HOME現場を巡る一覧施工総研など4者、コンクリート構造物の微破壊検査技術核に「Triple EYE」協会設立

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コンクリート床版で70現場以上の採用実績 下面からも調査可能

施工総研など4者、コンクリート構造物の微破壊検査技術核に「Triple EYE」協会設立

 (一社)施工技術総合研究所(施工総研)とティ・エス・プランニング、トクヤマエムテック、ニチレキは、小径微破壊コンクリート内部調査手法「Single i工法」(NETIS HK-150004-A)のさらなる普及を図るため、1月11日に(一社) Triple EYE 協会を設立した。会長はティ・エス・プランニング社長の佐藤智氏、専務理事には施工総研技師長の谷倉泉氏が就任する。また顧問として大阪大学名誉教授の松井繁之氏を招く。Single i工法は、主に道路橋床版の内部ひび割れなどの損傷情報を得るため、機械設備、削孔、注入材、撮影、画像処理および補修の各分野の最新技術を結集して開発された微破壊試験方法で、既に国土交通省、NEXCO各社、阪神高速道路など、70現場以上の採用実績を有している。Single i 工法は、小口径のコアドリルで開けた穴に蛍光色のカラー樹脂を注入し、次いで撮影用のカメラを開口部に挿入し、等速度で移動させて撮影することで、床版のひび割れや空隙が生じているかを確認できるもの。機材は軽量で設置が簡便であり、母材にもほとんど損傷を与えない他、調査コストについても、コアを採取して実施する従来の調査方法の半分程度に抑えることができるのも魅力だ。


上面からの削孔

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 同工法の調査対象は主にコンクリート床版。具体的には、従来の小口径コアドリルよりもさらに小さい削孔径(φ5mm)で開けた孔に蛍光色の特殊カラー樹脂を注入する。樹脂が硬化した後に、同箇所を再小径φ9mmで再削孔し、壁面を露出させる。その後、エンコーダを用いて超小型の工業用内視鏡を等速で挿入し、側視(120°角)画像で精度良く効率的に動画撮影したのちに、深さ方向に記録した動画と画像を処理して数分で柱状図を得る。ひび割れ幅の測定精度は0.01mm以下であり、この柱状図から(カラー樹脂の分布をもとに)ひび割れや豆板、土砂化、空隙やASRリム、増厚部の層間剥離の観察も可能。施工時間は、削孔5分、樹脂注入固化15分、調査5分、孔埋め補修5分の合計約30分であるため、複数の施工班で段取りをうまくやれば、1時間に多数の削孔調査も可能だ。現状での最大穿孔深さは300mmと通常の床版であれば十分対応できる。



極細カメラによる内部撮影


撮影画像の合成

 Single i の削孔に使っているロングビットドリルはブレのない直線的な削孔が精緻にできるため、鉄筋に触れた場合には作業者の感触でもすぐに感知できる。さらに、同ドリルの削孔における回転強度(トルク)は比較的弱く、かつ使っているダイヤモンドビットも金属類では滑り抵抗の弱い特殊な配合のため、鉄筋を切断することなく即座に作業を中止することが可能だ。

 調査治具は軽量であり、舗装上面からの下向き削孔だけでなく、真空固定によるコンクリート床版の上向き削孔および樹脂注入も可能であるため、都市高速道路など、路上の交通規制が困難な箇所でも規制を伴うことなく使用できる。都市高速道路では床版下面が鋼板補強されている箇所もあるため、内部を見ることができず点検の妨げになっているが、Single i 工法は、治具を真空吸着させて鋼板下面からの穿孔も小口径(φ30mm)で施工可能であるため、補強部材や母材への影響を最小限にして点検・診断することが可能だ。鋼板補強した床版下面においては、床版の損傷だけでなく、床版と鋼板の接着状況も調査の対象になるが、界面が剥がれていないか、水が滞留していないかなども僅かな隙間で視認できる。状況によっては、鋼板削孔を排水口あるいは観察口として利用できる可能性もある。これまであやふやで頭を悩ませていた補修すべき範囲を把握し、事前により具体的な施工計画を立案したり補修費用を見積もることができ、点検や対策に係る費用を大きく縮減できる可能性が高くなると言えそうだ。



床版下面からの施工


鋼板接着している床版への調査も可能だ


 さらに現場で取得した動画データを用いて、撮影後2、3分でひずみ差の極めて小さな内面の展開写真を現場でプリントアウトして示すことができるフレキシビリティも有している。

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 佐藤智会長は、Triple EYE 協会の名称イメージについて、「「intelligence」「inside」「inspection」の3つのiとコンクリート内部を見る眼(EYE)、社会貢献を通じての「愛」を理念化したもの。さらに構造的にも3次元の視点(トリプル・アイ)を持ち、そして将来的にはこの工法で明らかになった変状に対する補修工法も提案するという思いから「現状把握、補修対策、モニタリング」の3分野についても眼(EYE)を向ける協会でありたいと願っている」と述べた。また、「今後は床版だけでなく梁や橋脚、ボックスカルバート・ダムなどのコンクリート構造物の調査にも分野を広げるほか、電磁波レーダーなど他の非破壊検査試験と組み合わせた非破壊・微破壊点検手法の提案や、損傷レベルに応じた補修方法の提案などができる協会としても発展させていきたい」と話している。

 同協会は4月に設立総会を行う予定。設立にあたっては、実際に現場で調査を行うコンサルタントや施工会社などを中心に正会員、賛助会員などの募集を行っている。問い合わせは(info@triple-eye.or.jp)まで。