城島のプラントは生名島と違い長大構造物用のコンクリートを製造したことがない。そのため練り混ぜ品質には注意しながら施工していく」(同JV)としている。


閑話休題

 岩城島には1時間半ほど滞在し、次いで生名島側に船で渡った。弓削島(弓削港)を経由して生名港にわたるため、生名橋と弓削大橋も目の当たりにする。瀬戸内しまなみ海道ほどではないが、それでもよく作ったものだ。

弓削大橋/生名橋


 船内では生名島に戻る町民の方と話す。架橋への期待はやはり大きい。いつできるのですか? と逆取材されるほどだ。生名港にわたるとレンタサイクルが無い。歩くしかないか、腹を決めた記者に先ほど逆取材してきた女性が、途中まで送りましょうか、とうれしい提案をしてくれる。それに乗り、車で近くまで送っていただき、その後2km程度歩き、美しい砂浜にせりだした主塔の袂までより、その雄姿を撮影した。