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全て桁下から施工可能で交通負荷がかからない

NEXCO東日本新潟支社など6社 RC中空床版桁端部に特化した補修技術を展開

 NEXCO東日本新潟支社、ネクスコ・エンジニアリング新潟、ネクスコ・メンテンナンス新潟、長栄工業、久野製作所、テクノジェットの6社は、新潟支社が制定した「橋梁桁端小遊間部補修システム設計・施工マニュアル」に沿った「橋梁遊間部補修技術」を展開している。対象はRC中空床版橋の橋梁遊間部(最小25mm)。調査からウォータージェット(WJ)による斫り、塩分吸着剤入りポリマーセメントモルタル(PCM)を用いた断面修復、含浸防水材まで一連の工程を行う工法で、全て桁下から施工できるため、交通規制をかけることなく狭小な桁端部を補修できるのが特徴だ。(井手迫瑞樹)



全て桁下から施工できる

 従来、RC中空床版桁の端部は、「遊間が狭小なため、今まで補修することが困難であった。加えて、施工時に設置した発泡スチロールの捨て型枠が一部残ってしまうことから、調査の障害となっていた。」(ネクスコ・メンテナンス新潟)一方で、ジョイントの非排水装置の劣化によって桁端部から生じた凍結防止剤を含む漏水が桁端部や桁下面を侵し、塩害による損傷を招いていた。

 同社を含む各社は、既に桁下面については狭小部用XY2軸斫りWJおよび狭小部用湿式吹付ノズルを利用した補修技術を活用し、実用化している。現在展開している遊間部補修技術はそれに続くもので、斫りについてはWJ、補修については吹付ノズルや型枠を利用するが、いずれも狭小部のため、機械による遠隔操作で対応する。

 

 さて、まずは狭小な遊間部の点検である。発泡スチロールの捨て型枠を高圧洗浄により除去した後、桁端部の両側に上下に冶具を移動可能な支柱を建て、遊間部にワイヤーを挿入し支柱と繋げる。ワイヤーには概略調査の場合、CCDカメラ、自然電位測定(鉄筋の腐食調査)の場合、銀塩化銀照合電極をワイヤーに接続し、上下については冶具を移動し、水平方向についてはワイヤーで動かすことにより、満遍なく端部の状況を確認することができる。また、詳細調査については、スキマミルという狭小部用のカメラを挿入して撮影し、解析を行う。今後は打音点検についても開発を進めていく。塩化物イオン濃度測定は遊間部と同様な環境と思われる桁側面から試料採取したもので行う。

CCDカメラによる調査

自然電位測定

スキマミル

塩化物イオン調査のための試料採取

 損傷が見つかった場合、補修工程に移行するが、斫りはWJによって施工する。WJの場合、反力を考慮しなくてはいけないため、左右を渡す支持材は鋼製のロッドを使用する。

 まずWJの水平方向及び上下方向移動が可能な架台(送水装置)を設置し、WJのノズルのついたロッドを渡す。移動用架台レールを敷設し、ロッドを支持するリフト装置を設置する。水平方向についてはノズルの送水装置の伸縮、上下はリフト装置によって高さを調整することで面的にスムーズに斫ることが可能だ。実績では「上下500mm~600mm、左右7700mm~9900mmの桁端部を斫ったことがある」(同)ということ。

WJ斫り装置/はつり後状況と上端の保護設備

 WJ施工時は、上部へ水が噴出しないような養生が必要だが、今回の工法では、施工前に遊間へワイヤーにスチールパイプ及び止水ゴムを通し、水の漏出を防いでいる。また、WJの水圧・水量については工法開発の過程でRC中空床版桁に対応した閾値を決めており、これに現場の状況を加味することで実際の数値を決めて斫り過ぎあるいは不足が生じないように努めている。斫り深さは最大でも50mm程度に抑え、3年以内に塩素イオンと亜硝酸イオンのモル比を0.8を超えるようにして防錆雰囲気を形成している。


 補修は、鉄筋防錆材(塩分吸着剤入り高性能防錆ペースト)を吹き付けた後、型枠を設置して、塩分吸着剤入りのPCM(SSI工法)を用いて断面修復する。PCMの養生が完了した後に吸水防止性を有するシラン系含浸材(プロテクトシルCIT)を表面に塗布し、上部からの再漏水の浸透による損傷を抑止する。
 
型枠の建て込み(橋台部) スタイロフォームの設置/底面の木製型枠

型枠の建て込み(橋台部)② 側面の木製型枠

 補修工において難しい点は極めて狭小な部位の桁端部をどのように断面修復するか、そのための型枠を設置するか? である。「スタイロフォームを妻型枠として用いて、さらに側面と底面に木製の型枠を設置する必要があるが、現場ごとに型枠寸法も変わるためここで多くの時間が必要になる」(同)。型枠設置後は、グラウトを下部から注入していき、徐々にモルタル面を上げ、充填は上部のリーク口からの溢出により確認する。打継面は事前に湿潤状態にしておき、ドライアウトを防止するよう努めている。

グラウト充填確認状況

断面修復された桁端部(橋脚/橋台)

含浸材の噴霧(橋脚/橋台)

 施工にかかる日数は、橋脚上5㎡/断面あたりでWJによる斫りに6日、型枠設置に6日、断面修復工に1日、含浸材塗布に0.5日の実質約2週間程度で施工できる見込みだ。既に、北陸道の猫興野高架橋、中谷内高架橋、関越道の久瀬川橋などで施工実績を有している。

 橋台部はもちろん、独立2柱形式の橋脚部で両側の桁端部にも対応可能だ。
(2018年10月11日掲載)