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九州道白川橋の耐震補強工事で適用 5~10分で桁下プラットフォームまで展開

くろがね運輸機工 アウトリガー不要な大型橋梁点検車「MBI140」を導入

 くろがね運輸機工(北九州市)は、橋梁の維持管理向けに、設置にアウトリガーを必要とせずスムーズに点検設備を展開、移動できる新しい大型点検車「MBI140」(ドイツMOOG社製)を導入し、このほど川田建設が元請として工事を進めている九州自動車道白川橋の耐震補強工事に初採用された。最大乗り越え高は3.5m弱と高い防音壁を乗り越えることも可能で、路面から最大8.72mまで下げることができ、なおかつプラットフォームは14m、オプションの延長床を使えば約16mまで延伸できる。プラットフォームに設置しているエアー式昇降台は3m程度まで伸ばすことができ、プラットフォーム床面から5m程度の高さまで目視や打音点検が可能だ。また、プラットフォームの高さ位置はアームをスライドさせることで、上下8.216mの範囲まで調整可能で、様々な形状の桁、床版、付属物など部材の点検をフレキシブルの行うことができる。


プラットフォームをそのままに低速移動可能

 総重量は24t弱 特殊許可や後尾警戒車が不要

 特徴の1つは点検時にアウトリガーの張出が不要であるという事だ。そのため1車線内に確実に収めることができ、点検時の規制を最小限に抑制できる。また従来のアウトリガーが必要な大型橋梁点検車は、ある範囲を点検し終えた後、一度アウトリガーを収め、移動後、再び出して設置し、その上でアームやプラットフォームの展開を行わなければいけなかった。MBI140はそもそもアウトリガーが必要ないため、そうした作業を低減できる。概ね5~10分程度で展開でき、なおかつ幅員や形状や勾配(6%未満)が一定している橋梁であれば、プラットフォームに作業員を乗せたまま低速移動することができる。

 車両の総重量は、プラットフォームをアルミ製にしたり、バランスを考えてカウンターウェイトを片方だけに配置するなどして24t弱に抑えており、特車扱いにならず、一般トラックと同様の通行ができる、そのため特車許可や後尾警戒車が不要だ。


特車許可や後尾警戒車が不要(黄色の車両がMBI140)

 点検運用時の安全性も高い。アームはトラスで囲まれ(左写真)、かつ転落を防止するための網が設置されているため安全に移動できる。また、プラットフォームも1.3m高のアルミ製の柵が設置されており、作業員の安全や各種点検・補修部材などの落下も起きないよう配慮されている。加えて数か所に安全帯取付フックも設けられている。プラットフォーム幅は1.4mもあり、最大6人の作業が可能ですれ違いもスムーズに行うことができる。また、車両の移動の際には、桁下に配置したプラットフォームから適切な指示を送れるように無線を配置している。また、展開や車両移動の際の干渉や衝突を未然に防ぐために非常停止及び復旧ボタンも設置されている。

 車両内部にはプラットフォームや車両の背面、前方左を適時また同時に監視できるモニターもあり、ドライバーが的確に判断できるよう配慮している。


白川橋では足場製作のチェーン取り付けに使用

 施工効率の向上に大きく寄与

 今回採用された白川橋では、橋長約400mの鋼連続鈑桁橋の復旧工事として川田建設が支承取替工事を進めている。具体的には鋼製支承276基(水平支承含む)を免震ゴム支承に取り替える工事だ。工期は平成28年11月29日~30年2月21日までと量を考えると比較的タイトな工事日数だ。

 記者が取材した5月16日の状況は、P1の上り線の鉛直支承を取替え、無収縮の沓座モルタル打設、P4の支承取替えのためのアンカー削孔を行っていた。




アーム、プラットフォームの展開に殆ど時間がかからず、アウトリガーも必要ない

 今回、くろがね運輸機工の導入したMBI140を使うのは、鈑桁の下に足場を組む際に必要なチェーンの取り付け作業をスムーズに行うため。MBI140は「外側から15m内側までプラットフォームを伸ばすことができるため、チェーン取り付けの作業が向上する」(川田建設)と判断、設計変更して採用した。当初はワイヤーブリッジを張ったり、河川敷から現場付近までの通路をつくるようなパターンが考えられたが、かなり時間を要することや、安全性もMBI140に変更すると上がると判断した。P5、P6という河川内橋脚および桁についてこうしたチェーンの設置や、既設検査路の撤去にMBI140を採用する。

 実際に使ったのは5月10日からで、今回は2回目。「MBI140を用いる規制が可能な時間は、通過台数が比較的落ち着く11時~17時までの6時間しかなく、その制約下で仕事をする必要があり、アウトリガーを必要とせず、移動もいちいちアームを収納せずに展開したまま動けるというのは施工効率の面で大きなメリットを感じている」(同)としている。

 実際に筆者も現場で見たが、スペックの通り10分程度でアームからプラットフォームまで展開していた。課題としてはアーム旋回時に車線境界部ギリギリを通過している所だが、これも運用(車両位置の修正)次第で十分改善できるように見えた。材料は別途、小型クレーンなどで吊降し、プラットフォーム上の作業者が単管パイプやチェーンなどを受け取って、スムーズに取り付け作業を行っていた。


足場の構築作業

 コスト的には従来の倍程度にアップするが、「作業効率もそれに比例ないし、それ以上に向上しており、コストがかかっても工期を短縮したい現場では、安全性も含めて大きく貢献している」(同)。

 主要対象は、あくまで橋梁の定期点検。それについても川田建設はユーザーの立場で「通常の詳細点検はもちろん、T桁の間などにある排水管や電気・通信関係のケーブルなど、構造外の付属部物の調査も的確かつ効率的に行えるのではないか」と述べている。


秋には2台目を導入

 年間4,000万円の売上を目指す

 くろがね運輸機工は、既に2台目を発注済みで、秋ごろにも運用を始める。同社ではMBI140のリースにより、年間4000万円の売り上げを目指している。(井手迫瑞樹)