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インタビュー詳細

大規模修繕、リフレッシュを着実に進める

名古屋高速 設立50周年、供用40周年を迎えてどのように長寿命化を図っていくか

名古屋高速道路公社
整備部長
浅井 厚視 氏

 名古屋高速道路公社の新整備部長に浅井厚視氏が就任した。愛知県で道路建設、道路計画、都市整備に携わってきた新しい整備部長が、設立50周年、供用40周年を迎える名古屋高速道路において、大規模修繕やその他の保全をどのように行っていこうとしているのか、詳しく聞いた。(井手迫瑞樹)


2018年度末で5割弱が供用開始後20年以上経過

 雪氷対策も強化

 ――就任の抱負から

 浅井部長 名古屋高速道路公社(以下、「名古屋高速」)は来年、設立50周年を迎えます。また1979年7月25日に高速3号大高線の高辻~大高間が初めて初供用してから40年が経過します。その節目の年に整備部長として就任させていただきまして、大きな転換期にある名高速の現場を担うのだ、と気を引き締めています。計画自体は2013年11月に現在の整備計画延長である9路線81.2kmの供用を完了しました。そして、供用してから経過年数も増加しており、2018年度末時点で、81.2kmの約5割の37.9kmが供用開始後20年以上を経過している状況です。そのため、現在はお客さまの方に安全かつ快適に利用していただくため、日常的な管理はもちろん構造物の長寿命化に向けて大規模修繕を進めていくのが整備部として重要であると考えています。



大規模修繕計画と対象箇所(名古屋高速道路公社発表資料より抜粋)

 名古屋高速としては2019年度から2021年度までの3年間における中期経営計画を策定しました。まずはこの計画を着実に進めることが重要です。その中では大規模修繕を計画的に進めることが記載されています。大規模修繕については高速3号大高線、高速5号万場線などにおいて老朽化の進んだコンクリート床版の修繕を計画的に進めていきます。またどうしても都市高速ですから雪に弱いため、雪氷対策に力を入れたいと考えています。雪氷対策の強化については、5年前の2014年12月に、 3日間通行止めをせざるを得なかったという教訓を生かして、雪氷作業を効率的かつ迅速に行って、通行止めは極力回避したいと考えています。どうしても通行止めを行う場合でも、できる限り早期に通行止め解除できるように努めていきます。


 ――愛知県ではどのようなご経歴を重ねてこられたのですか

 浅井 入庁時は道路建設課に配属され、道路計画や道路建設関係に携わってきました。直近は都市整備課長ということで、街路や連続立体交差事業、都市区画事業を担当する部署にいました。

 ――雪氷対策を具体的に

 浅井 パトロールの増強や気象状況を注視するとともに、業者との協定を結んで雪氷に即応できる体制を整えることが1つあります。雪氷対策車両は、一昨年に6台ほど増強しており、高速出入口のランプ回りが弱点となるため、ランプ用の中型除雪車を装備しています。運よく、昨年、一昨年は本線通行止めが無かったのですが、これは平成に入って以降初の出来事です。通年は毎年1~2程度雪による通行止めが発生しています。


除雪車(名古屋高速道路公社提供)

 ――名古屋は太平洋側の都市高速なので、それほどの頻度で雪氷対策が必要になるとは思っていませんでした

 浅井 例えば高速16号一宮線の一部ではいわゆる伊吹おろしの影響を受け、降雪します。冬季の平均気温を東京、名古屋、大阪で比較すると、実は名古屋が一番低いのです。気温が低く、また鋼床版も多く採用していますので、路面が凍結しやすいという構造の特色があります。


構造物は高架構造が9割強を占める

 鋼鈑桁または鋼箱桁+RC床版が主、交差箇所で鋼床版箱桁

 ――構造物比率は

 浅井 高架構造が92%を占め、後は半地下構造とトンネル構造がそれぞれ4%となっています。


 ――橋梁が大半を占めますが、その特徴は

 浅井 路線ごとに申し上げますと、高速3号大高線は通常の鋼鈑桁+RC床版が大部分を占めており、一部鉄道や新幹線と交差する個所で鋼床版箱桁も採用しています。

 高速5号万場線も鋼鈑桁+RC床版で、ここも一部鉄道を跨ぐ箇所のみ鋼床版箱桁となっています。

 都心環状線は鋼鈑桁または鋼箱桁+RC床版構造が主ですが、大交差点を跨ぐ箇所を中心に半分程度で鋼床版箱桁を採用しています。

 高速1号楠線は、南部区間の平面街路の道路幅員が30mしかない箇所については、ダブルデッキ構造(2層構造)を採用しています。同区間の橋脚は当然ながら鋼製橋脚を採用しています。上部工形式も鋼床版箱桁を採用し軽量化しています。北部区間については、通常の1層構造ですので、鋼箱桁または鋼鈑桁+RC床版を採用しています。

