道路構造物ジャーナルNET

2020年わが社の経営戦略 大手ファブ トップインタビュー ⑤瀧上工業

今期が中期3カ年最終年度 地元プロジェクトに貢献

瀧上工業株式会社
代表取締役社長

瀧上 晶義

公開日:2020.10.05

 当NETの姉妹メディアである「週刊 鋼構造ジャーナル」では、毎年、橋梁を主事業のひとつと位置付ける鋼構造ファブリケーター各社のトップに経営戦略を尋ねるインタビュー記事を掲載している。その内容について、数回に分けて転載していく。今回は、瀧上工業の瀧上晶義社長の記事を掲載する。

 ――19年度の業績は
 瀧上 売上高が163億1,000万円(連結)、営業利益が1億2,900万円、経常利益が4億1,500万円と増収減益となった。橋梁事業では、鋼道路橋発注量が前年度から大幅に減少する中、当社もその影響を受け、受注量が前年度を大きく下回った(受注高は前年同期比40%減)。ただ、保全工事部門は比較的順調に受注量を確保した。
 鉄骨事業でも、新たにこれまでの火力発電工事に加え、民間建築案件の受注に努めた結果、前年同期比35%減に留まり、全体として鋼構造物製造事業の総受注高は同39%減となった。一方、損益では橋梁、鉄骨の両部門で一部に採算が厳しい工事を取り込んだことから収益は厳しい結果となった。
 ――各部門の数値目標と具体的対策、見込みは
 瀧上 18年度3月期を初年度とした中期経営3カ年計画を策定しており、その中で、昨年度を「再生と創造」として位置づけ、今年度はその最終期となる。
 鉄骨事業では昨年4月に「鉄構本部」を分離独立させ、鉄構事業の再生を目指している。年間の生産目標を1万5,000t体制とすることに変わりはなく、鋼構造物事業における売上高の約30%までを担う事業へと拡大を図っていきたい。そのためには、図面業務の効率化や営業人員(現状4人)の補強を図る必要がある。
 人材確保は依然として厳しい状況にはあるが、生産量の維持と生産性向上のため、外国人技能実習生(現在、ベトナムから10人)が活躍しており、同業他社との製作協力体制も確立しつつある。昨年3月には柱大組立溶接ロボットを新設し、一次加工ラインやクレーンも整備した。また、鉄骨加工についてはグループ会社との連携も強めている。
 橋梁事業では、引き続き技術提案力と積算精度の向上を図っていく。老朽化した生産設備の更新を進める中、昨年は橋梁パネルライン矯正機の更新が終了した。今後はフェーシングマシンの更新や屋根工事を進める。
 保全事業では昨年5月、「保全本部」を関連会社である瀧上建設興業の本社移転に合わせて同所に同本部を移転した。これにより、従来までのインフラ整備から補修や予防保全にも注力していく方針で、一部の大規模補修工事の受注に至ったことは、当該事業が大きな一歩を踏み出したものと認識している。今後も、技術者の増員とともにグループ会社の力を結集し、人材の最適化やこれまで培ってきた知識と経験を駆使し、保全を含めた橋梁事業全体のあるべき姿を模索していきたい。


新東名高速道路・向畑高架橋(鋼上部工)工事

 材料販売事業では、品種によって低調な部門がある。一方、工場に隣接しているJR武豊駅の高架化工事が近々スタートする予定であり、当該プロジェクトで加工協力(鉄筋関連)できるよう尽力したい。
 不動産事業(ワンルームマンション等への投資)、海外事業(ベトナム工場での生産維持とフィリピン事務所開設による加工拡充)および新規事業については、「入札だけに頼らない企業づくり」を目指し、引き続き事業拡大していきたい。
 今期は売上高150億円、営業利益5000万円、経常利益3億5000万円を見込んでいる。
 ――新型コロナウイルス感染防止への対応は
 瀧上 現状、感染防止策として、各部署で在宅勤務や交代勤務を実施している。今年度はアフターコロナのための準備期間として、あらゆる対策を検討し、来年度から本格的な実施に取り組んでいきたい。
 ――最後に人材確保や育成については
 瀧上 今年の4月に大卒5人、高卒5人の新入社員を迎えた。来年4月も数人採用予定だ。働き方改革を実行しながら、引き続き職場環境改善を進める。また、会社のイメージアップを図るため、各事業部門の社員から意見を集約し、PR対策も講じていきたい。
(聞き手=和田 徹、文中敬称略 2020年10月5日掲載)

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