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インタビュー詳細

日交通量は約3万台 暫定2車の中でも1、2を争う交通量

NEXCO西日本佐世保工事 佐々IC~佐世保大塔IC間16.9kmを4車線化

西日本高速道路 九州支社
佐世保工事事務所
所長
池田 宰 氏

 NEXCO西日本佐世保工事事務所は、西九州自動車道のうち、佐々IC~佐世保大塔IC間約16.9kmの4車線化事業を進めるために2018年4月に新設された。同区間の日断面交通量は多い箇所で約3万台であり、暫定2車線区間の中でも1、2を争う重交通路線だ。1期線のうち佐々IC~佐世保中央IC間は直轄事業による無料の自動車専用道路、佐世保中央IC~佐世保大塔IC間は国土交通省とNEXCO(又は日本道路公団)の合併施工によって建設された。佐世保高架部は中央に暫定2車線を配置するなど、独自の構造も多く、周辺道路の交通量も多いことから、難工事が予想される。丘陵地は長大橋も多く、トンネルは2チューブと少ないが、天神山トンネルは約1km、弓張トンネルは約2.7kmといずれも長大なトンネルだ。現在の進捗状況と施工上の課題を中心に池田宰所長に詳細を聞いた。(井手迫瑞樹)


弓張トンネルは約2.7km

 同トンネルを境に東が市街地、西が丘陵地

 ――地形的特徴と道路の整備について

 池田所長 西九州自動車道は福岡市~武雄市の延長約150kmで整備されており、当事務所はその中の佐々IC~佐世保大塔IC間、延長16.9kmの4車線化事業を担当します。NEXCO西日本の暫定2車線道路の中でも1、2位を争う重交通区間であり、日断面交通量は佐世保みなと~佐世保大塔間で約3万台です。

NEXCO西日本の暫定2車線道路の中でも1、2位を争う交通量を誇る(井手迫瑞樹撮影)

 現在、佐世保中央IC~佐世保大塔IC間が、NEXCO管理の有料道路となっています。一方、佐々IC~佐世保中央IC間にかけては国土交通省管理の無料の自動車専用道路であり、管理主体が分かれています。今回の有料道路事業をもって、全線を4車線化し、最終的にはNEXCO西日本が一体的に管理するとともに、料金体系も見直しすることになります。現在は佐世保大塔IC・TBで料金を徴収しており、料金体制見直し後も従前の無料区間での行き来については引き続き無料でご利用いただけますが、無料区間から有料区間へ継続利用される場合は、佐世保大塔IC・TBで一括徴収いたします。

 ――ということは佐々ICから入って佐世保中央ICで降りる場合は、4車線化しても無料通行が維持されるということですね

 池田 そうです。

 ――複雑な料金体系ですね

 池田 現金で支払うお客様については、一律の額を徴収しますが、ETCを搭載している車でご利用になるお客様については、ETCの無線を受信できるものですから、距離に応じて課金します。

 ――改めて地形的な特徴は

 池田 山が迫っていて、平地が少ないという特徴があります。佐世保の市街地を通過して弓張トンネル(西海国定公園の一部の弓張岳を貫く、約2.7㎞)を抜けると、丘陵部を通って佐々に向かいます。弓張トンネルを境に東が市街地、西が丘陵地という地形です。


4車線化全体図と進捗状況(西日本高速道路提供、以下注釈なきは同)

12橋、2チューブの構造物。比率は55%に達する

 橋梁・高架が5.7km、トンネルが3.6km

 ――という事は、東は比較的平らという事ですね

 池田 東側にも延長約1kmの天神山トンネルがあり、同トンネルを抜けると工業地帯がある平地に至ります。

トンネル部イメージ

 管内には12橋の橋梁が存在します。トンネルは2チューブです。


 ――構造物に占める橋梁の比率が高そうですね

 池田 構造物比率は土工が7.6km、橋梁・高架が5.7km、トンネルが3.6kmで、土工以外が過半の55%を占めています。橋種は5橋が鋼で、7橋がPCです。(※佐世保高架橋は鋼橋に含む)