 高速2号東山線は掘割構造、半地下構造とトンネル構造が主で、高針JCT部(名二環の手前)の料金所部分のみPC桁形式の高架構造となっています。

 高速11号小牧線は鋼箱桁+RC床版が主となります。高速16号一宮線についても鋼箱桁+RC床版が多く、大交差点を跨ぐ箇所など場所によっては鋼床版箱桁を採用しています。

 高速6号清須線は庄内川より南の区間は、鋼床版箱桁となります。庄内川渡河部は赤とんぼ橋という名称の橋長294.3mのPC3径間連続エクストラドーズド橋があり、その北側の区間は非合成鈑桁+鋼・コンクリート合成床版を採用しています。


赤とんぼ橋
(名古屋高速道路公社提供)

 ――都心環状線、高速5号万場線、高速3号大高線、高速1号楠線、高速2号東山線の一部など供用から20年以上が経過している路線のRC床版厚はどれぐらいでしょうか

 浅井 そうした区間のRC床版厚は200mm程度が主で、一部190mm程度の厚さのものもあります。主桁本数は(上下)分離桁だと4主、一体桁だと7主桁となっており、橋軸直角方向の床版支間は狭く、負曲げなどによる影響は出にくいといえます。


鋼床版でデッキプレート貫通亀裂はない
 溶接ビードから部材まで亀裂が進展しているものが一部ある

 ――同様に上記の路線の鋼床版厚は

 浅井 12mmのUリブタイプです。

 ――鋼、RC床版の損傷状況は

 浅井 鋼床版において、デッキプレート貫通亀裂は発見されていません。鋼床版箱桁部、例えばスティフナー上端部とデッキプレートの溶接部に亀裂が見られます。溶接ビードから部材の方まで亀裂が進展しているのも一部でありますが、数はそれほど多くはありません。

 RC床版の損傷は、大型車混入率が一割に満たず少ないため、疲労由来の損傷は高速3号大高線のごく一部でしか生じていません。基本的には上面の水による擦り磨き現象による損傷が大半を占めています。床版防水は高速16号一宮線以降、平成14年道示以降の橋梁には設置しておりますが、それ以前の橋梁は供用時に施工しておらず、リフレッシュ工事の際に防水工を施工しています。

小牧線のRC床版の損傷(井手迫瑞樹撮影)

万場線のRC床版の損傷
(左、井手迫瑞樹撮影、右、名古屋高速道路公社提供)

 ――2004年ごろに橋脚の一部でASRの疑いのある損傷が確認されましたが、現在そうした箇所で劣化が進行している箇所はありますか

 浅井 当時において防水や補強などにより対処しており、その後劣化の進行は見られません。

 ――床版防水が施工しにくく、構造上の弱点となる路肩コンクリートの撤去状況は

 浅井 名古屋高速ではすべての路線に路肩コンクリートがあり、高速1号楠線の下り側から路肩コンクリートを取るという方針を立てました。しかし実際にはリフレッシュ工事における施工期間は短いため、(水の影響が出にくい)勾配の高い側は残している箇所がある状況です。今年のリフレッシュ工事では都心環状線で路肩コンクリートの撤去を進めます。



路肩コンクリートの撤去(楠線)

高欄内側で塩害が生じているケースも

 被りが厚くなったはずの小牧線でも損傷

 ――路線によっては高欄内側のコンクリートが塩害による損傷しているケースも見られますね

 浅井 高速3号大高線のリフレッシュ工事では補修しましたが、それ以外の路線では特に単独で対策を講じることは行っていません。特に供用年次が古く、被りが薄い(鉄筋被り40mm程度)都心環状線や高速3号大高線、高速5号万場線などの一部で損傷が出ているほか、被りが厚くなった(同70mm)はずの高速11号小牧線でも損傷が生じています。

 対策としては断面修復後、表面被覆により塩分をシャットアウトするのが一番良いと考えています。高速3号大高線や高速5号万場線は(被り厚が)薄いのですが、以前表面被覆した区間ではその後変状は特に出ていません。

 高速11号小牧線に関しては、被りが厚いため塩害による損傷は出ないと考えていました。今にして思えば、建設時に表面被覆をしておけばよかったと考えています。

小牧線での高欄損傷

 本来はリフレッシュ工事で補修したいのですが時間的制約から難しくなっています。首都高速で導入されている夜間に路肩規制程度で吹付表面被覆できる工法も参考にしたいと思っています。

試験的に珪酸塩系含浸材を塗布して補修したケース

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