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三井造船鉄構エンジニアリング(現:株式会社三井E&S鉄構エンジニアリング)が応急・本復旧とも製作・施工

NEXCO西日本九州支社 大分道・並柳橋の復旧工事の軌跡

公開日:2017.12.16

桁端部の撤去、再架設は上り線から施工
 クレーンは4台配置、中央部に部材運搬用のトレーラーも配置

 桁長の調整が必要な鈑桁・トラス桁端部の撤去・再架設(総延長は上下線とも48m)は、まず仮桟橋側に面していない上り線側から始めている。部材取替は車線規制をしながら施工する必要があり、上弦材が床版にくっついていることもあって床版をとって上から部材を取らなくてはいけない。その間はベント(8基)で支えているので落橋することはないが、部材を一時的に取り払い、道路がなくなる状況になるため、上下2車線ずつのどちらかを対面通行にしてどちらかを開放した状況で施工している。


上り線床版・桁取替計画図(側面図)

同平面図

 上り線は4つのクレーンを配置しているが、注目すべきは中央部にクレーンと部材運搬用トレーラーを配置している点だ。通常は1台のクレーンで片押し施工するか、使っても2台のクレーンで中央から両端に向ける形で撤去・再架設するのがこうした現場のセオリーだ。今回、クローズドな箇所にもクレーンを配置したのは、やはり早期供用を重要視したため。床版や桁、支承の撤去、再設置・架設を4箇所同時に行うことで工期を短縮した。工程は下記フローチャートの通り。


桁および床版の取替えフローチャート

上り線の一部の桁の撤去状況遠望。4台のクレーンが動いている。また青いベントも視認できる

トラス端部を支えているベント


桁の撤去状況 中々見ることがない構図だ。右下は上沓を直したトラスの端部。ここも撤去した>
(左上のみ提供写真、その他は井手迫瑞樹撮影)

WJで鉄筋をはつり出し
 プレキャストPC床版は48枚のパネルを架設

 高欄はワイヤーソー、床版はダイヤモンドカッターで切断し、ジャッキアップしてクレーンで吊り出し撤去した。また、残す側の端部は再架設時の施工性やマイクロクラックなどを考慮し、WJで鉄筋をはつり出している。次いで鈑桁・トラス桁、次いで支承を撤去した。既設沓座もWJできれいにはつりこみ新たな支承を据え付けた。次いで鈑桁およびトラスの端部取替桁を架設する。桁およびボルトは全て溶射+封孔処理で防食している(伸縮装置に採用しているmagebaジョイントは通常の塗装仕様)。伸縮装置を設置後、プレキャストPC床版を架設した。プレキャストPC床版は上下線合わせて48枚のパネルを架設した。


桁架設状況および桁架設完了状況

 床版端部はエンドバンド継手を採用し、工期短縮している。また、床版および継手部の鉄筋は全てエポキシ樹脂塗装鉄筋を採用している。


床版撤去(本来、撤去はここから始まる)と桁架設後のプレキャストPC床版設置工

壁高欄の撤去

間詰コンクリートの打設状況/設置されたmagebaジョイント

 施工管理上の苦労は、現場が標高700m九州では一番の積雪寒冷地であり、冬は降雪が多いという点だ。本復旧・耐震補強のための仮橋の施工は昨冬に行ったが苦労した。今冬の施工も円滑に行うため、議論を重ねている。上り線は年内までに完了する予定で、下り線を1月下旬から行い、来年のGW前までには本復旧・耐震補強を完了させる予定だ。


上り線のほぼ完成した状態

下り線床版・桁取替計画図(側面図)

同平面図

 元請は三井造船鉄構エンジニアリング(現:株式会社三井E&S鉄構エンジニアリング)。下請は岩崎工業(桁取替工)橋栄(足場工)第一ダイヤモンド工事、オリエンタル白石(床版取替工)今村工業(現場溶接工)、マエダ工業(支承取替工)、ホーク(橋脚補強工)など。
(2017年12月18日掲載)

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