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インタビュー詳細

供用中の本線に影響を与えないよう工夫した施工

NEXCO西日本和歌山工事 完成2車を4車線化する特殊な現場

西日本高速道路
関西支社 和歌山工事事務所
所長
北川 誠 氏

 NEXCO西日本関西支社和歌山工事事務所は、湯浅御坊道路の4車線化事業、阪和道の4車線化事業、阪和道の一部の付加車線設置事業を推進している。とりわけ湯浅御坊道路の4車線化は、完成2車線を4車線化するという極めて特異な事業で、ランプ橋やOVの付け替えなども暫定2車線の4車線化とは別次元の条件下での施工を強いられている。有田南IC付近の現場やOVの架替えを中心にその内容について聞くと共に、川辺第一、第二トンネルで用いられている遠隔立会システムと覆工自動測定システムなど新しい技術の導入について北川誠所長に詳細を聞いた。(井手迫瑞樹)



完成4車線は用地取得から

 阪和道4車線化や付加車線設置事業も進める

 ――和歌山工事事務所所管事業の概要及び特徴から

 北川所長 和歌山工事事務所は湯浅御坊道路の4車線化事業、阪和道の4車線化事業、阪和道の一部の付加車線設置事業を推進しています。特に有田IC~御坊ICまでの湯浅御坊道路の4車線化事業(延長19.4㎞)は、完成2車線の道路を4車線化するというものであるため、用地から取得していく必要があります。

 阪和道の4車線化は御坊IC~印南IC間9.8㎞が対象であり、同事業は通常の暫定2車線の拡幅事業です。加えて、印南ICとみなべIC付近では、ICの分合流の安全対策として付加車線をつける工事を進めており、工事延長は印南IC側が3.0km、みなべIC側が3.2kmとなっています。


事業概要(NEXCO西日本関西支社和歌山工事事務所提供、以下注釈なきは同)

 ――阪和道の暫定2車線区間は橋脚まで出来ていると考えて良いですか

 北川 全てはできていません。阪和道はⅠ期線を造った際にコスト削減が叫ばれた時代にあったため、(4車線分の下部工は作っておらず)橋脚から施工をしており、現在も施工中の個所があります。土工部は完成切盛にしている箇所もあるので、湯浅御坊道路とは少し異なります。

 ――付加車線工事は、逐次4車線化しているようですが、未実施の区間も4車線化していくのですか

 北川 同区間はⅠ期線を整備した時に、部分的に4車線で整備した個所もあります。昨夏に国交省の方から、同箇所は4車線化の最優先区間であると指定されました。今後も許可は得ていませんが、残り区間についてもいずれ4車線化の許可がいただけるのかな、と考えています。(2020年3月31日付で阪和道 印南~みなべ間事業許可)

 ――有田IC~御坊IC間は阪和道とは位置付けられていないのですね

 北川 隣接する海南IC~有田ICは海南湯浅道路という一般有料道路として供用された後に、高速道路に編入しました。有田IC~御坊IC区間も追って一般有料道路として整備されましたが、その時はまだ、大きなネットワークの構想が無かったので、国道42号の代替路線であり、将来の高速道路を補完する道路として先行して一般有料道路で整備されました。

 ――交通量は

 北川 和歌山IC~御坊IC間が2万台ほどの交通量です。特に観光道路としての性格が大きく、白浜までは大阪から2時間半で着くことができます。昔とは違って日帰りコースになっていることから、観光シーズンには大変混みます。


完成4車線区間の構造物比率は56% 25橋、6箇所のトンネルが犇めく

 既設のランプ橋を取りこわして新しい車線を確保

 ――では、最初に有田IC~御坊ICまでの完成2車線の4車線化事業から詳細を教えてください

 北川 同区間の構造物比率は56%と高く、橋梁25橋(ランプ含む、延長約4.5㎞)とトンネル6箇所(6.5㎞)があります。現在、土工、橋梁、トンネル工事は全て発注済みであり、上部工で架設完了したのは6橋、架設中は2橋、下部工施工中は17橋となっています。トンネルは4箇所が貫通し、覆工コンクリートの施工を行っており、2箇所が掘進中です。(2019年12月末時点)

 暫定2車線との大きな違いは、ICの構造が将来を見越して作られていないということです。


完成2車線を4車線化する事業イメージ


 ――と、いうと?

 北川 暫定2車線の場合、ICは完成形で施工されていることから、拡幅車線側に2車線が入れられるようにしていますが、完成2車線の場合、コンパクト化されており、拡幅車線が考慮されていない形状となっています。そのため、完成4車線化するに際し、新しいランプを作ったのち、そこに交通を切り替えて、元々あったランプを撤去。その後、拡幅する本線を作る必要があり、暫定解除といわれる事業に対して大きなひと手間を要します。

 土工部であれば、盛土を行えばいいのですが、橋梁形式のランプもあるため、大きな手間となります。



平野高架橋

 ――金も時間も人も余計にかかりますね

 北川 かかります。有田南IC付近(水尻高架橋の一部含む)は、本線が3車線あるため、実質1車線の拡幅なのですが、拡幅する所に既設のランプ橋があるため、それを取り壊さないと新しい車線が確保できません。12月半ばから白浜行きのONランプを終日通行止めさせていただいて、新しいランプの工事と既設ランプ橋の撤去を施工しています。

 ――具体的に撤去・新設する桁の長さは

 北川 橋脚や桁の撤去は約170m(AN1~PN8)程度の延長で行いました。もともとPN8の次の桁が、本線とONランプ共用の桁になっているので、それは残しています。既設桁の形式は4径間連結プレテンT桁×2連と単純合成鈑桁でした。これを1径間ごとにワイヤーソーで切断し、撤去していきました。具体的には主桁(プレテンは6主、鈑桁は3主)を1本ずつ撤去を行い、1本あたりの重さは30t弱です。

2ページ 本線との離隔は最小20㎝ 民家が張り付くため防音養生