道路構造物ジャーナルNET

高耐久性を追求するために

NEXCO中日本 凍結防止剤散布に伴う塩害に対する更新床版の耐久性照査の取組み

中日本高速道路株式会社
技術・建設本部
環境・技術企画部 構造技術チーム
サブリーダー

若林 大

公開日:2018.01.16

7.おわりに

 本稿では、特定更新等事業の一環として実施した現地調査結果に基づいて凍結防止剤散布の影響を評価し、床版や壁高欄の耐久性照査を行う際の考え方と、その照査結果例について報告した。本稿の内容をまとめると次のとおりである。

・土木学会やPC工学会が定めた規準2)4)を活用することにより、エポキシ樹脂塗装鉄筋、ステンレス鉄筋、並びに混和材(高炉スラグ微粉末、フライアッシュ)などを使用したコンクリートに対しても、塩害に対する耐久性照査を行うことが可能である。
・凍結防止剤散布の影響は、対象となる橋梁の使用環境によって異なるが、NEXCO中日本が管理する雪氷区間約1200箇所の調査データより、表面塩化物イオン濃度の設定例を示した。
・表面塩化物イオン濃度C_0に応じて更新床版の耐久性を確保するための材料選定例を示した。
・壁高欄に対しては、凍結防止剤散布量との相関関係を用いて耐久性照査を行う手法を示すとともに、凍結防止剤散布量に応じて耐久性を確保するための材料選定例を示した。

 今後も引き続き現地調査や分析を進めることにより、照査方法の精度向上を図っていく予定であるが、本稿が耐久性照査に基づく床版や壁高欄の材料選定において、参考となれば幸いである。

 [参考文献]
1) NEXCO東日本・中日本・西日本:設計要領第二集[橋梁保全編],2017.7
2) (公社)プレストレストコンクリート工学会:更新用プレキャストPC床版 技術指針,p70,p92~p99,2016.3
3) (公社)土木学会:2012年制定 コンクリート標準示方書[設計編:標準],p148~p157,2012.12
4) (公社)土木学会:エポキシ樹脂塗装鉄筋を用いる鉄筋コンクリートの設計施工指針[改訂版],p10~p16,コンクリートライブラリー第112号,2003.11
5) 若林大:更新床版の凍結防止剤による塩害に対する照査方法,プレストレストコンクリート,Vol.60,No.1,2018.1(掲載予定)
6) 酒井秀昭:凍結防止剤散布地域の橋梁壁高欄の塩化物イオン濃度の予測方法に関する研究,土木学会論文集E,Vol.66,p268-275,2010.7

(2018年1月16日掲載)

【関連記事】
2018年新年インタビュー② 平成29年度は9橋で床版取替工事を実施 7橋の床版取替工事と盛土のり面補強工事を含めて異業種JVで一括契約

ご広告掲載についてはこちら

お問い合わせ
当サイト・弊社に関するお問い合わせ、
また更新メール登録会員のお申し込みも下記フォームよりお願い致します
お問い合わせフォーム