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180人超が出席 AIを活用した道路橋メンテナンスについて西川氏が講演

道路橋床版の高度化と長寿命化技術に関する小委員会 第10回床版シンポジウムを開催 

公開日:2018.11.05

 土木学会鋼構造委員会道路橋床版の高度化と長寿命化技術に関する小委員会は、11月1~2日に、東京・土木学会で第10回床版シンポジウムを開催した。第10回の節目となる今回は、同小委員会の前身となる委員会の立ち上げにかかわった土木研究所理事長の西川和廣氏(右肩写真)が「AIにRC床版のメンテナンスを教えよう」というテーマで基調講演を行った。今回は58編の論文が公開され、180人強が出席し様々な議論が行われた。

約180人が参加した
 橘吉宏小委員長は、開会挨拶で「平成10年に前身となる小委員会が設立されてちょうど20年がたつ。当委員会は点検・診断の高度化と長寿命化技術の2つの分科会で構成されている。2つの分科会とも会員会社の技術を持ち寄って試験を行うという試みを行っている。現在の床版のおかれた状況は、疲労による損傷というよりも材料劣化に起因した損傷が多くなっている。例えば、塩害による劣化は部分的に生じて、局所的に著しい損傷を招くケースもあり、NEXCO3社では補修ではなく取替に舵を切った。また、塩害による損傷は下面からだけでは劣化状況が分からず、上面からの調査、なおかつ内部の塩分量も調査する必要があるという認識が一般的になってきておる、その調査方法の確立が課題となっている」と述べた。加えて「補修しても再劣化するケースも散見されており、床版の現状は様々な状況が混在していると言える。そうした状況を反映して、58編の論文の内容も非常に多岐にわたっている。今回のシンポジウムを情報交換の場として利用していただき、活発に議論することで、床版の長寿命化に寄与してほしい」と話した。

 西川氏は土研が、道路橋のメンテナンスにAIを活用してメンテナンスの効率化を図る研究に着手したことについて言及、点検AIにはディープラーニング方式、診断AIには「回答に至る論理性と道路管理者を納得させる説明能力」に優れるエキスパートシステムの導入を検討していることを詳細に論じた。既に同研究は土研、茨城県、富山市と民間各社の合計25者で平成33年度まで共同研究を行うことが決定されているということだ。

(2018年11月5日掲載、文、写真:井手迫瑞樹)

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