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SCBR工法を採用

NEXCO西日本 中国自動車道福崎新高架橋で大規模更新事業初の桁の全面的な取替

 西日本高速道路関西支社福崎高速道路事務所が所管する中国自動車道福崎新高架橋で、大規模更新事業初の桁の全面的な取替が行われている。同橋は橋長188.1mのRC中空床版形式を中心とした高架橋だが、国道312号を跨ぐ部分(P10~A2)は、支間長13.0m(全幅11.4m)のプレテンションPCI桁橋であり、その劣化が著しかったため、今回プレテンションPCT桁橋に架け替えることにした。架け替えに際しては、支点上に横梁を介することによって、支承数を省略し、支承構造を耐震的にも維持管理面でも改善できるSCBR(Smart Connected Bridge)工法を採用している。注目の現場をレポートする。(井手迫瑞樹)


諸元および損傷状況

 同橋は、昭和45年道路橋示方書に基づいて設計され、昭和49年に供用された。今回施工する現場のPCI桁は、主桁が34本もあり、横締めPCの平均スパンが1,000mmと比較的長く、かつその位置がちょうど桁高中間に位置しているため、「供用後長期間経過し、間詰コンクリートとPC桁の付着性が必ずしも保たれていない可能性があった」(元請のオリエンタル白石・日本ピーエスJV)。加えて床版防水は平成24年に初めて設置していた。また、間詰コンクリート部とPC桁との界面から伝った凍結防止剤を含んだ水が桁下に波及し、エフロの発生や剥落、劣化が著しい箇所ではPC鋼材の腐食切断を引き起こしていた。同橋は外側に2%の横断勾配を有しているが、やはり勾配の低い水下側ほど劣化が拡大している傾向にあった。これは以前取材した菅野川橋と同様の傾向である。このため、西日本高速道路の大規模更新事業としては初となる桁の全面的な取替を選択することとした。

既設橋縦断図/既設橋断面図(NEXCO西日本提供)

福崎新高架橋一般図の一部。右端のP10-A2が今回桁取替する部分だ(同)

施工前の福崎新高架橋(同)

主桁の損傷状況

撤去

 施工(桁の撤去~再架設)は、夏期交通混雑期明けの9月3日から11月5日までの予定だ。桁下が国道であるため、既設桁切断撤去時の不測の落下に備え、事前にH鋼材で桁下防護を設置した。撤去はまず桁上の舗装を剥ぎ、高欄を平均3mスパンでワイヤーソーを用いて吊切断する。具体的には、まず3mスパンで縦に切断し、25tクレーンで吊った状況で地覆から横に切る。次いで、34本ある桁を2本ずつ17ブロックに分けてコアカッター(支点部)およびロードカッター(通常部)で切断し、120tクレーンで撤去するが、切断後の撤去作業は2日間で施工を終えた。

切削(左写真)/壁高欄の撤去(中、右写真)

桁切断工(コアドリル/カッター/完了状況)

切断された桁の撤去

 この後が、通常の桁取替にはない工程である。SCBR工法は、支点上にパラペット形状の横桁を入れる構造であるため、「新設のPCT桁の桁高は既存のPCI桁と変わらないが、横梁と新設支承高分の高さ(約500mm)を新たに必要とする」(同)。そのため、既設橋脚を約600mm分はつり込んで鉄筋を出し、約100mm分新たに打設した。はつりは大半の500mm程度を連孔コア及びワイヤーソーで撤去し、最後の約100mmは機械式のWJを用いて丁寧にはつった。人家連坦地であるため、WJによる騒音を考慮し、平日は8時~17時、土日は9時~17時に時間を限定して施工した。

福崎新高架橋 下部工改良図 



既設橋脚を600mmはつりこみ100mm打設した


既設RC床版連結部もはつりこんだ


 桁架設~床版防水~舗装

 桁架設はまず梁の下側に支承を付けた横梁(10.5tおよび14t)を120tクレーン(桁架設も同機種を使用)で両橋脚に設置、仮受けし、その後、14本のPCT桁(1本当たり8t)を真ん中から順次架設していく。桁の架設(・撤去も同様)に際しては、直下の交通や家屋に配慮して、桁吊時の旋回半径を既設桁内に収まるよう配慮するとともに、一時的に直下の交通を止めて施工した。


横梁の架設状況


T桁の架設

架設時には交通規制を行った

 主桁間の間詰に際しては、桁下防護からPCT桁下端のクリアランスは200mmしかない。これは桁下の国道制限高を確保するため、それに対応した防護高さにしたためだ。

 そのため間詰部の下端には高密度ポリエチレン製の埋設型枠を設置し、また中間横桁を要しない上部構造として桁下での作業を不要とした。埋設型枠本体には鉄筋を貫通させ架設後の剥落も抑止する構造とした。貫通鉄筋はステンレス鉄筋を採用、ひび割れによる水が入っても簡単には腐食しないようにしている。

高密度ポリエチレン製の埋設型枠/T桁の下端と足場間にはほとんどクリアランスが無い

 架設した桁は、横組コンクリートで横梁と一体化し、沓座モルタルの打設と、横締めおよびグラウトを施工した。横梁の仮受けを撤去して、既設中空床版橋と鉄筋および特殊モルタルで連結し、ジョイントを無くしたシームレス構造にすることで漏水による支承や桁の損傷を未然に防いでいる。その後、壁高欄(現場打ち)を打設、高性能床版防水を施工した上で舗装を敷設し、工事を完了した。なお床版防水はダイフレックスの「レジテクトGS-M工法」を採用している。同工法を採用した理由は、珪砂を撒いて清掃する必要がないためだ。

ジョイントをなくしたシームレス構造とする/横組みコンクリートの打設

横組みコンクリート打設完了状況

床版防水工の施工①(左、中:床版と防水層間プライマーの塗布、右:防水層の施工)

床版防水層の施工②層間プライマーの塗布/舗装接着層の塗布