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呉市

平成30年7月豪雨 被災現場を巡る②

公開日:2018.08.07

(2020年7月豪雨を受けて、過去の水害による被災現場を歩いた記事を一定期間トップページに掲載いたします。何らかの参考になればと思います。(井手迫瑞樹))
 6月28~7月8日にかけて、西日本を中心に北海道や中部などを広範囲に襲った平成30年7月豪雨は、各地に甚大な被害をもたらした。7月26日時点で死者は219人が確認された。JR山陽本線、呉線、芸備線、福塩線なども一部区間が不通で、高速道路も一時は山陽自動車道などがその機能を一時止め(7月15日復旧)、現在も中国道および高知道の一部で対面通行規制が続いている。また、広島呉道路は未だ復旧が成されていない(11月見込)。本サイトでは7月25、26日の両日、最も被害が大きかった地域の一つである広島県内のうち、広島市、東広島市、三原市、竹原市、呉市の橋梁被災を中心に取材した。前回は広島市~竹原市の橋梁被災状況を報じた。今回は呉市に焦点を絞って現場を歩いた状況をお届けする。(文・写真:井手迫瑞樹)

※平成30年7月豪雨 被災現場を巡る①の続きです。

 2日目は、呉に向かった。岡本社長に呉の渋滞状況について聞いていたため、広島駅近くの宿を4時半に出立した。広島高速にのって海田大橋で降り、広島熊野道路(暫定的に無料化していた)、県道34号を伝い、北部から呉市に入った。同市が所管する橋は7月24日現在で14橋が被災、それらの橋を取材した。

 まずは安浦町中畑の中畑川に架かる中畑3号線1号橋に向かう。道すがら崖崩れ箇所の多さ、巨大さに息をのむ。豪雨後3週間弱経った今の状況で、これならば、一体直後はどんな状況だったのだろうか。そして人口希薄な箇所の再建はいつから本格化出来るのか、考え込むと気が滅入る。



中畑地区を北から南へ走る

左手の山は中腹から崩れている

砂防堰堤も飽和したか/泥だらけになった田んぼ

美しい棚田も半分が壊れていた

 1号橋は片側の橋台がなく、桁が落ちていた。向こう側は道そのものが無い。


中畑3号線1号橋は崩落していた

 次いでまず中畑川下流の同町内海北ないし南の被災した橋梁に向かう。
 内海北地区にある、単純鈑桁のこの橋は、勾配の低い右岸側橋台背面が抉られていた。橋の上下流とも右岸側護岸が広範囲に大きな損傷を受けていた。


橋台背面がえぐられていた

下流側右岸は大量の土砂や流木、岩が堆積していた

 さらに上流に車を走らせると、橋脚を失った? 桁を即席のベントで支えている橋があった。さらに上流の北川橋、北川宮ノ前1号橋はいずれも全径間および橋脚1基を流失していた。狭い歩道の一角を渡す沖北川1号橋も桁、橋脚とも流失した。


つっかえ棒?

北川橋①

北川橋② 落橋した桁、倒壊した橋脚

北川宮ノ前1号橋

 さらに南に向かい、呉線を跨ぐ跨線橋を超えて、内海南地区へ向かう。八重垣神社と対岸を渡していたポニートラスの沖浦尻北2号線1号橋(おそらく歩道橋)、その上流の浦尻上橋も橋脚、桁ともに流失していた。


沖浦尻北2号線1号橋/流失した桁の一部か

流失した浦尻上橋/塗装履歴は平成13年12月と書かれてあった

浦尻上橋の下流左岸は護岸が崩壊して多大な被害を与えていた

 次いで、来た道を戻り向かった安浦町赤向坂の赤向坂4号線1号橋は同線が赤向坂川を渡河し県道334号に合流する地点にある橋だが、崩落していた。


赤向坂4号線1号橋も崩落していた

 さらに県道353号に分岐し、安浦町女子畑(めごばた)の女垣内(めごうち)1号橋に向かう。東広島市安芸津町大田との市境にあるその橋は林道が高野川を渡河して県道353号に渡る橋であったが、ここも桁が流され、現在は仮橋を架けて復旧が進められていた。


女垣内1号線1号橋も崩落、隣に仮橋が架けられていた。
傍らには「御大典記念 林道開発碑」が建っていた。昭和天皇の即位の礼に合わせて造られたのだろうか

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