道路構造物ジャーナルNET

工程短縮とコンクリートの品質確保に取り組む

国土交通省三陸国道事務所 復興道路・復興支援道路事業が大詰めに

国土交通省
東北地方整備局
三陸国道事務所長

髙松 昭浩

公開日:2020.09.30

閉伊川大橋 騒音対策で延長床版を採用
 施工では耐久性確保や維持管理を考慮した取り組みを行う

 ――新思惟大橋のほかには
 髙松 7月12日に開通した宮古田老道路の閉伊川大橋(橋長502m、鋼6+4径間連続鈑桁橋)では、A2橋台側が家屋連担地域となっているため騒音対策として、東北地方整備局では3事例目となる延長床版を採用しました。延長床版では、RC床版との接合部や伸縮装置部において耐久性の確保や維持管理などを考慮した取り組みを行っています。


閉伊川大橋 概要図

 同橋の平面線形はA=500m~R=1,100m、横断勾配は3%、縦断勾配がA2橋台側に向かって3%~0.3%の下り勾配で、合成勾配が3%~4.2%となります。そのため、冬期にはA2橋台の床版端部に凍結抑制剤散布の塩分を含んだ橋面水が滞水しやすく、その水が床版に浸入することで劣化損傷する恐れがあります。そこで、RC床版と延長床版の接合部分に高強度クラック抑制シート(引張強度100kN/m)を基層上面に設置して、橋面水が浸入しにくい構造としました。さらに、RC床版と延長床版の接合部にはエポキシ樹脂塗装鉄筋を採用するとともに、床版端部(地覆立ち上がり部)にウレタン系樹脂の防水を用いるなど、多重防護を図っています。
 また、レベル2地震動時には延長床版が移動することで底版に応力が集中し、断面欠損が生じる可能性がありました。そこで底版の一部に切り欠きを入れて、レベル2地震動の移動量を確保し、地震時の慣性力による損傷を抑制する対策も施しています。
 維持管理の観点からは、伸縮装置の継目位置を遊間からずらした構造(支持式)に変更しています。延長床版の採用により伸縮装置を土工部に配置しているため、伸縮装置内の清掃が困難になることから、土砂の流入を防ぐ構造を採用しました。この構造(支持式)は東北地方整備局では初採用となります。


延長床版での耐久性の確保や維持管理などを考慮した取り組み

延長床版の施工

伸縮装置の施工

 ――東北地方整備局ではコンクリートの品質確保に向けた取り組みを行っています。事業中の路線で事例がありましたらお聞かせください
 髙松 当事務所では、「岩手コンクリートを考える会」への参加や、横浜国立大学の細田暁先生をはじめとした大学の先生方とともに、コンクリート品質を確保したうえで耐久性の向上を目指してきました。
 部材厚が薄いRC床版では、凍結抑制剤散布にともなう塩害や凍害などによる複合劣化が顕在化しています。そこで昨年度からRC床版の耐久性向上に向けて、水結合材比を45%程度に低減し、塩分環境下のASRに対しても抑制効果のある混合セメント(高炉セメントB種)を使用する試行工事を取り組んでいます。施工においては、通常コンクリートよりも粘性が高く、打込みや仕上げには熟練の作業員が必要です。試行工事では、橋梁ごとに縦・横断勾配を再現した模擬床版による試験施工と本施工に向けた意見交換により、施工者の意識高揚につながっています。この取り組みがコンクリート構造物の長寿命化につながればと考えています。
 ――耐久性向上の取り組みを行った橋梁は
 髙松 施工予定も含み、25橋です。


RC床版で高耐久化仕様を採用した橋梁

宮古箱石道路・茂市橋での試験施工

 ――復興事業ということで限られた工期内で進めなければならなかったと思いますが、事業全般での取り組みで、どのようなことがポイントになったと思いますか
 髙松 事業の川上段階で調査・設計を早く進めるために事業促進PPPを導入しました。さらに工事の進捗に合わせて施工監理などにも対象を広げて、事業全体でのコスト縮減や早期完成を目指した工夫を行ってきました。この取り組みは全国的にも初めてであり、その効果も含めて一番の特徴だと思います。

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