 ――工事はどのように進めていきますか

 池田 工区は丘陵地区間、佐世保大塔付近の土工概成区間、市街地の橋梁拡幅区間の大きく3つに分かれます。

 土工概成区間は外幅いっぱいに構造物が構築されていますので、その中にある3橋を架けて舗装を行えば、工事は完了します。

土工部(丘陵地区間)のイメージ

 ――3橋については下部工も出来上がっているのですか

 池田 ほぼ出来上がっています。沖新高架橋で1橋脚の新設と、施工済橋脚の耐震補強を実施すれば、以降は上部工だけで良い状態です。

 ――上部工架設予定は

 池田 令和2年度に発注する予定です。

 土工概成区間の土工部の整地と標識移設については白岳工事として発注済みです。受注者は佐世保市に本社のある門田建設(株)です。

土工部の整地などが行われている(井手迫瑞樹撮影)


天神山トンネル 坑口付近は薄い土被り

 ――天神山トンネルの整備はどのように行いますか

 池田 通常の区間と同じように、単純に今あるトンネルの隣に2車線分のトンネルをもう1本掘ります。発注は完了しています。現在は工事説明を順次行っています。

天神山トンネル現況写真(左:西坑口、右:東坑口)


 ――現場を見ましたが、結構土被りが薄いように感じるのですが

 池田 厚いところは100mぐらいありますが、坑口部は確かに家が張り付いており、区分地上権で権利を取得しています。坑口付近を含めて機械掘削による施工を予定しています。受注者は(株)安藤・間です。


佐世保市街地高架 中央部に暫定2車線の桁が配置されている構造

 橋脚梁、桁、床版を両側に拡幅

 ――市街地拡幅部は

 池田 佐世保駅前の区間約1.9kmが該当します。

 ここは全国的にも珍しく、現在中央を利用した2車線運用をしています。一般的には片側2車線で建設し、隣にもう2車線建設するケースが多いですが、ここでは中央部に桁を配置しています。橋脚の柱と基礎は4車線前提にした構造で出来上がっておりまして、(柱の両側の)橋脚梁、桁、床版を拡幅していきます。

佐世保高架橋拡幅部(梁の両側に鋼製梁を拡幅する)

両側拡幅の施工イメージ

 ――当該箇所の1期線は、合併施工なので国土交通省にて施工されたと思うのですが、NEXCOでこのような暫定構造は他にあるのですか

 池田 恐らくありません。

 ――拡幅施工の具体的方法は

 池田 元々は、現在の梁端部のコンクリートをはつって、梁を付け足して、PCケーブルで緊張するという設計思想でした。予め内側にはシースがセットされておりまして、将来の拡幅ありきの暫定施工がなされていました。

 ――ただ、高架下の交通もあり、支保工などを考えると容易な工事ではありませんね

 池田 支保工は門型で特殊な支保工を組んで施工するというのが当初の設計思想でした。


橋脚梁の拡幅をRC梁から鋼製梁に変更へ

 交差点単位で通行止めをしながら、順番に施

 ――ということは、違う方策を取るのですか

 池田 基本設計において、鋼製梁化を検討しています。

 ――施工性を考えれば妥当な結論ですね

 池田 支保工が小規模で済みます。鋼製梁はコンクリート梁と同様にPCで緊張して定着します。

 ブラケットを設けて特殊支保工や足場を作り、県道を夜間通行止めして施工します。昼間は交通開放します。

 ――過酷な現場になりそうですね

 池田 一回に多くの工事はできないものですから、交差点単位で通行止めをしながら、順番に施工していきます。非常に長期にわたって交通規制をかける必要があるのかな、と思っています。

 ――夜間通行止め施工するという事は、クレーンを県道に設置して施工するという事ですね

 池田 そうです。クレーンで鋼製梁を上げて支保工で支持しておき、最終的にPCで緊張定着します。