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首都高の新インフラ管理システムなどを説明

第10回CAESAR講演会を開催

公開日:2017.09.01

 土木研究所構造物メンテナンス研究センター(CAESAR)は8月31日、第10回CAESAR講演会を東京・一橋講堂で開催し、約500人が参加した。基調講演では、東京大学・横浜国立大学教授の前川宏一氏が、点検データと数値解析を組み合わせた床版をはじめとしたコンクリート橋の余寿命評価技術について解説をした。
 首都高速道路の土橋浩保全・交通部長の講演では、新たなスマートインフラ管理システム「i-DREAMs」と、その中核技術である「InfraDoctor(インフラドクター)」の説明が行われた。InfraDoctorは7月から本格運用が開始されたシステムで、GIS(地理情報システム)を基本とするプラットフォームと、MMS(レーザースキャナや全周囲カメラを搭載した計測車両による計測システム)で得た3次元点群データを用いて、道路・構造物の維持管理業務を支援する。GISプラットフォームでは各種図面や点検結果を簡単に検索できるほか、事務所での現場確認、現場寸法計測が可能になっている。また、3次元点群データを活用することにより、図面、3D-CADモデルや管理台帳の作成が容易になるほか、変状の確認や検出、点検や安全確認のシミュレーションを可能としている。これらにより、資料収集から現場確認に要する時間を90%短縮できるなどの作業の効率化が図れるとしている。


土橋浩氏(左)/佐藤和徳氏(右)

 さらに、東北地整の耐久性確保の取り組みについて、元国土交通省東北地方整備局の佐藤和徳氏(現・日本大学教授)が報告を行った。東北地方での床版の損傷は、交通量(疲労)ではなく、凍結防止剤の大量散布などによる塩害や凍害などによる砂利化が原因で、現在の基準では凍結防止剤による塩害の規定が不十分なことなどから、品質・耐久性確保が困難になっていると述べ、耐久性確保の取り組みと対策を紹介した。取り組みでは、劣化状況を建設部門と共有し、産官学の連携で標準化の検討を行い、具体的な対策としては、排水流末の適正化や高耐久床版の仕様策定などを行い、地域標準の実例として手引書や参考資料にまとめたことを説明した。
 また、石田雅博CAESAR上席研究員は「高出力X線によるPC橋内部の劣化調査と耐荷力評価」について、大住道夫CAESAR上席研究員は「熊本地震により被害を受けた道路橋の損傷痕に基づく要因分析」について、講演を行った。

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