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現場を巡る詳細

有害物含む塗膜はバイオハクリX-WBを用いて除去

宮城県大河原大橋 歩道拡幅と耐震補強コスト縮減を一石二鳥

 宮城県大河原土木事務所は、一般県道大河原高倉線の白石川渡河部に架かる大河原大橋の補修補強を進めている。同橋は昭和34年に架設された橋長176㍍(35.2×5)の橋梁で5径間単純プレストレス合成鈑桁という特殊な形式を有している。平成26年度から耐震補強や塗装塗替え、歩道拡幅を進めている。耐震補強については落橋防止装置や設けるとともに、歩道拡幅部の軽量化を図り、下部工への負担を減らす構造にしている。また旧塗膜は鉛やカドミウム、PCB(ポリ塩化ビフェニール)を含むことから特に安全対策、環境への配慮を必要とする。注目の補修補強案件であることから現場をレポートした。(井手迫瑞樹)


大河原大橋検討項目一般図


珍しい「鋼プレストレス合成鈑桁」

 桁端や地覆コンクリート天端鋼製排水管の損傷が著しい

橋梁概要と損傷状況

 同橋の設計は、昭和31年道示に準拠している。面白いのは鈑桁の下フランジ少し上のウエブ両面に2本ずつ配置されている外ケーブルの存在だ。塗膜構成から桁とほぼ同じ時期に設置されたものであることが窺える。当時を考えると面白い設計である。調査すると、設計段階から鋼桁下フランジに直接プレストレスを導入し、負曲げを与えることで応力改善を図った形式の単純活荷重合成桁で、PC鋼材の定着にはフレシネー工法が採用されている。この橋を施工したのは横河橋梁製作所(現横河ブリッジ)。同社によると「昭和30年代の前半、鋼材そのものが割高であり、合成桁の経済設計化を図るためにいろいろ試行錯誤をしていた時期があった。同形式が最初に採用されたのは、筏橋(S33兵庫県)、その他沢口橋(栃木県)など数橋施工された事例があるが、珍しい施工事例といえる」としている。


ウエブ下部の両側に2本の外ケーブルが配置されていることがわかる


 平成24年道示の耐震基準に合っていないことから、耐震補強を行う必要がある一方で、歩道部は1㍍幅と狭く、近くの柴田農林高校など学校や法務局など各種公的機関を有し、歩行者の安全通行に課題があることから、拡幅する必要があった。加えて、橋自体も伸縮装置からの漏水による桁端部、地覆コンクリート天端部の腐食、凍結防止剤などの影響による鋼製排水管の損傷が著しいことから、その対策も必要としており、合わせて塗装塗替えのサイクルも迎えていたため、そうした維持管理上の対策も合わせて行っている。


アルミ合金製床版を採用

 歩道部幅員倍加しつつ重量を約5分の1に軽量化

対策内容 

 耐震補強については、平成26、27年度に落橋防止装置を設置し、対策を施している。ここでユニークなのは上部工重量の軽量化により下部工への負担を軽減することと、歩道の拡幅の二兎を追うため、歩道拡幅部の床版にアルミ合金製床版(住軽日軽エンジニアリング製)を採用したことだ。現行の歩道部は鋼桁RC床版を採用しているが、これをアルミ合金製床版に変えることで歩道幅を2㍍に拡幅してもなお最大パネル(長さ5250×幅員2000㍉)で570㌔とし、現行の歩道部(RC床版)重量を同パネル単位当たり5割程度軽量化(現行のRC床版形式のままで拡幅すれば5.5㌧に達する。上部工の軽量化の観点からは、現状の2.25㌧程度からは長さ当たり約5分の1となる)することに成功し、その結果下部工の負担を減らしている。「アルミ合金製床版は、それ自体のコストとしては従来の鋼製桁と比べて割高ではあるが、それに伴う下部工負担の軽減を考慮すれば全体コストは縮減できると判断して採用した」(宮城県大河原土木事務所)としている。


採用されたアルミ合金製床版


端部対策 ジョイントを二重止水構造タイプに交換

 排水管は鋼製からステンレス製に

 ジョイント部は、現行のフィンガージョイントを二重止水構造タイプ(秩父産業製)に交換する。排水管は現在の鋼製で腐食が著しかったことからステンレス製(トーカイスパイラル)に交換し、耐久性向上を図っている。また、車道側の地覆コンクリートにも損傷が目立つことから、地覆および高欄を全面的に打ち替える。合わせて舗装や床版防水工も全面的に打ち替える。