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縦目地を作らず拡幅、鋼管集成橋脚を犠牲橋脚に

阪神高速西船場ジャンクション工事の設計概要

公開日:2015.03.16

 2月1日号では、阪神高速道路の幸和範代表取締役専務執行役員と西岡敬治参与に同社の保全事業を中心とした今後の展望、大規模更新・大規模修繕事業について話を聞いた。その中で、西船場JCT付近の拡幅など整備事業について言及があった。同JCTの整備事業についてさらに詳しく、今回は担当者の報告という形で内容について掲載する。(井手迫瑞樹)

阪神高速道路株式会社建設事業本部大阪建設部設計課 小林 寛

西船場ジャンクションの概要と整備効果

 西船場ジャンクションは、大阪市西区西本町から京町堀にかけて建設中の、阪神高速16号大阪港線東行きと1号環状線北行きを接続するジャンクションで、大阪港線拡幅(約800㍍)と環状線拡幅(約710㍍)、そしてそれらを結ぶ信濃橋渡り(約170㍍)から構成されるものである。図-1に位置図、全体図および整備前後のCGを示す。


                      図- 1西船場ジャンクションの位置図、全体図、完成予想図

 現在のところ大阪港線から環状線へは南行きへの渡り線しか無く、大阪港線から11号池田線や12号守口線方面に向かうためには図-2に示すとおり環状線を約半周していただく必要があり、お客様にはご不便を強いていたところである。本ジャンクションの整備により、このようなご不便を解消でき、また無駄な燃料消費、二酸化炭素の排出等の抑制も期待できるものである。また、この区間は神戸線と大阪港線が合流する交通集中点でもあり、現在でも慢性的に渋滞が発生するポイントでもあるが、今回渡り線建設に伴う拡幅・車線増により、ここでの渋滞緩和も期待されるところである。


         図- 2 西船場ジャンクション整備による迂回の解消

工事概要と設計の特徴

工事概要
■  上部工
■  鋼単純合成鈑桁3連、鋼2径間連続合成鈑桁1連、鋼3径間連続合成鈑桁3連、鋼4径間連続合成鈑桁4連、鋼7径間連続合成鈑桁1連、鋼単純鋼床版箱桁2連、鋼3径間連続鋼床版箱桁2連、鋼単純合成箱桁1連
■  PC3径間連続中空床版ラーメン橋1連
■  橋脚工
■  鋼管集成橋脚12基、鋼製単柱橋脚3基
■  RC橋脚工20基、RC橋脚改築工24基
■  橋台工1基、L型擁壁工47.1m
■  基礎工
■  鋼製橋脚基礎工15基

過去の教訓から、縦目地を設けない構造に

上部工の設計
 上部工形式は、基本的に既存桁に合わせることとし、走行快適性、周辺環境への配慮、耐震安全性の観点から、可能な範囲で連続化を図るとともに既存桁の拡幅部分においては極力一体化させ縦目地を設けないこととした。
 これは、平成7年度に渋滞対策として行った環状線大阪港線合流部~大阪港線神戸線分岐部の車線拡幅工事において、既設橋脚の補強を不要とするために新設橋脚を既設橋脚支間中央付近に設置し、そこに縦目地を用いて分離構造とした拡幅桁を支持させたところ、鉛直変位50㍉以上、水平移動45㍉以上、床版遊間190㍉という条件を満たす大型の縦目地を設置することとなり、供用後に降雨時の走行性に問題が生じたほか、重交通により縦目地が損傷して大きな異常音を発生するなどし、その対策に多大な労力を要した経験から、これを教訓としたものである。

路下条件に応じた設計方針

下部工の設計
 下部工については、環状線側・大阪港線側それぞれの拡幅に対して、路下条件の違いから、それぞれ以下のように対応することとした。
 環状線拡幅部では用地確保が可能なことから、図-3に示すとおり既設橋脚の横に新設橋脚柱を設けて死荷重時の荷重、地震時水平力とも支持する構造とした。環状線路下は梁下空間が6㍍前後しかなく、基礎は厳しい空頭制限下での施工となる。

 
                     図- 3 環状線拡幅部一般図

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