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インタビュー詳細

2021年度に売上高1600億円めざす

横河ブリッジHD 髙田和彦新社長インタビュー

株式会社横河ブリッジホールディングス
代表取締役社長
髙田 和彦 氏

 横河ブリッジHDの新社長に高田和彦氏が昇格した。兼任している横河ブリッジの社長職は引き続き務める。コロナ禍という特殊な環境下での新社長就任となるが、どのように抜本的な環境の変化に直面する橋梁という母業を固めつつ、システム建築という新たな分野を伸ばしていくのか。高田新社長に聞いた。(井手迫瑞樹)


じっくりと見据えて中計の達成目指す

 20年度受注目標は橋梁が750億円、エンジが660億円

 ――社長就任に際しての抱負

 高田 今年度は、現在の第五次中期経営計画の2年目にあたります。コロナ禍という特殊な状況にありますが、計画している予算を確実に達成して3年目に引き継ぎ、中期経営計画全体の目標をしっかり達成することが当面の抱負と言えます。新しいことをやるというよりも足元を着実に固めていきたいと考えています。

 特別、新社長としての「色」を出すことは考えていません。自分が培っていったものを着実にじんわりとした形で、出ていけば良いと考えています。

 前社長と経営的な考えは変わらないと思います。ただ、様々なことを実現していく手法は異なる色が出てくるのかなと思っています。

 ――高田社長の「やり方」とは

 高田 高めの球を投げず、じっくりと見据えて辛抱強くやっていくところでしょうか。

 ――HD全体の売上、利益の推移は

 高田 2018年度は売上1419億円で、内訳は橋梁事業が734億円、エンジ関連事業が634億円、先端技術事業が44億円、不動産事業が7億円で営業利益は105億円でした。現中計初年度の19年度の売上は1381億円で、内訳は橋梁事業が812億円、エンジニアリング関連事業が529億円、先端技術事業が33億円、不動産事業が7億円でした。20年度は通期で売り上げ目標を1,470億円としました。内訳は橋梁が770億円、エンジ関連事業が647億円、先端技術事業が47億円、不動産事業が6億円としています。また営業利益は130億円を目指します。

 受注高は、2018年度が1,532億円で、そのうち橋梁事業が917億円、エンジニアリング関連事業が573億円、先端技術事業が42億円で、中核を占める橋梁事業の内訳は新設が680億円、保全が123億円、海外事業が115億円となっています。同様に19年度は、1243億円で、橋梁事業が694億円、エンジニアリング関連事業が512億円、先端技術事業が37億円となっています。橋梁事業の内訳は新設が568億円、保全が124億円、海外が2億円となっています。20年度は1,465億円の受注を目標にしており、内訳は橋梁事業が約750億円、エンジニアリング関連事業が約660億円、先端技術事業が約55億円としています。

 ――今次中計最終年度となる2021年度は

 高田 売上高1,600億円、営業利益140億円を目指しています。そのうち橋梁事業で約760億円、システム建築を含むエンジニアリング関連事業で約760億円、先端技術・不動産事業で約80億円を目指します。

 ――売上・受注とも堅調に推移していますね

 高田 コロナ禍という特殊な状況を考慮すれば健闘していると思います。特に橋梁事業を中心とした公共事業は比較的順調に発注されており、その恩恵を受けているといえます。


利益率は8~9%、非常に健闘

 システム建築の売上・利益に占める割合は3割に

 ――利益率の推移はどのように分析していますか

 高田 グループ全体としての利益率は8~9%で推移しており、非常に健闘しています。特に売上・利益ともにシステム建築が相当なウエートを占めるに至っています。概ねHD全体の売上の3割に達しています。ここを倍増する勢いにしていければと考えています。

 ――19年度は18年度に比べてシステム建築の受注が減っているように見えますが

 高田 18年度から19年度にかけて需給バランスの調整を行いました。そのため茂原に新工場を建設し、受注増に備えることができるようにしました。同工場は設備投資がまだ完了していません、コロナ禍の状況を見ながら徐々に設備を充実させていければと考えています。

 ――橋梁分野の売上高は増えていますね。しかし足元の受注高は減っています。この要因は

 高田 昨年度の鋼橋発注高の大幅な減少(年間13万t)が明らかに効いています。一方で昨年度(19年度)は民間からの橋梁分野の受注が増えました。これで新設の受注減をカバーすることができました。

 ――橋梁事業における「民間」とは何を指すのですか

 高田 ゼネコンさんなどからの引合です。ゼネコンさんが受注した鉄道分野等の土木事業のうち、鋼橋に関する部分の製作及び架設の下請けを担う分野を指します。これはゼネコンさんから計画含めて委託されることが多く、我々が主体性を有して仕事に臨んでいます。19年度は割合にして18年度の倍の27%に達しています。その要因は需要が多かったことに加えて、元請で行く仕事とバランスを図り上手く取り込むことができたためと考えます。受注高に換算すると約100億円に達します。これが無かったら新設の発注減の影響を大きく受けたことでしょう。 


システム建築が橋梁製作のt数を超える
 今年度
下半期では12万t程度の発注が見込まれる

 ――全体の得意先別受注実績でも「民間」の項目が増加しています

 高田 これに関してはシステム建築の受注増が大きく寄与しています。

 今や、システム建築は母業である橋梁よりもたくさん製作・施工しています。今年度の受注見通しですが重量にして7万t、建屋ベースで100万㎡に達します。

 ――新設橋梁受注を遥かに超えていますね

 高田 橋梁は新設発注量の減少により新設桁製作一辺倒ということではなくなってきています。新設橋梁の受注重量は今年度5万t程度を目指しています。

 ――現在施工中または今後施工予定の魅力ある現場を挙げてください

 高田 新設では、JV案件ですが国土交通省四国地方整備局徳島河川国道事務所の新町川橋があります。深田サルベージ建設さんのFC船「武蔵」を使って架設しましたが同橋は近年稀なレベルの長大鋼橋です。新設は今上半期で6万t強の発注量でしたが、下半期では12万t程度の発注が見込まれています。今後の目玉は大阪湾岸道路西伸部です。海上部の斜張橋だけでなく、陸上高架部も鋼桁が予想され、全体としては鋼桁、鋼製橋脚で20万tを超える量を期待しています。今年度からの発注が見込まれ、当グループとしても受注していきたいと考えています。

新町川橋の浜出し(横河ブリッジホールディングス提供)

高知自動車道大豊IC~南国IC間で鋼トラス橋の耐震対策(横河ブリッジホールディングス提供)

 保全では、NEXCO西日本の高知自動車道大豊IC~南国IC間で鋼トラス橋の支承取替やダンパーの設置などを行う工事があります。

 大規模リニューアル事業ではNEXCO西日本の中国道池田~宝塚間の橋梁更新工事を詳細設計中です。同工事は横河ブリッジが親のJVですが、JV構成の中に横河NSエンジニアリングも入っており、同社が日鉄エンジニアリングと共同開発した急速桁取替工法のNYラピッドブリッジの採用を目指しています。床版を付けて桁ごと取り替える工法です。

 今後は押しなべて言えることですが、ECI方式のような発注形式が増えてくると思っています。それに対応するためにも、設計や施工計画分野の充実を図っていきます。