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インタビュー詳細

ロッカーピア、長大特殊橋の耐震補強も順次進める

NEXCO西日本 大規模更新は重交通路線対応へ

西日本高速道路株式会社
保全サービス事業部長
安達 雅人 氏

 NEXCO西日本は昨年度、山陽道や広島呉道路の大規模災害、関空連絡橋への船の激突による桁の一部損壊、立川橋の崩落など多くの災害に見舞われ、構造物が傷ついた。先年には熊本地震にも遭うなど、災害が続いているが、対応力も磨き、立ち直りも早くなっている。その組織的な強靭さや、大規模更新事業、耐震補強、4車線化事業などの進捗状況について、安達雅人・保全サービス事業部長に詳細を聞いた。(井手迫瑞樹)

3交代制や人員のラップを行い、持続的かつ円滑な復旧を進めた

 中国道では49箇所が被災 その状況と復旧の推移を的確に周知

 ――昨年は中国・四国支社管内で豪雨水害、関西支社で関空桁の事故による被災がありました。本社における主な被災対応と今後に向けて、生かせる経験について述べてください

 安達事業部長 通常の業務であれば、企画や計画は支社で検討して本社と調整しながら行っています。しかしながら、災害発生時など緊急を有する状況であれば、復旧方針など本社がリードしながら行わなければいけないことです。そして、被災を受けたのは、高速道路だけではなく、周辺のエリア(地域)も被災している状況もあり、(被災した)国道や県道と並行して走っている高速道路であれば、高速道路が通行止めになっていない状況であれば迅速に無料通行措置を取ることや、全面的に埋没した個所においては、全車線復旧を最初から目指すのではなく、片側1車線でも良いので啓開し、対面交互通行でも良いので、少しでも早く復旧を目指すことが重要です。緊急性の高い車両の通行を確保することが何よりも大切ですし、完全な4車線確保という形でないにしても対面通行でも良いので速く交通機能を回復させることが地域に対して高速道路が果たさなければならない使命と考えています。そのためには形式にこだわらずに、早く交通開放をさせるには何が最短かということを色々学ばせていただいたというのが去年の災害だったように思えます。

関空連絡橋の桁撤去/同橋桁の再架設(当サイト既掲載)

 昨夏の7月豪雨では、49か所で車線をふさぐ大規模な被災があり、小さな被災は無数にありました。高速道路は線で結ばなければいけませんから、一箇所ごとに車線を確保するためどのようになすべきか、智恵を絞り現場で努力しました。現場は1、2晩では到底終らず、24時間体制がずっと続きました。しかし徹夜作業は2、3日が限界です。そのため交代要員も含めてロジスティックをしっかり回していく必要があり、人員体制は3交代をベースにしました。なお作業を適切に受け渡すため、最低1人は作業時間をラップさせ(情報共有の円滑化・連続化を図り)ました。こうした体制作りは今後に生きると考えています。


広島呉道路の災害状況(合成画像、NEXCO西日本提供、以下注釈なきは同)

広島呉道路における崩落土砂の撤去

 ――熊本地震の時に当時の高倉取締役(当時、取締役常務執行役員(保全担当))と福永部長(当時、九州支社保全サービス事業部長)に取材した時に、とにかく人手が足りなさ過ぎて現場に無理をさせたという事と夜間に緊急点検をせざるを得なかったが、二次災害が起きないかと冷や冷やした、ということを話しておられました。この課題・教訓は生かせましたか

 安達 熊本地震時は当初、現場の被災状況や、高速道路の復旧状況の推移を発信できませんでした。今回の平成30年7月豪雨では、49箇所の被災がありましたが、被災状況と復旧の推移をなるべく知っていただくことが大事だと考え、広島呉道路や山陽道も含め、その周知に努めました。その意味では発信は改善されたと思います。

 関空連絡橋についても保全サービス事業部だけでなく、技術部と連携してあたりました。設計の起こしや船の手配が迅速でしたが、これは技術部の持つネットワークが有効に働いたことの証左であると考えます。保全サービス事業部だけではなかなかできませんでした。昨夏の災害は、こうしたネットワークや委員会に参画していただいた先生方の助言も含め、有事の体制が有効に機能したと考えています。


