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㉔管理ができやすい構造とは

民間と行政、双方の間から見えるもの

富山市
建設技術統括監
植野 芳彦 氏

非破壊検査の中身を理解しているか

4.見えないものをどう管理するか

 では、見えないものはどう管理すればよいのか? これは、かなり難しい問題である。現時点では、「出来ない」というのが正直な答えである。

 非破壊検査技術を応用し何とかできないか?という事になるが、現在の技術では不可能である。ではどうするのか? 今後は、計画・設計時に、構造形式や、採用する工法などは十分検討することはもちろん、「管理が出来やすい構造」を考えることである。そして、施工事には、できるだけ正確な施工を行う。このとき、埋め戻しや、裏込め土などの品質にも配慮する。これは、酸性土や硫化物を含むような土や、発生土を使用することはしないことが重要である。さらに、構造物そのものの施工精度はきっちり管理する。こうしたことを配慮したうえで、新たな調査手法などを検討すべきである。

「非破壊検査」に関しては、用語としては知っていても、十分にその中身を理解している職員、コンサルはほとんど居ない。そもそもが異業種である。異業種であるがゆえに、理解が乏しい。今後これがどう発展していくのか? まったくの未知数であるが、期待しているほどの効果を見つけるのは実際には難しい。機器のほとんどが外国で開発された物である。

 実際に維持管理に当たる官庁の方々、さらには民間のコンサルはどれほど理解しているのか?私は、理解していないのであれば、プロに任せるしかないと考える。非破壊検査を維持管理に導入したいのならば、安易にコンサルの下請け的に使うのではなく、使い方を考えなければならない。もちろん、責任を明確にした上で。そのための、検討も十分にしたほうが良い。

 実は、4年前、富山市に赴任早々に、ジオテキスタイルのストリップの定着長不足の問題が発生した。ジオテキスタイルもテールアルメ同様、「補強土工法」と言われるものである。設計を行ったコンサルを呼び根拠を聞いたが「ソフトでやりました」としか言わない。ソフトとはなんぞや?と聞くと「(ジオテキスタイルの)協会のソフト」だそうだ。

 さらに、その中身は?と聞くと、明確な答えが出来なかった。あきれはてたが、それが現在の縮図なのかもしれない。つまり、設計も疑わなければならない。コスト最小にとらわれすぎて、丸めるべきところも丸められていない結果、不安定な物を作ってしまっている事例は相当数あると思われる。耐震設計、耐震補強などもそうである。設計精度、施工精度、点検精度と精度が要求されるべき部分をキチント管理できているのか?という疑いが出てくる。それらをどう、検証していくべきかと言うことも考えなければならない。


非破壊検査会社の責任と権利を明確にする

5.非破壊検査技術の活用の仕方

 では、非破壊検査技術を活用するにはどうしたらよいか? 非破壊検査技術は、多種多様な物があり、診られるものが違う。まずこれを理解すべきである。




 そして重要なのが、どういう目的で使用するのかということである。①メーカーや施行業者が品質管理の一助として検証技術、確認技術として使用する ②管理者が明確な目的を持ってこれを調査するために行う(点検などの一方策として) ③管理者の品質検査の厳格な検査方法として活用 ④コンサルの下請け的に詳細調査等で活用 ⑤非破壊検査会社が橋梁点検などの業務を積極的に受注するための売りとして実施など、様々な活用が考えられるが、使い方によって、業社さんごとの責任と権利を明確にする必要があり、適正な積算価格、作業員の人工なども明確にしていく必要がある。維持管理に関しては多くの部分で、積算が合わないとよく言われるので、この辺も検討の余地が大きい。

 そして、非破壊検査会社さんは、自分達が今後、どうなって行きたいのか? 自分達で考えPRしていくべきである。「何でも出来る」というが、実は「何も出来ない」ようになってもらってはもったいない。よくあるのが、「何か仕事が欲しい」という話であるが、そういう意識では、万年下請けで終わる。自分達の地位は自分達で上げる努力が必要である。(これは応援歌である) (次回は12月16日に掲載予定です)