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高炉セメントを用いて高耐久RC床版実現へ

相馬福島道路 桑折高架橋 桁架設が終盤

公開日:2018.10.05

 国土交通省東北地方整備局福島河川国道事務所が建設を進めている相馬福島道路(霊山~福島)で最長となる桑折高架橋(仮称)の桁架設が終盤を迎えている。同橋は橋長1,218mの3+5+4+3+4径間連続鋼箱桁橋(床版はRC構造)。既にA1側3径間の桁を除いて架設に着手済みであり、東北本線と東北新幹線を跨ぐ部分(P13~P14)の桁架設はJR東日本に委託して、8月下旬から9月中旬にかけて主に夜間作業によって施工された。なお桁の架設に関しては、P13~14間以外の径間は全てトラッククレーン+ベントで架設している。


橋梁一般図(福島河川国道事務所提供、以下注釈なきは同)

上部工構造概要図/空撮写真

 跨線部の架設長は75.1mだが、事前に11mほど鉄道上に架からない部分を送り出しており、公開された8月26日だけで、ダブルツインジャッキ(700kn×2)を用いて手延べ桁をP13側からP14側へ合計61m送り出し、手延べ桁先端をP14橋脚先端まで到達させた。27、28、29日深夜にも同様に施工して合計約118m送り出した上で、9月11~13日の各深夜に桁を約6mジャッキダウンさせて所定の高さに調整した。貨物列車も含めた電車や新幹線が通過する同地の施工時間は通常1日当たり正味約90分しかない。この時間内に必要な長さを架設するため、送り出しではダブルツインジャッキを活用した。施工では安全かつ迅速な高い技術が要求されることから、工事は鉄道事業者であるJR東日本に委託することにした。


跨線部架設前状況(井手迫瑞樹撮影)



数回にわたって夜間に桁を渡した

桁の送り出しに使ったダブルツインジャッキ/現在は桁降下も完了している

 同橋は現在19径間中8径間の架設を完了しており、残りの桁の架設を進めるとともに、今後は床版の打設を進めていく予定である。床版については、塩化物イオン浸透抑制ならびにASRの抑制効果の高い高炉セメントを使用した高耐久RC床版を施工する方針である。高耐久床版は今後、パイロット的に現場で試験施工し、来春から本格的に施工していく予定だ。
 なお、新幹線を跨ぐ個所とその前後の3径間については、維持管理性を考慮してグレーチング床版を採用している。
 設計は長大など。跨線部施工は鉄建建設。(2018年10月5日掲載、井手迫瑞樹)

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