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インタビュー詳細

ミッシングリンク、都市の渋滞対策、災害時の冗長性確保

近畿地方整備局 道路整備は未だ不十分

国土交通省
近畿地方整備局
前 道路部長
橋本 雅道 氏

 国土交通省近畿地方整備局は、4843の橋梁、206のトンネルを管理している。両構造物とも供用年数50年以上を超えた箇所を多く抱え、20年後にはそうした構造物がトンネルで半数弱、橋梁では過半数をはるかに超えるため、その対策は待ったなしである。一方で、紀勢自動車道などミッシングリンクの対策や、大阪湾岸道路西伸部や淀川左岸線など都市部の渋滞対策は関西地域の経済を支え、発展させるためにこちらも焦眉の急といえる。そうした施策をどのように進めていくのか、同局の橋本雅道道路部長(取材時、7月9日に同整備局企画部長に転任)に聞いた。(井手迫瑞樹)


豪雨対策 柔軟な通行止めによるソフト対策

 ハード的な対応は時間が必要

 ――昨年の地震や豪雨・台風災害を鑑みて改めて道路管理者として感じたことは

 橋本 地震も他の災害も同じですが、以前から東南海トラフや、都市型で言えば上町断層の危険性については指摘されています。また、淀川をはじめとした流域における大規模な水害も起きる可能性があります。実際2011年には、紀伊半島で台風12号による大水害がありました。同水害をはじめとして、ここ10年以内でも近畿地方は多くの災害に見舞われました。そのたびごとに感じるのがネットワークの充実の大切さです。1本のラインが切れても大丈夫なように冗長性を確保して、支援を円滑にするためのネットワークの充実の必要性を痛切に感じます。

 さて、地震を例にとると、阪神・淡路大震災より後に耐震補強を進めてきた成果もあり、大阪北部地震時に起きた揺れでは橋梁に目立った被害はありませんでした。

 一方、水害では直轄においても法面などで崩れた場所がありましたし、雨量が事前通行規制の閾値を超えて長時間通行止めになった箇所もありますので、引き続き法面対策や雨量事前通行止め区間を解除するための改良などは必要であると考えています。

  道路網の充実や各種防災対策の進捗に加えて、日ごろからの適切な維持管理や老朽化などで必要であれば大規模更新などを行わなくてなりません。


 ――大規模更新といえば、現在進捗中の事業では淀川大橋が思い起こされますね

 橋本 同橋は幅員を3分割して施工しており、最終年度の現在は3分割の最後のブロック施工をしています。

 ――2019年度予算は

 橋本 本整備局の道路関係における今年度(2019年度)当初予算は約2,398億円(直轄1,814億円+補助584億円)です。ほか国庫債務負担工事(ゼロ国債)103億円を合わせると2,455億円に達します。18年度予算は約1857億円でしたので、およそ500億円の増です。


京奈和道路を昨年度事業化

 ミッシングリンクの解消も重要

 ――まず環状道路関連から

 橋本 近畿圏には、大阪を中心に京奈和や新名神を通る関西大環状道路、近畿道と中国道を通る関西中央環状道路、さらにその内側に大阪湾環状道路という3つの環状道路が計画されています。

 さらに都心再生環状道路といわれる第2京阪から延びる淀川左岸線及び延伸部、あるいは大和川線の事業が進捗中です。

 ――大環状の京奈和自動車道路から

 橋本 和歌山県域は全線開通し、現在、奈良県域に注力しています。同道路の一部となる大和北道路のうち最後まで残っていた(仮称)奈良北IC~(仮称)奈良IC間延長約6.1kmを昨年度事業化し、奈良県内の京奈和自動車道路は全線事業化となりました。本年3月10日には先行し事業化していた(仮称)奈良IC~郡山下ツ道JCT間の起工式を実施し、今年度は用地取得および改良工事を推進していきます。

 また、大和御所道路は、大和郡山市~五條市に至る27.2kmの道路ですが、既に約8割に当たる22.8kmが開通しています。今年度は残る区間の橋梁上下部工及び改良工事を推進していきます。

