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ベントと工事桁で主桁を支持

横浜市 嶮山中央橋で斜材ケーブル交換

 横浜市は、青葉区にある嶮山中央橋の補修補強工事を進めている。同橋は、1974年に竣工した橋長80m、有効幅員6mの2径間PC斜張橋で、近隣には住宅地や小中学校、公園があり、小学校の通学路にもなっている人道橋である。今回は、補修補強工事のうち、斜材ケーブル交換工事をレポートする。(大柴功治)



施工前の嶮山中央橋/既設橋梁一般図(赤字のケーブル位置は編集部で記載)


ケーブル、定着部ともに損傷が発生

 ケーブルの断線も一箇所確認


 主塔高30m、斜材ケーブル12本の同橋は土地区画整理事業の中で建設されたが、1974年に横浜市に管理が引き継がれてから初めての本格的な補修補強工事となる。2014年8月に斜材ケーブルと主桁・主塔定着部の点検を実施した結果、ケーブル、定着部ともに腐食による損傷が判明した。主桁定着部を覆うコンクリートのひび割れにより内部に滞水が生じ、ケーブルの断線が一箇所(C5左側)確認されたほか、調査ケーブルのうち1本を除いて主桁定着部付近に腐食による断面欠損が多数見られた。


主桁定着部コンクリート内部の滞水とケーブルの断線

定着部付近のケーブル腐食と防食テープのはがれ

ケーブル本体の腐食とソケットカバーのき裂


 ケーブル保護用の防食テープも経年劣化によりテープのはがれなどの損傷が発生しておりケーブル本体の腐食が進行していたほか、主塔定着部のソケット本体、ソケットカバー材でも腐食が見られ、コンクリート内部も損傷が発生していることが予測された。そのため、斜材ケーブル12本の交換を行うこととなった。




施工ステップ図とケーブル詳細図


6基のベントと工事桁で主桁を支持

 定着金具付近はウォータージェットでコンクリート撤去


 斜材ケーブルの交換は、桁下に桁を支える設備(ベント)の設置が可能であり、小学校の通学路としての供用を続けるため、主桁を6基のベントと工事桁で支持したうえで施工された。仮ケーブル架設での交換作業よりも経済的で施工管理が確実にできることも本工法の採用理由のひとつである。

 ベント6基のうち、小学校側で準用河川黒須田川付近の3基(B1~B3)は杭基礎上に、団地側の3基(B4~B6)はコンクリート基礎上に設置した。ベントが設置できない黒須田川の部分は横取り用ベントを設置し120tクレーンを使用して工事桁(橋軸18m×直角2.4m)を横取り架設で設置した。その後、オックスジャッキのコンパクトジャッキに反力・沈下量測定器を設置して主桁をジャッキアップして桁の安定化を図った。



ベント設置


工事桁設置


主桁のジャッキアップ


 既設の主桁・主塔定着部は、コンクリートで覆われており、はつりを行う必要があった。定着部は再使用することから、定着金具を損傷させないために、コンクリートの鉄筋までは人力ではつりを行い、定着金具付近のコンクリートはウォータージェットでのはつりを行った。主桁定着部のはつり後、センターホールジャッキを使用してケーブルの張力解放を行い、ベントと工事桁に主桁の荷重を移した。そして主桁部と同様に、主塔定着部のコンクリートを人力とウォータージェットではつり、斜材ケーブルの交換を行った。



主桁定着部を覆うコンクリートのはつり


主塔定着部を覆うコンクリートのはつり


 既設ケーブルは「PWS-127 φ5 127本より」(素線強度1,570N/mm2)だったが、新設ケーブルでは亜鉛めっき鋼線でポリエチレン被覆の「NEW-PWS φ7 55本より」(素線強度1,770N/mm2)を採用して、高強度と防食性を確保した。ケーブルの設置は主塔に悪影響を与えないように力を外に逃がす形で下部ケーブルから上部ケーブルの順番とした。ケーブル交換後、主塔定着部の復旧は内部が狭く、コンクリートでは骨材がまわらない恐れがあるため、高強度の無収縮モルタルを使用して行った。



ケーブル交換作業中の足場/新ケーブルへの交換


ケーブル交換後


今後の維持管理効率化のために定着部を露出構造に変更


 施工上で苦労したのは、「定着部を覆うコンクリートのはつりで実際に施工してみないとわからない部分があったため、その調整に時間を要した」(元請の東鋼橋梁)ことと、「定着部のソケットを差し込むネジ山がつぶれているなどネジの状態が悪く、ソケットが入るように加工しなければならなかった」(同)ことだった。またPC橋でのケーブル交換となり、主桁の挙動に注意を払う必要があったことから、現場に集中管理室を設けて各ベント部に設置した変位測定装置で常時計測を実施したほか、ベント上のジャッキ反力の常時確認と記録を実施した。

 また、今後の維持管理の効率化のために、主塔定着部の連結金具を外部に露出させ、ケーブル交換を外側で対応できるようにすると同時に、主桁定着部も目視点検ができるようにコンクリートで覆わずに脱着可能なアルミ製カバーに変更した。



主桁・主塔定着部施工後(アルミ製カバー設置前)


主塔補修後、今年度末までに主桁補修や縁端拡幅工を施工


 工程は、2016年10月にベント部掘削と杭打ちを開始し、12月から本年1月にベント設置、2月から4月に定着部のコンクリートはつり、5月ケーブル交換、6月ベント撤去、7月に定着部の復旧となった。コンクリートのひび割れ、はく離などの損傷が生じている主塔の断面修復やはく落防止工などの補修を9月まで行った後、主桁補修、排水周りを含めた伸縮装置の交換、RC縁端拡幅工、塗膜系床版防水と橋面薄層舗装、高欄取替えを施工し、同橋の補修補強工事を今年度末までに完了させる。

 点検・設計は大日本コンサルタント、元請は東鋼橋梁。協力会社として、静岡ロジスティクス(架設工)、入江建設(土工)、センチュリー興業(はつり)。