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連載詳細

⑯鋼橋について

民間と行政、双方の間から見えるもの

富山市
建設技術管理監
植野 芳彦 氏

1. はじめに

 最近、「本連載を読んでいる」「言えないことを言ってもらってありがとう。」「きついね」「少々暴走気味では?」という事をよく言われる。多くの方に読まれているんだなと改めて感じる。

 「コンサルに対して厳しすぎる」という事もよく言われるが、決して厳しすぎるわけではない。思っていることの10分の1で、本音と決定的事実は書いていない。あくまで、私の意見であり、状況や地域によっても異なる。何よりもその“ひと”によって違うと思う。ただ、日本のコンサルタントはその生い立ちや、おかれている環境が、甘いので現在のような形になっていると考えられる。本当の厳しさには、ついて来れない。私は、もう60歳になる。誰かしかるべき弟子にさまざまなことを伝授していきたいと思う。

 幸いなことに、なかなか経験できないような経験をしてきた。しかし、この国では私のような経験は評価されないと思うので得にはならない。厄介な存在になってしまう。

 最近、うれしいのは「あれを読んでファンになりました。」と尋ねてきてくれる方が居ること。同調してくれる方が居る。こういう方は、だいたい自分の考えを持っている。本当は、反論もあるほうが面白い。先日は、昔、若かりしころ一緒に仕事をして議論した仲間が同僚を連れてやってきてくれた。当時彼は、重工に居て、私は専業メーカーだった。(この違い分かりますか?鋼橋を造っている企業は大きく3つに分類できる。高炉、重工、専業であり、それぞれ特色や考え方が違う)解析が凄かったように記憶している。彼は現在コンサルに居る。現在の技術者の方々は、解析を甘く考えている。解析を加えて、物事を検討するという意識に欠けている。維持管理においては、新設以上に考えることが非情に大事だと思うので、その辺の教育も今後必要であると改めて思った。

 ただし解析はやたら行えばよいというものではない。そして、鋼橋はメーカー出身者でないと本質はつかめていない。それはなぜかと言うと、コンサルさんで一生過ごしていると現場を知らない、造り方を知らないからだ。橋を実際に作っていると、さまざまな問題が日々出てくる其れを経験しないとわからない。メタルの橋を作っていくには工夫が必要なのだ。維持管理ではそれを基本として、どうして行くかを考える必要がある。会社を替われとは言わないが、積極的に現場に行くとか工夫が必要である。

 しかし、「見学」をしても、十分ではない。根本には感性が必要だし、自分で経験した者にはかなわない。同様なことが、示方書や基準類の解釈にも言える。講習会に出てわかったつもりで居たり、参考書を見て設計しても、根本の解釈や、細部のディテールまでは理解できない。