 ――大和北道路の構造物は。この辺りでは遺跡や文化財が出土する可能性がありますが

 橋本 (出土の)可能性は高いと思います。(仮称)奈良ICから北側はトンネル構造を予定しています。トンネルの延長は4.5㌔です。


 ――大阪湾環状道路関連は

 橋本 大阪湾岸道路西伸部があります。神戸市内の六甲アイランド北~駒栄間14.5kmに整備される道路で、2016年度に事業着手し、17年度に国土交通省と阪神高速道路による公共事業と有料道路事業による合併施行方式を導入し、18年12月には起工式を実施しました。今年度は橋梁設計、改良工などを実施すると共に陸上部の下部工に着手する予定です。なお海上部の橋梁形式については複数の斜張橋案を検討しており、年内に決める予定です。また、海上部に橋梁を渡すに際して航路の切り替えがセットになっており、既存の防波堤を撤去して、新しい航路を設置しなくてはならず、港湾部局が同工事を既に発注しています。

 ――淀川左岸線(2期)および延伸部、大和川線は

 橋本 大和川線は阪神高速と堺市と大阪府が合併施行しており、本年度末の供用を目指しております。左岸線2期については、現在大阪市と阪神高速で、2027年度の完成を目指して工事を進めています。延伸部については、近畿で初の大深度地下空間を活用したトンネル掘進工事であり、簡単な工事ではありませんが、鋭意進めていきます。


 ――高速道路ネットワークの拡充については

 橋本 近畿自動車道紀勢線の整備が進んでいます。

昨年度に(仮称)串本IC~(仮称)太地ICまでを延長18.4kmの串本太地道路として事業化でき、本年度は残っておりました新宮道路((仮称)新宮IC~(仮称)新宮北IC間)を事業化しました。また、中部地方整備局において(仮称)紀宝IC~(仮称)熊野ICの間も事業化されましたので、紀勢線についてはついに全線事業化にこぎつけました。これからは着実に予算を付けて、紀伊半島を一周する道路の完成供用に向けて工事を進めていきます。

 ――紀勢線で事業中の道路について進捗状況は

 橋本 串本太地道路は和歌山県東牟婁郡那智勝浦町八尺鏡野(やたがの)~同郡串本町鬮野(くじの)川に至る道路で、今年度は調査設計を推進します。

 すさみ串本道路は、東牟婁郡串本町~西牟婁郡すさみ町に至る延長19.2kmの道路事業で、昨年4月に起工式を実施し、本年度は橋梁下部工および改良工、トンネル工事を推進します。

 新宮紀宝道路は和歌山県新宮市~三重県南牟婁郡紀宝町に至る延長2.4kmの道路事業で、用地買収および橋梁下部工、改良工を推進します。

 新宮道路は調査設計を推進します。

 ――中部縦貫道路関連は

 橋本 福井県内の大野油坂道路(大野~油坂区間)の延長35kmについて工事を全面的に展開しています。事業は大野・大野東区間、大野東・和泉区間、和泉・油阪区間の3事業に分かれています。同事業はトンネルが多く、今年度はトンネルや橋梁上下部工および改良工を進めていきます。

 ――北近畿豊岡自動車道は

 橋本 豊岡市内で2つの道路事業を進めています。

 日高豊岡南道路(日高神鍋高原IC~(仮称)豊岡南IC間)の延長6.1kmについては、2020年度内の開通を目指し、橋梁上下部工及び改良工事を進めています。

日高豊岡道路祢布川橋上部工事/日高豊岡南道路竹貫川橋下部工事
(近畿地方整備局提供、以下注釈無きは同)


日高豊岡南道路山本高架橋上下部工事

 残る豊岡道路((仮称)豊岡南IC~(仮称)豊岡IC)は延長約2kmの道路事業で、昨年2月に起工式を実施しました。今年度は改良工、橋梁下部工を推進すると共に、上部工及びトンネル工事にも着手する予定です。


新規事業区間は3区間
 金津道路、井手木津川BP、新宮道路

 ――今年度の新規事業化区間は

 橋本 3事業あります。国道8号金津道路、国道24号城陽井手木津川バイパス、そして先ほど話した国道42号新宮道路です。

 ――国道8号金津道路は

 橋本 石川県境の福井県あわら市牛ノ谷~同市佐々岡間の防災対策、交通安全の確保などを目的とする延長4.3kmの道路事業です。今年度は調査設計を推進します。なお、連続する石川県側の国道8号でも北陸地方整備局において、牛ノ谷道路(延長4.6km)が新規事業化されました。

 ――国道24号城陽井手木津川バイパスは

 橋本 京都府城陽市富野長谷山~木津川市山上町上狛森ノ前に至る延長11.2kmの道路です。京都府南部の木津川右岸地域の国道24号における混雑の緩和、交通安全の確保、災害時の道路網強化などを図るための道路です。