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阪神高速道路の維持管理報文連載

⑤ 大規模更新・修繕事業 技術開発(その2)-床版取替えに対応したUFC床版の開発-

阪神高速道路株式会社
建設・更新事業本部 湾岸線建設推進室 課長代理

小坂 崇 氏

1. はじめに

 昭和30年代後半から40年代に建設された高速道路は供用後40年以上が経過しており、劣化損傷が顕在化している。阪神高速道路では劣化損傷した構造物を長期的に維持管理していくために、大規模更新・修繕事業に取り組んでいる。その中で、橋梁を対象とし、既設RC床版を耐久性の高い床版に取り替えることを計画している。

 取替え対象の既設RC床版は、昭和47年3月制定版道路橋示方書(以下、道示)以前の基準で設計された床版である。床版厚が180mm程度と現行基準の最小床版厚よりも小さい。床版を取り替えることにより、鋼桁、橋脚および基礎構造への常時や地震時の荷重作用が増えることを避けるために既設RC床版と同等以下の重量とする必要がある。また、床版取替え前後において、舗装厚を確保した上で道路の縦断線形が変更となることを避けるために、既設RC床版と同等以下の床版厚とする必要がある。

 この様な課題に対し、軽量かつ疲労耐久性の高いコンクリート系床版の開発として、2011年から超高強度繊維補強コンクリートUFC(Ultra High Strength Fiber Reinforced Concrete)を用いた道路橋床版(以下、UFC床版)の共同研究に取り組み実用化段階に至った。本床版はプレキャスト床版であり、鋼桁と組合せ合成桁を構成する。UFC床版を用いた合成桁を図-1に示す。

 


2. UFC道路橋床版の開発

 UFCは土木学会の設計施工指針案1) において、圧縮強度が150N/mm2以上で鋼繊維を混入するセメント複合材と定義されている。本開発では、圧縮強度180N/mm2のエトリンガイト生成系(以下、AFt系)のUFC2)の使用を想定した。

 UFC床版として2種類の構造を検討している。一方は、図-2に示す格子状のリブを有するプレキャスト床版(以下、ワッフル型UFC床版)である。ワッフル型UFC床版は質量が鋼床版と同等、従来のPC床版の1/4程度と超軽量である。リブ内にプレテンションPC鋼材を2方向に配置している。ワッフル型UFC床版の性能は解析および実験により確認している3)

 


 もう一方が、図-3に示す平板のプレキャスト床版(以下、平板型UFC床版)である。平板型UFC床版は、軽量化とコストのバランスを考慮した床版である。橋軸直角方向はプレテンションPC鋼材を配置し、橋軸方向は現場施工時にポストテンションPC鋼材を配置する構造としている。

 


 床版取替えに適用するUFC床版は、対象橋梁の床版厚さや耐震性能などによって、ワッフル型と平板型を適材適所に使い分けることを考えているが、本稿では平板型UFC床版に関する検討について述べる。