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インタビュー詳細

調査・維持・補修ができる協会に

日本橋梁メンテナンス協会 阿部新会長インタビュー

一般社団法人
日本橋梁メンテナンス協会
会長
阿部 忠 氏

 埋設型ジョイント「MMジョイントDS型」などを展開している全国道路橋ジョイント業協会は6月20日に第6回通常総会を開催し、新会長に阿部忠氏(日本大学大学院非常勤講師/中国科技大学(台湾)講座教授)を選出するとともに、法人名を「日本橋梁メンテナンス協会」に変更することを決定した。協会名変更の狙いや同協会が展開する工法の特徴などについて、阿部新会長に聞いた。


 ――会長就任の経緯と抱負からお願いします

 阿部新会長 協会との関係は約6年前の千葉県の橋梁維持管理の講習会に遡ります。ここで協会の役員から技術的な顧問への就任を依頼され、1年後に就かせていただきました。私のそもそもの研究テーマは、ジョイント近傍の段差による床版端部の損傷でしたので、研究の対象が一致しました。

 ――会長に就任されて協会の名称を変更しました

 阿部 会員会社は、ジョイントの補修を行うだけでなく、道路区画線施工や舗装補修、床版の断面修復なども行っています。舗装面をつねに見ているわけですから、異常を早く発見できる立場にあります。早めに修繕すれば予防保全型でできますし、対策を役所に提案することも可能です。

 そこで、「日本橋梁メンテナンス協会」と名称を変更し、ジョイントを含めた“橋を守る”という視点から、調査・維持・補修ができる協会にしていきたいと考えています。ジョイントは、それ自体が損傷することもありますが、ジョイント前後のコンクリートが劣化して損傷することもあります。協会の持つ「MMジョイントDS型」や「SMジョイント(ゴム劣化取替工法)」とともに、私が鹿島道路や住友大阪セメントなどと共同開発した床版保守工法「EQM工法」、ジョイント近傍の後打ちコンクリート補修工法「EQM-J工法」を複合的に活用して、橋梁全体の補修補強を担う協会にできたら、と思います。

 ――具体的には

 阿部 MMジョイントDS型は、舗装と同様のアスファルト系材料で構成されている樹脂系の埋設ジョイントです。適用範囲は伸縮量40mm以下、遊間量75mm以下、施工幅300~400mm(標準幅400mm)、施工厚さ50~150mm(標準厚さ75mm)、斜角30°以下の伸縮量が比較的小さい橋梁です。舗装と一体化して施工できるため、段差が生じず施工性や維持管理性において優れています。また、樹脂ジョイントにありがちな温度依存性も少なく、わだちや段差、ひび割れを生じにくいジョイントです。しかし、そうしたジョイントを入れても、その下にある(ジョイントのベースとなる)床版端部や橋台と床版の境部のコンクリートが健全でなければ、結局のところ損傷を惹起してしまいます。



MMジョイントDS型構造概要図/施工例


 EQM-J工法は、コンクリート内部の微小なひび割れにも浸透して補修するエポキシ樹脂系浸透型接着剤「KSボンド」を塗布した後に、薄層の断面修復兼不陸修正材として低弾性ポリマーセメントモルタル「リフレモルセットSF」(8時間施工用)および「リフレモルセットSP」を打設する工法です。従来のコンクリートと異なり弾性係数を落としており、さらに割れを抑制するためにビニロン繊維を混入しています。これは30mm程度の厚さの不陸修正材として使用しても割れを生じません。

 これをMMジョイントDS型のベースおよび、既存のジョイントで衝撃による損傷を被っている前後2mの補修材として使うことで、橋梁で最も痛めやすい床版端部も含めたジョイント部の長期耐久性を飛躍的に向上させることができると考えています。

 ――協会ではSMジョイント工法も積極的に展開していますが、これについては

 阿部 小規模橋梁で設置されているゴムジョイントは、前後のコンクリートが劣化していないにもかかわらず、取り替える際に、そのコンクリート部を撤去し、ジョイントを再設置するケースがあります。SMジョイントは老朽化した伸縮ゴムだけを取り替える工法で、工期を従来の約2分の1に、直接工事費を最大約75%削減できます。伸縮性に優れた樹脂材を用いているため、伸縮性、止水性および耐久性に優れています。


SMジョイント工法施工写真


施工前              既設ジョイント材撤去      清掃


プライマー塗布          バックアップ材設置      樹脂材の攪拌


樹脂材充填             完成


 ――2018年度の実績は2017年度比117%となりました

 阿部 宮崎県では15m前後の橋梁についてジョイント取替の第一候補を埋設型としています。宮崎県管理の橋を走ってみると衝撃力がなく、走行性がいい。熊本や茨城、群馬も同様の施策を取っていると聞いています。また、北海道などの積雪が多いところは除雪の際にツメをジョイントにひっかけることもあります。それによって事故が起きます。MMジョイントDS型という埋設ジョイントではそれがありません。人命という最大のコストを払うことがなくなるわけです。

 ――ターゲットとなる管理者は

 阿部 ターゲットは地方自治体です。工法の規模の面から言っても当然だと思っています。そのためには会員を1県で1社は作り、自治体に提案ができるようにしなくてはなりません。ただ、加盟会社を募るだけではだめで、地元の役所にPRできるだけの技術力と工法への理解を深めることが必要です。加えて施工品質もさらに上げていく必要があります。商売のための協会ではなく、橋を守っていこうという気概を有した仕事をしていく姿勢を見せていくことが重要です。

 私は学問の世界に生きてきた人間ですからいわゆる「営業」はできませんが、材料の選定から施工の中身までを自治体の方に説明することはできます。そうした面で協会に寄与していければ、と考えています。

 ――ありがとうございました

(2019年7月3日掲載 聞き手=大柴功治)