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-分かっていますか?何が問題なのか- 第53回 偉人・吉田巖から学ぶ ~為せば成る!七転び八起きの強い覇気と学ぶ力~

これでよいのか専門技術者

(一般財団法人)首都高速道路技術センター
上席研究員
髙木 千太郎 氏

はじめに

 2020年、令和2年も始まって2カ月が経過した。今さらの話であるが、2020年は十干が「庚(かのえ)」、十二支が「子(ね)」の年回りであり、2つ合わせて干支は「庚子(このえね)」となる。古くから「庚子」が表す意味は、新たな芽吹きと繁栄の始まりと言われている。つまり「庚子」年は新しいことを始めると、上手くいく大吉の運勢年であることを指し示している。

 さて読者の方々は、良い年回りの年「庚子」を迎えて2カ月経過した今、正月心新たに仕事に、そしてプライベートにそれぞれ目標を設定し、取り組み始めたことは思い通りに進んでいいますか?

 本稿の読者は自らに、「庚子」年が大吉を呼び込む年であることに奮い立ち、今年こそは大願成就だとの強い思いで目標に向けて突き進んでいるのでしょう。まさかとは思いますが、四半期を迎える前にもう駄目だと諦めてはいませんよね。未だに「大吉」の兆しがない方は、継続こそ力なりを思い起し、より一層目標に向け粘ると、来ますよ「大吉」が、必ず貴方にも。


 偉そうなことを宣う私も、我が家の氏神様や穴八幡神社に祈願、「大吉」を手に入れるべく取り組んでいますが、さてどうなることか。私も読者の皆さんに自慢できる成果の報告ができるよう、粘って、粘って、粘り続け、新年誓った「大吉」を必ずゲットしますよ。

 それはそれとして、文頭に戻って数字の並びを見てもらいたい。本稿の書き出しを見てお分かりのように、何と2が4つもあり、本稿繋がりでおめでたいことが起こるのか、想像を超える災難の兆しなのか分からないが、書いている私自身、奇妙な感が満ち満ちている。

 私は運命論者ではないが、占いや運勢を全く無視できる強心臓でもない。読者の方々は、私が気になった戯言は無視し、偶然の産物、ただの数字の並びであると思うのが得策かもしれない。

 しかしここで偶然出来た数字の並びとは全く違う、昨年末から広がり続ける新型コロナウイルス感染者のエリアと、冬とは思えない異常な暖かさは偶然ではない。私が考えるに、神がこれまで人間が行ってきた数々の悪道に怒り心頭、戒める行為として始めたとしか思いようがない。

 特に、近年の冬の異常な暖かさは、地球温暖化が後戻りできないゾーンに入った兆しと考えるのが適切で、地球人類にとって大問題なのだ。日本の暖冬に関する報道は、スキー場に雪が全く積もっていない状況を問題視する程度で終始し(スキーやスノーボードなどに関連する企業や宿泊施設にとっては死活問題ではあるが)、最悪な負の連鎖を指摘し警鐘を鳴らす報道は数少ない。

 しかし、海外に目を向けてみると地球温暖化の影響は深刻で、南半球、オーストラリアの終わりのない森林火災やニュージーランドの大洪水、南極の平均気温20℃越えなど、地球の動植物の死滅に繋がる異常事態の連発である。


 ここで、地球温暖化の進む状況を数値で見てみよう。2019年の世界の平均気温の基準値(1981~2010年の30年平均値)からの偏差は何と+0.43℃となり、気象庁は統計(1891年)開始以降2番目の高い値となったと発表している。また、気象観測業務の標準化や迅速な気象情報の伝達などを行う世界気象機関(WMO: World Meteorological Organization)は、大気中の二酸化炭素(CO2)の世界平均濃度が2018年には407.8PPMとなり(図-1参照)、前年に続き観測史上最高を更新し2017年と比較すると2.3PPM高く、二酸化炭素上昇率は過去10年の平均を上回ったと発表している。



図-1  WMO(世界気象機関)の温室効果ガス平均濃度:2019年11月25日公表


 ここにあげた地球温暖化の主原因と言える二酸化炭素濃度の上昇は、先に述べた異常気象だけではなく、動植物が生活する限りある場所を奪う海面上昇、生態系の破壊などがより深刻となることを意味している。地球温暖化に関する国内の喫緊の課題を考えると、今年の夏開催する最重要イベント東京オリンピック・パラリンピックが挙げられる。植樹をしたり、遮熱舗装道路を広げたりするなど対策を数多く行っているが、対策効果を無にする異常な高温状態が続くのではと心配になる。

 私が奇妙な感を抱いた2020年、令和2年の2カ月経過の数値並びに免じて、地球環境を司る神が間近に迫った東京オリンピック・パラリンピック開催期間の気温を低温状態にコントロールし、選手や観客がリタイアすることなく無事終わることを祈るばかりである。ここで、私が危惧する気候不順に端を発する地球環境の悪化、他力本願のような神頼みの世界の話は終わりとして本題に移るとしよう。


 本稿の本題を始める前に、私の連載『これでよいのか専門技術者』を読まれている方々にお断りしなければならないことがある。それは、前回読者の皆様に約束した清洲橋と葛西橋に関する話を私の独断で変更し、またまた3カ月後に延期するという話だ。

 私が読者に約束し、多くの方が読んでみたいと思っている話を替えざるを得ない重要な話とは、橋梁界の重鎮、私が尊敬する専門技術者・吉田巖氏に関する話である。その理由は、昨年の令和元年9月10日(火曜日)に、吉田巖氏が93歳と3カ月でお亡くなりになったからである。それでは、私が前号で約束した話を先送りされても、今回の話に読者の方々が納得するように、私が本気で調べた吉田巖氏の話を始めよう。


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