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自走式ロボットで上信越自動車道碓氷橋のケーブルを点検

西松建設「コロコロチェッカー」 近接目視と同レベルの斜材保護管調査を実現

斜張橋の斜材保護管全延長を4台のカメラで撮影


 西松建設は、斜張橋の斜材保護管調査ロボット「コロコロチェッカー」を使用して、上信越自動車道の碓氷橋のケーブル点検を実施した。コロコロチェッカーは、斜材保護管上を遠隔操作で自走し、その全周を4台の約207万画素フルハイビジョンカメラで動画撮影をして表面の損傷状況を調査する装置。



コロコロチェッカーの外観(左)と内部(右)。右手前の2車輪が従動車輪


内部構成イラスト図


 斜材保護管の調査では、高所作業車やロープワークを使用した近接目視と双眼鏡等での遠望目視が一般的となっている。しかし、高所作業車では高さ20m程度までしか近接目視ができず、それ以上は遠望目視となって正確な調査が難しい上に、安全確保のために車線規制が必要になる。ロープワークでは、1本のケーブル調査時に上部にあるケーブル下面の調査を同時に行うことにより調査日数は少なくてすむが、こちらも作業員安全確保のための車線規制や固定点の設置準備などの課題があった。こうした課題を解決し、高所作業を必要とせずに斜材保護管の全延長で近接目視と同程度の精度で調査を実現するために、同社は佐賀大学の伊藤幸広教授と共同で、コロコロチェッカーを開発した。


1mm以上の損傷を確認可能

 画像解析ソフトで調査後の分析作業を効率化


 同装置は、2012年8月から10月にかけて東名足柄橋補修工事の一環で初稼動したが、ケーブルの途中でスリップして上らなくなるなどの手戻りが発生した。また、点検日数短縮のための走行速度改善などの目的もあり、基本性能の向上に取り組み、15年11月に東水戸道路の新那珂川大橋で試験調査を実施後、16年6月から10月までの同橋の本調査で改良機を導入した。

 改良機は、1辺500mmの立方体で重量は30kg。小型軽量のため、作業員ふたりでの運搬、ケーブルへの装着ができる。最大走行速度は分速5m(傾斜角40度時)、斜材の最大傾斜角65度まで走行ができ、2時間以上の連続運転が可能だ。長さ100mの斜材保護管1本を点検する時間は約1時間で、1mm以上のすり傷やひっかき傷、汚れなどの損傷を確認できる。管上の走行は駆動車輪4輪で行うが、改良機では従動車輪2輪をつけて管下面を抑え込むことで、初号機で発生したスリップを防いでいる。通常の斜材保護管の直径90~230mmに対応でき、径の設定を変更する場合は現場で手動により行う。また、照明用LEDライトも搭載しているため、夜間の調査も可能である。



「コロコロチェッカー」改良機の仕様


調査画像例


 撮影した画像は現場でモニター確認ができると同時にSDカードにも保存するが、改良機の開発とあわせて、画像解析ソフトも開発された。それまでは、コロコロチェッカーで撮影した画像を再生して、目視で損傷部を確認するとそこで画像を停止してキャプチャーを取っていたが、開発されたソフトでは、画像データを取り込むことで、損傷と推測される箇所を短時間で自動検出し、損傷の位置・形状などを展開図などの帳票として出力できるようになった。

 さらに、損傷部分がナンバリングされて、その静止画像のリストも全自動で作成されるので、調査・報告書の作成とデータ管理の効率化が図れようになった。解析ソフトを使用した場合の分析作業時間は200mの斜材保護管1本約5~6時間で、未使用の場合と比べて1/5程度となっている。


PC操作画面(左)画面左側にロボット動作状態が表示される/分析結果出力例(右)


碓氷橋の全ケーブル36本、総延長約1,820mの点検を実施


 今回点検を実施した碓氷橋は、1992年に建設された松井田妙義IC~碓氷軽井沢IC間にある全長1,267mの橋梁で、斜張橋部は222m(2径間PC斜張橋/主塔高113m)。ケーブルは36本で、ケーブル径は113mm、119mm、122mm、136mm、138mmの5種類、傾斜角は最大64度、最小26度となっている。点検の対象となったケーブルは36本すべてで、点検長約82mのケーブルが最長で、最短が約19.1mとなり、総点検長は約1,820mだった。



碓氷橋全景と構造一般図


 主塔は中央分離帯に設立され、上り線側に18本、下り線側に18本のケーブルが設置されているうえに、同橋のケーブルの特性としてケーブル防火構造(カバー)が橋面から15mまでの高さまで取り付けられていた。そのため、コロコロチェッカーによる点検は、その防火構造上端から主塔側止水カバー端までとなった。通常、コロコロチェッカーよる調査・点検では搬入と設置スペースが最小限ですむため、車線規制を必要としないことが特色となっているが、今回は中央分離帯側での作業に加え、橋面15m以上からの点検で高所作業車が必要となり、上り線、下り線の追越車線規制を各点検日に行った。



ケーブル防火構造を避けての点検のため、高所作業車からの設置となった