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インタビュー詳細

床版防水性能はGⅡ同等

NEXCO総研 舗装研 新たなグースアスファルト混合物(BLG)の基準まとめる

株式会社高速道路総合技術研究所
道路研究部 舗装研究室長
加藤 亮 氏

 NEXCO総研は、床版防水と橋梁レベリング層を兼ね備えた工法として、新たなグースアスファルト混合物を用いた、BLG(Bridge Levelling Guss asphalt)を開発しているが、時間的制約があり、グレードⅡ床版防水(以後、「GⅡ」)の施工ができない既設橋梁の舗装補修工事の現場で使えるよう技術基準案をまとめた。加えて床版防水の基準類を設計要領第二集(橋梁編)から同第一集(舗装編)に変更する意義も含めて、その内容について加藤亮NEXCO総研舗装研究室長に詳細を聞いた。(井手迫瑞樹)


GⅡ同等の防水性能を有するBLG

 GⅡの7割の施工時間で施工できることを求める

 ――要領改訂について

 加藤室長 コンクリート床版用の防水及びレベリング舗装を兼ねた新たなグースアスファルト舗装についての技術基準案をまとめました。

 ――内容は

 加藤 NEXCOは10年ほど前からGⅡと呼ばれる高性能床版防水を導入してきましたが、施工時間を要する材料であるため、供用路線では採用が困難な状況でした。そこで床版防水機能を併せ持つ橋梁レベリング層用混合物の研究を進めてきまして、BLG(Bridge Levelling Guss asphalt)を開発(共同研究者:鹿島道路、ニチレキ)しました。技術基準の原案として設計・施工管理要領(案)、設計施工マニュアル(案)を総研で作成しており、それに基づいてNEXCO 3社が各社の技術基準化を進める予定です。

 ――BLGの開発コンセプトから教えてください

 加藤 開発コンセプトは4点あります。

 ①GⅡと同等の防水性能を有すること。

 ②橋梁レベリング層用As混合物として、従来の材料(FB13)と同等の耐久性を有すること。従来の橋梁レベリング層であるFB13は、普通のアスファルトフィニッシャで敷均し、ローラーで転圧していくものですが、これと同じ耐久性を持たせるということです。橋梁レベリング層の厚さは既設で35mm、新設で40mmとなります。

 ③特別な施工機械を必要としないこと。

 ④床版防水グレードⅠと同等の施工能力であることを求めるという点です。施工の速さを追求することがBLGの開発において重要な要素となっています。GⅡは耐久性や防水性能は飛躍的に向上するものの施工に時間がかかることが短所となっています。具体的にはGⅡの6割の施工時間で施工できることを求めています。

 ――具体的な要求性能は

 加藤 ①塑性変形抵抗性:橋梁レベリング層用アスファルト混合物と同等の動的安定度、②防水性:水を通さないこと、③引張接着性:端部防水層及び床版と剥がれないこと、④せん断接着性:端部防水層及び床版とずれないこと、⑤耐薬品性:化学物質の影響により機能が喪失しないこと、⑥環境安全性:人体や生態系に有害な影響を与えないこと、⑦耐久性:供用中の交通荷重及び温度変化の影響により機能が喪失しないこと――です。GⅡに課していることとほぼ同じです。但し⑦だけが異なります。


耐用年数は10年 防水グレード的にはⅡに近い

 GⅡの施工ができない既設床版の補修工事の現場で使用

 ――耐久性という点ではBLGの耐用年数はいかほどなのですか

 加藤 舗装ですので、設計上の耐用年数は10年です。

 ――プライマーも10年ごとに更新するということですか

 加藤 そのつもりでいます。舗装は切削により剥がしていきますが、その作業においてプライマー層にも当然ダメージは与えてしまいます。そこはやり直さなければなりません。

 ――BLGは「GⅡの要求性能を満足する高い防水性を有する」と書いていますが、耐用年数はGⅡの30年相当に比べて短いわけですね

 加藤 防水性能はGⅡに匹敵するレベルにありますが、耐用年数は短いということです。GⅡは塗布系、シート系とありますが、床版のひび割れに対する耐性についてひび割れ開閉試験というものを課しています。しかし、BLGでは材料特性上、同じ試験を行えないため、その性能を論ずることはできません。その点もあってGⅡと単純に「同等」とは表現できない、という整理にしております。

 ――では位置づけはGⅡとはしないわけですね

 加藤 性能的にはGⅡとⅠの間、Ⅱにほど近い中間のグレードに位置づけられると考えています。当面の扱いとしては、時間的制約があり、GⅡの施工ができない既設床版の補修工事の現場で使っていただこうと考えています。

 ――今回のグースアスファルトは改質型グースを用いていますが、一般的なグースアスファルトとの違いは

 加藤 一般的なグースアスファルトは、材料の調達が難しいこと、DS(動的安定度)が小さく、少ない通過輪数で流動してしまうという弱点がありました。具体的に言えば動的安定度(DS)が300回/mm程度と小さく、橋梁レベリング層用アスファルト混合物に求めている基準値1,000回/mmを確保できません。ここを新しいBLGは改善しています。また、従来のグースアスファルトは施工時に240℃という高温状態にしないと施工できませんでしたが、高温で床版上に敷くとブリスタリングが起きます。この問題を回避するために普通のアスファルト混合物と同じ180℃で敷きならせるよう組成を変えており、施工時のブリスタリング発生を抑制できます。運搬にはアスファルトクッカー車を使いますが、これは従来同様です。ダンプのシャシに混合物を練り混ぜる釜状の機械を搭載したものです。敷均しにはグースアスファルト専用のフィニッシャを用います。

BLG施工事例

 ――BLGのDS性能はどの程度なのですか

 加藤 1,500回/mm程度の性能を有します。

 ――目標値の1.5倍ということですね

 加藤 そうです。

勾配に応じて適正な防水層・基層が形成

 ――BLGは流動性が高い特徴を有しますが、FB13と同様に自立することはできるのですか(勾配などがある場合、偏って流れないのか)

 加藤 従来のグースもそうなのですが、アスファルトフィニッシャから排出された時には流動性が高い状態なのですが、温度の低下とともに、流動性は途端に失われます。そのため水のように重力に従って低いところに流れて行ってしまうということは極端には起きません。

 ――ということは勾配に応じて適正な防水層・基層が形成できるということですね

 加藤 その通りです。アスファルト混合物は熱可塑性を有します。コンクリートやモルタルが水和反応で硬化するのに対し、時間軸に対しての硬化の度合いは早く、勾配がある箇所でも施工的に扱いやすいと言えます。


 ――さて、施工の仕方ですが、まず下地処理は

 加藤 標準としてはライナックスやショットブラストを想定しています。

 ――BLGの施工の仕方は

 加藤 プライマーの養生はそれほど時間を要しません。

 今回のBLGは専用のアスファルトフィニッシャを使う必要があります。流し込むような敷均しを行います。従来ですと、この後ろにロードローラーが入ってきて転圧作業がありますが、その作業を省略できます。

 ――それはすごいですね

 加藤 ペースト状のアスファルト混合物を床版上に流し込みます。施工時の流動性が高いので、隅角部まで材料が行き渡り、隙間なく自己充填されます。層構成としてはコンクリート床版の上に専用のアスファルトプライマーを塗布した後(ひび割れ幅0.2mmにも含侵できる)、BLGを舗設します。最後に表層を舗設し、床版防水機能を兼ね備えた橋梁舗装が仕上がります。