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スリムファスナー、EMC式壁高欄 4日間で100m近い取替を実施

NEXCO中日本 中央道松ケ平橋床版取替工事で新技術を実施

 中日本高速道路は4日、中津川市の中央道園原IC~中津川ICに架かる松ケ平橋床版取替工事を報道陣に公開した。同橋は1975年8月に供用された橋長297mの鋼3径間連続非合成版桁橋+3連で、床版全面3千㎡を取り替える。そのほか、支承取替48基、伸縮装置取替4か所、塗り替え塗装6千㎡、新しい検査路の設置300mもそれぞれ施工する。プレキャスト床版継手部の長さを約半分にし、プレキャスト壁高欄も新たな技術を導入し、徹底した合理化、工期短縮を図っていることが特徴だ。


床版・桁の劣化状況

 同橋の1日平均交通量は28,700台。大型車混入率は33.2%と高く、目安となる3千台を大きく上回る。また、凍結防止剤の散布量も約16t/kmと多く、疲労による影響と、凍結防止剤に含まれる塩化ナトリウムの影響により(鉄筋近傍値は最大で5kg/㎥に達した)、床版が大きく損傷しており、今回大規模更新事業の一環として床版取替を実施することになった。実際現場で撤去した床版を見てみると「過去に増厚した層で持っている感」(NEXCO中日本)がある。過去に5cmの増厚を行っているが、既設床版側は下面が剥落および鉄筋腐食を起こしている。増厚のラインも相当に凹凸があり、かなり劣化が進んでいたことを物語っている。

 さて、床版取替の施工は、基本的にまず床版を撤去、足場を組み、さらに床版を取り替え、継手部の間詰コンクリートを打設する。壁高欄は長さ方向に床版を2パネル(1パネル=約2m)設置するごとに4m分のプレキャスト壁高欄を配置していた。路線の外には側道がないため、人員や資機材は、全て本線を用いて搬出入した。具体的には中津川エマージェンシーエリアにプレキャスト床版の仮置きヤードを作り、落合チェーンベースに床版の破砕ヤードを設置し、作業員もそうした個所から出入りしている。


床版仮置きヤード/プレキャストPC床版継ぎ手部に凹凸があることが分かる

 作業サイクルは午前中に既設床版を撤去し、昼間に新設プレキャストPCパネルの準備工(既設ジベルの撤去や上フランジ上面のケレンなど新設床版受け入れの準備)を施工、次いで夜間に床版取替工を実施するという工程を繰り返した。足場は通常の2段足場ではなく、作業効率を考慮して、床版撤去後に上段足場(写真)を作り、桁上面のケレンなどの作業をしやすくしている。既設床版の撤去は従来壁高欄を切断後、床版を2分割して撤去していたが、この現場では吊り方を工夫することで、壁高欄と床版の半分、床版の残り半分の2分割(2m×5m、最大重量9.566t)で撤去しており手間を大幅に省いた。その後、新設プレキャストPCパネルを設置するが、これは全幅(1.85×10.14m、最大重量16.15t)で設置している。 


施工配置図


上段足場上での施工

 施工は橋梁中央部から両橋台部へ2班に分かれて施工している。1班当たり1日12枚の既設床版を撤去、6枚(12m分)の新設床版を架設しており、わずか4日間で100m近い取替を実施している。新設プレキャストPCパネルの総数は147枚だが、取材当日までに約6割に当たる87枚の架設が完了していた。


既設床版の撤去、高欄ごと撤去していることが分かる

 架設後は継手部に間詰コンクリートを打設する。継手部には大林組が開発したスリムファスナーという技術が使われている。間詰コンクリートにスリムクリートという鋼繊維を2vol.%混入した180N/㎟に達する超高強度コンクリートを使うことによって、継手部の鉄筋は橋軸方向の非接触の重ね継手だけで良くなり、鉄筋どうしの接合や橋軸直角方向の配筋も不要とし、かつ継ぎ手長さは210mmと従来よりも各段に短くなっている。スリムクリートは緻密性が高いコンクリートではあるが、100年間の長期耐久性を企図し、床版全面および継手部にはエポキシ樹脂塗装鉄器を使用している。壁高欄もEMC式壁高欄という新しいプレキャスト壁高欄を用いた。同製品は大林組と首都高速、プレキャストガードフェンス協会が開発したもので、高欄と床版、高欄間の連結をアンカーボルトにより接合する簡易な施工であるため、ここでも工期短縮が可能だ。


スリムファスナー概要図/スリムファスナー継手部/スリムクリートの施工状況


設置されたEMC式壁高欄

 現場での床版取替~舗装までの工期は7月4日までの49日間。その間、同橋前後の約3.5kmは下り線を規制し、上り線を対面通行にする規制を実施している。施工は大林組・JFEエンジニアリングJV。(井手迫瑞樹、詳細は7月上旬に『現場を巡る』コーナーで掲載します。)