道路構造物ジャーナルNET

SCBR工法を採用

NEXCO西日本 中国自動車道福崎新高架橋で大規模更新事業初の桁の全面的な取替

公開日:2018.11.16

 構造上の特徴
 構造上の最大の特徴はSCBR工法(右図)を採用していることである。横梁を介した同構造は中空床版形式による架け替えと比べて、「支承を一般的なパッド沓からゴム免震沓に変えることが出来るため、耐震性が向上し、なおかつ沓高が上がるため点検管理しやすくなるという利点があり」(NEXCO西日本)採用した。支承点数も従来であれば両側に14基ずつ必要となるが、横梁を介することで同4基ずつに大きく減らすことができた。


桁断面図

 また、落橋防止装置も横梁の下に付けられるため、今回のような下に国道が走る箇所においても建築限界を侵すことなく所定の装置を設置できる。同様の理由により既設桁と同じ桁高(600mm)に絞る必要があったため、設計基準強度を70N/mm2に上げる(通常は同50N/mm2)ことで対応した。横梁・主桁ともに高炉スラグ微粉末(50%置換)を混入したコンクリートを使用することで、塩害に対する耐久性を向上させている。


工場製作された桁及び横梁

プレテンションT桁およびプレキャスト横梁の説明

 主桁間の間詰コンクリートは、幅を従来より狭く(上端150mm、下端90mm)し、なおかつ高炉スラグ微粉末を混入することで耐久性を向上させている。また、床版横締めPC鋼材のピッチは500mmとし、活荷重載荷時に引張応力の発生を許容しない構造としている。またPC鋼材はプレグラウトタイプ(神鋼鋼線工業製)を採用した。


横締PC緊張状況

横締グラウト状況

 ジョイント部はA2側に設け、P8側は床版連結で対応し、走行性の向上と漏水による桁端および支承の劣化を防止する構造とした。施工は、WJで既設中空床版部の端部無垢断面を長さ980mm、高さ245mm、中空断面を同925mm、200mmはつった。既設桁との確実な連結を図るため中空部にまで鉄筋を挿入した上で、図面のようにコンクリートを打設して一体化した。なお、連結床版部の直下には20mm厚のクロロプレンゴムを配置して縁切れさせ、連結床版としての部材長2mを確保することで、PCT桁のたわみ角を吸収させ、連結床版に発生する断面力の低減を図っている。



連結部の側面図及び断面図

既設RC部の改良状況

連結床版工

 壁高欄は全て現場打ちで施工しているが、鉄筋は全てエポキシ樹脂塗装鉄筋(安治川鉄工製)を使用した。桁および高欄外面には剥落防止のため、全てアラミド三軸メッシュシート(SAMMシート)を貼り付けている。


伸縮装置部および壁高欄の施工状況

壁高欄外面部などにはSAMMシートを貼り付けている/壁高欄の打設状況

完成状況(左:舗装前、右:舗装後)

 元請はオリエンタル白石・日本ピーエスJV(桁撤去・架設)、日本道路(床版防水・舗装)。下請は廣内工業(桁撤去・架設)、コンクリートコーリング(切断・はつり)、澤田運輸建設(クレーン)など。(2018年11月15日掲載)

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