関空連絡橋、立川橋復旧

 国民の注目が社員や関係各社の士気向上に寄与

 ――関空連絡橋については設計図面が残っていたのが非常に大きかったですが、NEXCOの立ち上がりも早かったですね

 安達 同橋は関空会社が建設した橋でしたが、図面もありましたし、船の手配もすぐに連絡が付きました。あの時期でしたが天気にも恵まれて復旧スケジュールもスムーズに進みました。何よりも国民の皆さまに注目していただいたことが社員や関係する会社のみなさまのモチベーションを向上させ、いい仕事を迅速にすることができました。


 ――立川橋の落橋もありました

 安達 一車線でも良いから早く復旧させるという、初動の対応もよかったと思います。また、1年で復旧できたことについては高知県の尾﨑知事からも丁寧なお礼の言葉をいただくことができました。 


立川橋の崩落/1年で復旧した

橋梁 8,329橋約1199kmを管理

 トンネルは867チューブ約755kmを所管

 ――現在の管内の橋梁・トンネルの内訳は

 安達 橋梁は全体で8,329橋1,199,621m、トンネルは867個所755,484mとなっています。

 橋種別は鋼橋が2,628橋506,206mと最も多く、次いでRC橋が2,408橋460,524m、PC橋が1,167橋179,730、エクストラドーズド橋やその他が147橋33,477mです。鋼橋では非合成I桁が913橋196,478m、次いで合成I桁が1,179橋178,051m、合成箱桁が455橋111,948mと3種類で大部分を占めます。特殊橋はトラス橋が53橋14,814m、ランガー橋が7橋1,195m、ローゼ橋が16橋3,231m、斜張橋が2橋394mです。RC橋では中空床版が2,157橋413,642mと大部分を占めます。特殊橋ではアーチが18橋1,872mなどとなっています。

トラス橋例(九州道 筑後川橋)(当サイト既掲載)

 PC橋はラーメン形式が365橋80,395mと最も多く、次いでプレテンT桁が222橋29,368m、ポステンT桁が229橋26,387mとなっています。

 吊り橋は関門橋の1橋のみです。

関門橋(井手迫瑞樹撮影)

 供用経過年数別は、50年以上が373橋53,809m、40年以上50年未満が1,426橋190,337m、30年以上40年未満が1,731橋304,487m、20年以上30年未満が1,735橋354,871m、10年以上20年未満が824橋203,684m、10年未満が261橋72,749mという内訳です。橋梁延長比では1,000m未満が6,233橋(0~100m未満が3,072橋、100m~500m未満が2,819橋、500m~1000m未満が342橋)、1,000m以上2,000m未満が98橋、2,000m以上3,000m未満が13橋、3,000m以上が6橋となっています。時代的には昭和の終わりから平成の初めが建設のピークと言えますね。

 路線別で最も橋梁数が多いのは中国縦貫道の935橋、最も橋梁延長が長いのが山陽道の吹田山口線153,445mとなっています。

 トンネルの工法別はNATMが659個所(チューブ数、以下同)602,176m、在来矢板工法が151個所134,122m、開削工法が55個所18,625m、シェルターが2箇所561mとなっています。建設年次別では60年以上が1箇所3,461m、50年以上60年未満が20個所10,645m、40年以上50年未満が53個所25,383m、30年以上40年未満が255個所235,675m、20年以上30年未満が347個所301,128m、10年以上20年未満が148個所147,819m、10年未満が43個所31,373mとなっています。

 延長別は、998m以下が617個所、999m以上1,997m以下が164個所、1,998m以上2,996m以下が54個所、2,997m以上3,995m以下が21個所、3,996m以上4,994m以下が7個所、5,994m以上6,992m以下が4箇所です。

 路線別で最もトンネル箇所数が多く延長が長いのは、山陽道の吹田山口線で199個所185,109mです。