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着手から1年半の短期間で完了、9月14日供用へ プレキャスト部材を多用

首都高速道路 1号羽田線東品川桟橋・鮫洲埋立部上り線迂回路を現場公開

公開日:2017.09.06

 首都高速道路は6日、14日から供用する高速1号羽田線(東品川桟橋・鮫洲埋立部)の上り線迂回路(約1.9km)を記者団に現場公開した。同迂回路は現道と護岸との間の狭い運河部に建設したもの。昨年2月に工事着手し、約1年半の年月をかけて完成の運びとなった。同工事は最大で日約350人が従事。プレキャスト部材を多用することで工期の短縮に努めている。


東品川桟橋・鮫洲埋立部の更新計画。迂回路は緑色の線。最大で3%の縦断勾配を有する(首都高速道路提供)

最大の勾配を有する大井北埠頭橋を潜る部分を俯瞰(井手迫瑞樹撮影、以下注釈なきは同)

現在はSTEP1が完了、今後STEP2に入っていく(首都高速道路提供)

 迂回路の構造は、中央部の1.6kmが合成鈑桁構造で、大井北埠頭橋部を潜る170mがPC梁スラブ構造による半地下形式、鮫洲および天王洲アイル付近の両端部約130mがPCプレテンホロー桁となっている。迂回路を限られた工期の中で完成させるためプレキャスト部材を多用していることが大きな特徴だ。


合成鈑桁部の構造(首都高速道路提供)

PC梁スラブ構造(首都高速道路提供)

端部はプレテンホローを採用した(側面写真/桁下から)

 とりわけ大部分を占める合成鈑桁は基礎の回転杭をそのまま橋脚に使うパイルベント形式の下部工を採用、その上にPC製の横梁を被せ(パイルベントとはグラウトで一体化)、横梁の上に支承を挟んで鈑桁を架設、プレキャストRC床版を設置し、壁高欄もプレキャスト部材を用いて構築した。仮橋について従来の桟橋構造ではなくパイルベント構造を採用したのは、杭本数の削減(それでも約300本に達するが)により、周辺への圧迫感、煩雑感を緩和できることや、桁下空間を広く確保できることで工事用道路としての活用が可能になるため。施工にあたっては、周辺構造物への影響を低減するため、回転鋼管杭を用いている。基礎深さは25mから最大35mにおよぶ。
 横梁をPCにしたのは、「鋼製の梁であると添接にせよ溶接にせよ膨大な工数を要するが、PCの場合4点にグラウトを施すだけで脚との一体化が完了するため簡易かつ迅速に施工できる」(首都高速道路)ことから採用したもの。
 迂回路の総幅員は3.25×2車線+路肩の合計8.5mだが、地覆も含めると床版の左右の長さは9.12mに達する。同迂回路の合成鈑桁上には長さ2m、最大幅9.12mの床版ブロックを800ブロック弱敷き詰めて、さらに両端にプレキャストRC高欄を配置していく。具体的には、桁まで架設した後、1スパン(3径間連続合成鈑桁、約90m)毎に床版をスパン全面に設置し、次いで高欄を架設し、グラウトなどで一体化していくという工程を繰り返していく。こうしたシステマチックな施工を行うことで、予定通りの工期内で迂回路を建設することができた。鋼重は回転鋼管杭、鋼桁合わせて2,900tに達する。


合成鈑桁部(側面および桁下から撮影)

 舗装は、通常の高速道路と同様、排水性舗装を採用。ジョイント付近の平滑性も確保し、高速道路としての良好な走行ができるよう配慮している。


付近の住宅に配慮して透明の遮音壁を採用した/舗装は排水性舗装を敷設

 首都高速道路は高速1号羽田線(東品川桟橋・鮫洲埋立部)更新事業について、「東京五輪時には、片側2車線の更新を完了させて、上り線側は迂回路を使う一方、完成時は上り線となる)更新済みの区間を暫定的に下り線として供用できるよう工事を進めていく」(同社)としている。


東京五輪時には上掲の状況まで進捗させたいと考えている(首都高速道路提供)

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