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鉛・クロムの融点・沸点以下の温度で既存塗膜を除去

IH式塗膜除去装置を展開

公開日:2014.12.18

 イーエナジーは、鋼橋のPCBや鉛・クロムなど有害物質を含有する既存塗膜除去を対象として、ノルウェーのRPRテクノロジー社が開発した周波数出力(18kHz-40kHz)のIH(誘導加熱)式塗膜除去装置を展開している。同装置は①接面せずに塗膜を除去できる、②必要以上に鋼材表面を過熱しないためにIH発生ヘッドの移動速度に応じて自動的に誘導加熱のための高周波を調節できる機能を有する、③剥離対象物の形状に応じてアタッチメントを変更できる、といった特徴を有する。また、②のように出力調節による温度制御が可能なため、対象となる塗膜以外を傷めないほか、既存塗料内に含まれる鉛やクロムの融点および沸点以下の温度に制御して剥離できるため、有害物質が気体となり拡散することを防ぐことができ、安全に除去することを可能とした。
 施工方法は、車輪がついたIH発生ヘッドを鋼材表面に走らせ、剥離した既存塗膜をスクレーパーで掻きだすというもの。施工環境にも依るが、1日当たり30~70平方㍍の施工が可能。浮き錆もある程度剥離可能。ただし素地形成レベルは2種ケレン相当で、アンカーパターンは別途ブラストなどで施工する必要がある。
 機材は発電機(1㌧)、冷却用の水タンク(1㌧)、機械本体(200㌔)からなるため、適当な設置スペースが必要。施工の際に作業員が持つヘッドおよびトランスフォーマーも10㌔程度あるため、補助具などを開発し施工の効率化も図る方針。
 既にオーストラリアやドイツなどの外国の鋼橋や、日本でも関門橋(施工中)などで実績があり、今後も有害物質を含有する鋼橋塗膜の除去、とりわけ設備を設置できる長大鋼橋などを中心に積極的に展開していく方針だ。 

                             施工状況(北斗市の橋梁を使った試験施工)

                                   施工例

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