1号羽田線リニューアルは五輪までに更新上り線の完成をめざす
周辺環境に配慮しながら低騒音・低振動の工法を用いて施工
――1号羽田線（東品川桟橋・鮫洲埋立部）更新工事について。現況は
高橋 現在は、上り線う回路は供用済みで、下り線は現道で供用中、JCTは今年の9月29日に通行止め解除済みで、更新上り線を施工中です。
――更新上り線の進捗は
高橋 桟橋部は更新桁がすべて架設済みで、橋面工を施工中です。鮫洲埋立部は本体施工を継続中です。東京2020大会までに更新上り線（暫定下り線）を供用できるように工事を鋭意しています。
東品川桟橋部の進捗状況
――これまでの工事で苦労した点と今後の課題は
高橋 現道の更新ということで、現道の交通に影響を与えないように施工しなければいけないという命題があるので、常に近接施工となります。高速道路はもとより、東京モノレールにも近接しているなかで施工をしているので、現道交通、モノレール運行に対して影響を与えないように細心の注意を払いながら施工していることが大きなところです。
上部工の施工
――あとはホテルやマンションなど住環境もあるので、騒音も気を付けないといけませんね
高橋 そうですね。昔は沿道も工場群みたいなところで居住者があまりいなかった場所でしたが、現在は高層マンションが林立していて、工事騒音に対しては丁寧な対応に努めました。現道脇の工事なので、高速規制をした夜間工事も伴うので、細やかな対応をしました。
――何デシベル以下といった騒音基準は決めていますか
高橋 極力影響を小さくするため、低振動機械を使用するなどの対策は講じています。具体的には、ワイヤーソーやゼロバイブロなどになります。横断する東京電力の洞道などが存在しますので、振動を与えて損傷させないように、摩擦を低減するものも使用しました。
――既存桟橋構造の基礎は残したままでよくなったのですよね
高橋 そうです。
――それだけでも楽になったという話を聞きました
高橋 桟橋杭は、協議を踏まえて海底面－10cm以深を残置としています。当然、構台基礎として用いた新たなものは全撤去ですが、桟橋杭だけで約1,200本ありますので、それを影響なく抜くというのは結構大変なことです。
――下り線での施工での配慮点は
高橋 さらにモノレールに近接した施工となるので、細心の注意を払うことが第一の命題です。
――下り線を桟橋みたいな形で使うのですか
高橋 現道の下り線の橋面を使いながら、施工していく形になります。引き続き、切り替え後の暫定下り線とモノレールに挟まった状態で施工をしていくので、また厳しい工事となります。
――新技術の採用は
高橋 鋼製橋脚の基部にステンレスライニングを採用していることに加え、脚柱部はAl-Mg溶射にフッ素樹脂塗装を使用した一般部よりグレードの高い塗装をしています。上部工には恒久足場を全面的に設置しています。
ステンレスライニング工を橋脚基部に施している
――足場はFRPですか
高橋 外板はステンレス仕様です。桟橋区間の橋梁区間約1.3kmにおいては、維持管理を考えてすべて恒久足場を設置します。
恒久足場の取り付け状況
鮫洲についてはPCプレキャストブロックを採用していますが、中空構造にして道路面の下面状況を確認できるようにしています。エポキシ樹脂被覆鉄筋も使用しています。
鮫洲ボックス部の施工
――コンクリートの塗装は。あるいは含浸材を塗布していますか
高橋 セグメント本体は行っていません。高欄は防水塗装を行っています。
――今後のプロジェクト予定は
高橋 新大宮上尾道路の新設や池尻三軒茶屋の更新・改築などになります。
――新大宮上尾について現在の首都高の担当部分は
高橋 基本的には当社の事業区分になっているところは、与野JCT部だけで、あとは薄皮です。与野JCTの延長は0.4kmです。
――ありがとうございました
（2019年11月20日掲載）
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