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炭素繊維ケーブルを使用して接合部を高耐久化

ピーエス三菱 東京製綱と共同でPCa壁高欄を開発中

ピーエス三菱は、東京製綱と共同でプレキャスト(PCa)壁高欄の開発を進めている。接合部のさらなる高耐久化を図るため、非腐食性材料で鉄筋の5倍程度の強度をもつ炭素繊維ケーブル(直径1217mm)を使用していることが特徴だ。また、接合位置を地覆天端部とし、凍結防止剤入りの水がかからない高い位置に設定することで、接合部からの塩分浸透を最小限化するよう工夫している。さらに、地覆部との接合部にはせん断キーを設け、樹脂系モルタルを塗布する水平接合とし、型枠が不要なことから施工を省力化していることなども特徴だ。

開発中のPCa壁高欄は、設計荷重(衝突荷重および風荷重)により発生する曲げモーメントを炭素繊維ケーブルが引張抵抗材として負担し、せん断力を鉛直、水平方向のコンクリートせん断キーが負担する構造となっている。地覆との接合部に引張抵抗材として炭素繊維ケーブルを用いることで、従来の鉄筋では配置間隔125mmピッチのところ500mmピッチに伸ばし、高耐久化と省力化を両立している。


構造概要


使用材料


地覆とPCa壁高欄の水平接合部の間詰めとなる樹脂系モルタルは5mm程度と従来のプレキャスト壁高欄のグラウト厚さに比べて非常に薄い。但し現実的には23mmの不陸が生じるため、その調整ができるよう、厚く塗れる材料としている。水平接合部に無収縮モルタルを打設しないので、逆打ちによるモルタル充填不良の恐れはない。床版とPCa壁高欄の接合を直接行っていないので、PCa壁高欄のみの取替えが発生したとしても、床版そのものに影響を与えない構造となっている。さらに、現場の施工では型枠組立などが必要ないので施工量を減らすことができる。

 

PCa壁高欄本体のコンクリートの設計基準強度は40N/mm2。内部鉄筋にエポキシ樹脂塗装鉄筋を使用しているため、高炉スラグや高強度コンクリートは使用していない。1ブロック長は橋軸方向基本2m(高さ0.69m)で、標準的なPCaPC床版と同じサイズであり、曲率R600でも対応が可能だ。

 


(左)壁高欄製作 (右)地覆部・基部製作


(左)組立前 (右)完成体


施工フロー

 工場でPCa壁高欄と地覆部までを一体化したPCaPC床版をそれぞれ製作する。地覆部には、あらかじめ炭素繊維ケーブルを所定の位置に配置しておく。現場に搬入してPCaPC床版を架設し、PCaPC床版の間詰め部を施工後、地覆の天端面に樹脂系モルタルを5mm以上塗布する。接合部のせん断キーの嵌合部には橋軸直角方向の位置調整用に5mmの隙間を設けており、鉛直方向の不陸もあるため、樹脂系モルタルは厚塗りが可能で弾性係数も高めた特殊配合としている。その後、炭素繊維ケーブルを挿入孔に挿入しながらPCa壁高欄を設置し、その自重により樹脂系モルタルが隙間に充填される。次に炭素繊維ケーブルの挿入孔(40mm)に無収縮モルタルを充填し、鉛直せん断キーになっている橋軸方向側壁部の約20mmの隙間に有機繊維入り無収縮モルタルを充填して、作業完了となる。

 施工数量は、樹脂系モルタル塗布に1015/1ブロック(2m)、設置・固定に10/1ブロック(2m)で、1時間あたりでは約8m1日あたり約50mとなっている。ちなみに、既存のPCa壁高欄のPGF工法では、ブロック長5m1日あたり約50mの施工量(プレキャスト・ガードフェンス協会HPより)だ。本工法では1日目に樹脂モルタル塗布とPCa壁高欄の設置、樹脂モルタル硬化後の2日目に無収縮モルタルの充填という繰り返しで作業を行い、施工人員は1パーティあたり23人で、塗布、設置、充填に各1パーティの合計3パーティを想定している。

同社以外のPCaPC床版であっても施工上の制約はないが、工場製作時の接合部の精度確保が重要となることに加え、炭素繊維ケーブルの挿入孔は充塡モルタルの付着向上のための洗い出し処理等も必要となるため、製作マニュアルを整備する必要があるとしている。

床版取替工事では、床版自体の施工はもとより道路両端に設置される壁高欄の施工についても工程短縮や効率化が課題となっている。施工コストは既存のPCa壁高欄と同程度であるが、「壁高欄の設置は床版の撤去・架設自体よりも工期が長い場合がある。壁高欄の設置が完了しなければ防水工も舗装もできないので、急速施工が可能で高耐久なPCa壁高欄の採用を提案していきたい」(同社)としている。

現在は、実物大の試験体を用いて合計3回実施した衝突荷重に対する構造性能試験の結果を整理している段階で、平成30年度には市場化をする予定だ。(大柴功治)

(2018年1月18日掲載)