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⑭新年の抱負

民間と行政、双方の間から見えるもの

富山市
建設技術管理監
植野 芳彦 氏

本音の10分の1

1.年の初めに

 皆様、あけましておめでとうございます。本年も宜しくお願いいたします。

 さて、今回は新年に当たり、八田橋の続報と、これから先、どうなるかわかりませんが、現在考えていることを、述べさせていただこうかと思います。

 この連載も、結構、皆さん読んでいただいているようで、お会いする方々から「読んでます。」と言われます。おおむね、官庁の方々には同調していただきます。そして、「厳しすぎるのでは?」と言われる方が居る一方「モット厳しく」と言うご意見もいただきます。私としましては「10分1の本音」です。民間の方々からの、反論を受けたいのですが、なかなか出てきません。「あの、馬鹿がへんなこと言っている」と思っているのかもしれません。

 

橋梁架け替え時のマネジメントを学ぶ場

 永代橋では補修方法の是非も確認

2.八田橋その後

 前回、八田橋に付いて書いたが、お読みいただいたとおり、さほど進展した状況ではなかった。旧上部工の解体中で足場も出来たので、一番興味があったゲルバー部を確認したが、正直、良くわからなかった。ゲルバー部が一体化してしまっていて、ゲルバー部を少し避けたところで切断して吊り上げたがはずれず、そのまま撤去した。長年の供用により、一体化してしまっていると考えられる。その内の一体を施工業者に壊して外してもらったが意外に劣化しておらず、良くわからないと言うのが本音だ。


撤去中の八田橋

 本橋においては、私が赴任する前に、地元のコンサルタントが2度点検していた。どうも、ゲルバー構造がわかっていなかったようで、「劣化が激しい」としか記述なかった。その後、高木さん初め土木学会の小委員会の方々に見てもらったが、指摘されたのが「ゲルバー部の劣化」だったと聞いている。その後、補修方法を地元コンサルに委託し検討し、ひび割れ補修と、一部の表面保護の補修設計で数千万円の補修費が計上されていた(これは、現在やられている一般的なコンクリート橋の補修設計の結果である)。


ゲルバー部

 そして私の赴任後、市の橋梁全体のマネジメントを考える上で、「更新」の順番付けを行い、架け替えに持っていった。架け替えにするには市役所内部、市議会議員、富山県、北陸整備局等に説明したが、何よりも意を砕いたのは、地元住民と添加管を有する北陸電力をはじめ事業者だった。今後、都市部の橋梁の更新には、同様にかなりな労力を使わなければならないことが予想される。

 私がこの橋の架け替えに何を求めたか。一言で言うと、今後、増加するだろう富山市内中心部の交通量の多い橋梁の架け替え時のマネジメントのやり方である。役所内の調整や他機関及び設計や施工のマネジメントを早く市の職員に伝えておきたかった。今後これを元に、さらに違ったタイプの条件の橋梁のマネジメントを伝えていければと考えている。

本橋の解体を見て、

 ・コンクリートは健全であった(詳細調査でコアを抜き確認していたが)高度成長期のASRを発祥した橋梁に比し、コンクリートの状況はすこぶる健全であった。

 ・ゲルバー部は一体化しており、連続桁化していたのではないだろうか?

 ・ゲルバー部の点検確認は困難を極める。

ということを感じた。

 また、土木研究所のCAESARの職員の方4名と一緒に現場を確認した。

 本市では、これよりも古い昭和3年に架設した「永代橋」というゲルバー橋梁が有り、これに関しては、地元コンサルの点検の結果、問題ないとの報告であったが、私が再度確認したところ中央径間が垂れ下がっていることから、測量や載荷試験を実施し再確認したところだ。元々はTL-14の設計であったが、現在その老朽化の具合から4㌧荷重制限を行っている。応力頻度測定を行ったところ、夜中に20㌧超級の車両の通行が認められていた。この橋に関しては、すでにゲルバー部が鋼板で補強されてしまっているため、さらに確認が困難と成っており、今後、抜本的解決の検討を行う予定だ。


鋼板でゲルバー部が補修された永代橋


 ここでひとつ言いたいのが、なぜ鋼板を使った補修を実施したのか? ということであるが、当時の担当者に確認したところ、「業者の提案に従った」とのこと。この「業者」に対して、当市に図面の保存がなされていないために図面が欲しいと依頼したところ、すでに1年以上経過しているが音沙汰が無い。また、それ以上に補修設計の設計思想も聞きたかった。無理してまで答えてもらおうとは思わないが、こういう状況であると、いつも言っているように、「補修補強も、一部の企業の単なる金儲けになってしまう」のではないだろうか。そして、おそらく、今後補修が正しかったのか?否やの結果が出てくる。この議論も本格的に進めたいところである。

 この橋は、遊歩道や運河の遊覧船の航行、ボート競技のボートの走行が行われているため、剥落防止工事がすでに発注されており、ゲルバー構造部には大きな不安を抱えている。この橋に関しても、今後、土木研究所等と相談しながら、進めたいと考えている(研究供試体としての提供も可能)。

 点検資料などから、明らかなゲルバー構造が確認できるのはこの2橋であり、非常によかったと思っている。八田橋は、撤去がほぼ済みつつある。今後は反対車線の撤去もあり、永代橋の対応も進めなくてはならない。興味があれば、本読者限定で事前にご連絡いただければ、ご案内する(笑)。