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ゲルバー部を無くし、3連の連続PC箱桁に集約

首都高速1号羽田線勝島地区高架橋 外ケーブルによる連続化225mは日本一の長さ

偏向装置を3タイプ合わせて430箇所に設置

 外ケーブル補強工を44主桁で実施

上部工

 現在、施工が進む同高架橋上部工の改良工事の内容は、外ケーブル補強工44主桁、ゲルバー部の連続化・床版連結26レーン、支承取替工3橋脚など。


上部工工事概要図


 ゲルバー部の連続化は外ケーブル補強で行う。連続化する箇所を含む中間支点上の箱桁上部にF270TSのPCケーブルを配置し片引きで緊張、連続化する桁全長にわたっては箱桁下側にF200TS相当のPCケーブルを配置する。

 主体となる桁全長に配置する補強PCケーブルを箱桁下側に配置したのは、「既設のPC鋼材配置から、下縁補強が必要であったため」(首都高速)だが、既設の桁に効率よくプレストレスを導入することと点検・維持管理性にも配慮するためには、補強PCケーブル配置のディテールが重要となる。そのため、偏向装置を3タイプ合わせて430箇所に設置した

(下図参照)。


偏向装置タイプ決定図

慎重に削孔

 補強鋼板を設置する個所も

 外ケーブル補強によって既設横梁を貫通する部分や、偏向装置を取り付けるアンカー設置部分には適切に孔をあける必要があるが、既設鉄筋位置や既設PC鋼材の位置を確認しないと損傷させてしまう。そのため、ゲルバー部を含む既設横梁に補強PCケーブルを貫通させる孔の施工に際しては、レーザー測距をした上で桁内において墨出しを行い、電磁波レーダーなどで鉄筋探査を行って孔明け位置を微調整した上で、ウォータジェット(WJ)によってφ60mmの導入削孔を行い「調査」(川田建設)した。続けてゲルバー部においては内部のWJ清掃や遊間部への無収縮モルタルの注入を行って一体化した後にWJを用いて正規のφ165mmの削孔を行った。その後、箱抜き管を取り付けて箱抜き管周りにグラウト材を注入、切断することにしていたスターラップの鉄筋量に相当する補強鋼板を貫通孔面に設置した後、補強PCケーブルを配置し緊張した。


外ケーブル補強工フローチャート



外ケーブル補強工工程写真


レーザー測距、補強鋼板を設置していることもわかる(井手迫瑞樹撮影)


外ケーブル用に削孔した個所(井手迫瑞樹撮影)


偏向装置設置のための丁寧な墨出し(井手迫瑞樹撮影)

 偏向装置の設置については、ウエブや下床版に多くのアンカーを打ち込み固定する必要がある。そのため、上記貫通孔と同様、桁内でレーザー測距により慎重に計測しながら墨出しを行うが、「既設PC鋼材の位置が必ずしも設計図通り配置されていないこともある」(川田建設)ため、X線撮影装置を用いて透過撮影して確実に既設PC鋼材や既設鉄筋の位置を把握した上で、それをかわした位置に穿孔を行い、コンクリート表面をチッピングして偏向装置を設置している。


 本工事で最も特徴的といえるのは、横浜側端部1493橋脚の新しい鋼製受梁の設置だ。同橋脚はゲルバー構造となっており、ゲルバー特有の損傷が生じている。この箇所の支承取替を行い反力を受け換えるため、ゲルバー構造の下に新たに高さ1m、幅6m、長さ3m(重さ15t)の鋼製受梁を(上、下、ランプ)の各橋脚ラーメン横梁から支持する形で設置し、桁を下から受けることにした。他の部分のように新設橋脚を設置しなかったのは、この場所が競馬場のバス転回路に面しているためだ。鋼製受梁は設置後の交通荷重によるたわみ変形を考慮し、活荷重によるたわみ量を2mm以内に抑えられる剛性にするため500mmピッチでリブを配置している。


500mmピッチでリブを配置(井手迫瑞樹撮影)


1493橋脚支承取替一般図


1493橋脚の支承取替工フローチャート

 鋼製受梁の施工は、競馬場周辺の最終バスが通行した後の23時から規制を行い、0時~2時までの正味2時間で架設することを要求された。低床トレーラーに新設PC桁架設に使用する40tリフターと製作したスライド機構付きターンテーブルを載せ、さらにその上にブラケットを積載して桁下の取付位置まで運搬する。

 鋼製受梁の取付箇所には、事前に受梁を固定するアンカーボルト(PC鋼棒-φ23mm(M24))を1ブラケット当り50本定着した。ラーメン橋脚の既設鉄筋や既設PC鋼材を避ける必要があることから定着位置は不規則であり、鋼製受梁の孔は、それを考慮し、アンカーボルトとの誤差が5mm以内に収まる精度で製作されている。


低床トレーラーに運ばれる桁/1ブラケット当たり50本分定着されているアンカーボルト/現場へ近づく

(井手迫瑞樹撮影)



回転して位置を合わせる(井手迫瑞樹撮影)


仮添接前の鋼製ブラケット(井手迫瑞樹撮影)

 夜間架設ではこの位置に合うように設置し,仮添接までを行った。50本のアンカーに鋼製受梁を合せることは至難の業であり、これらの施工をスムーズに行うため、川田建設は同社の機材センターで夜間架設のデモストレーション行い、夜間施工の手順と施工時間がタイムスケジュール内に収まることを確認している。



1493橋脚工程写真①

 後日、鋼製受梁と取付位置の隙間に無収縮モルタルを注入し、アンカーボルトには交通荷重による振動対策として緊張力を導入した。次いで、鋼製受梁取付後に寸法計測を行い製作した調整プレートおよび新設支承の設置などの一連の作業を行った。既設ゲルバー部はWJで清掃した上でワイヤーソー工法により切断分離し,鋼製受梁に設置した新設支承に反力を受け換える。なお、ゲルバー部の切断分離に用いているワイヤーソーは下部工施工と同様に施工時の騒音が小さく、粉塵や濁水を発生させない無水タイプの機械を用いている。


1493橋脚工程写真②

 “構造物改良工事1-203”の工期は平成27年6月~30年3月まで。元請は川田建設。下請はアイピーエス、ウォータジェット削孔は久野製作所、ワイヤーソーはアクティブ がそれぞれ担当している。支承は川金コアテック、外ケーブルはエスイー、炭素繊維補強材は新日鉄住金マテリアルズ、剥落防止材は日本ペイントの製品がそれぞれ採用されている。