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覆工補強工でガイナCFシート工法UDタイプを採用

NEXCO西日本 長崎道 日岳トンネルで覆工補強工事を実施

 西日本高速道路(以下「NEXCO西日本」)九州支社は平成28年5月24日から平成29年10月30日にかけて、長崎自動車道の日岳トンネル上下線で覆工上半部の補強・補修工事を行った。覆工補強工事は、NEXCO西日本が管理するトンネルでは初めての大規模更新・修繕事業であり、補強工事とあわせて覆工補修工事も行われた。炭素繊維シート2層の貼り付けを実施した覆工補強工の総面積は約6,800㎡におよび、覆工はく落対策の補修工総面積は約6,000㎡だった。(大柴功治)


供用から35年が経過

 覆工目地を跨ぐ最大幅3mmのひび割れが縦横断に発生

 長崎自動車道の大村IC~諫早IC間にある日岳トンネルは、矢板(在来)工法で掘削され、昭和57年11月の供用から35年が経過している。延長は上り線が777m、下り線が780m。平成17年度から覆工背面空洞注入工事を開始して平成20年度に完了したが、上半部の大規模な補強・補修工事は今回の工事が初めてとなる。

 上下線ともに諫早IC側坑口から約250mにかけて上半覆工コンクリートにひび割れが多数発生しており、その一部から漏水が生じていた。ひび割れは最大幅3mmで、トンネル縦断方向、横断方向のどちらにも見られたが、他のトンネルでは見られない覆工目地を跨ぐひび割れも発生している。




ひび割れの状況(NEXCO西日本九州支社提供、以下注釈なきは同)


 建設から数年後にはひび割れが発生していることから、背面空洞があることで地山が緩み、上部から地山の土圧が覆工コンクリートにかかったことが、損傷原因と想定された。また、地山の岩質は玄武岩、凝灰岩、砂岩が主なものだが、この区間の主な岩質が風化しやすい火山礫質凝灰岩であることも、ひび割れが多数発生した一因と考えられた。しかし、平成16年度からの5年ごとの点検ではひび割れの進行は見られず、覆工コンクリートはアルカリ骨材反応もなく、設計基準強度と設計厚を満たしていた。そのため、地山から土圧が現在も継続してかかっていることはなく、建設時と覆工背面空洞注入工事前に発生したひび割れと判断された。



地山の岩質図


 そのほか、諫早IC側坑口から約250m以外の区間でも横断方向のひび割れが見られたほか、全線にわたり浮きと、矢板工法で建設されたトンネルの特有構造であるせめ部(上下半打ち継目)で漏水と経年変化による劣化が生じていた。


覆工補強工は上半全周が対象で延長約250m

 そのほかは補修区間として覆工はく落対策工を実施

 今回の覆工補強・補修工事では、顕著なひび割れが発生している諫早IC側坑口から約250m(上り線231m、下り線276m)を覆工補強区間としてNEXCO西日本のトンネルでは初めてとなる大規模更新・修繕事業として施工した。



日岳トンネル 平面図


日岳トンネル 断面図


「トンネルでの大規模更新・修繕事業の対象となる条件は、覆工コンクリートの健全度が低いことと、矢板工法のトンネルで地山が凝灰岩などの風化しやすい岩質であること」(NEXCO西日本九州支社)としている。日岳トンネルはその条件にあてはまり、コンクリート片のはく落の可能性もあって第三者被害も想定されたことから早急の対策が必要になっていた。また、「施工時の交通規制にあたり規制協議や準備工事などの事前準備に時間を必要とする特殊な交通規制ではなく、一般的な車線規制で行うことができたため、早期の工事着手が可能だった」(同)ことも、初の大規模更新・修繕事業対象トンネルの理由となった。

 補強区間は、覆工コンクリートを建設時と同等の状態に戻すことを目的として、上半全周が対象となった。補修区間は、補強区間を除く上り線546m、下り線504mで部分的に損傷したコンクリート片落下対策を目的としている。

 工事は、ひび割れ補修工や覆工補強工、覆工はく落対策工、せめ部の漏水対策工が並行して行われ、さらに「上下線での同時施工のため、工程管理が煩雑であった」(元請のケー・エフ・シー)。また、「使用材料によっては気温と温度が適切でないと性能に影響が生じるため、工程調整と現場確認が重要になる。特に使用材料にエポキシ樹脂系のものがあり、冬季は気温が低いために工事実施ができない時期があり、常に工程見直しの必要があった」(NEXCO西日本九州支社)という。



補強区間と補修区間(一部分)の損傷状況と対策工図