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インタビュー詳細

別埜谷橋、双海橋で攻めの設計

NEXCO西日本 吉野川大橋下部工が最盛期

西日本高速道路株式会社
四国支社
建設事業部長
内野 雅彦 氏

 西日本高速道路四国支社は、高松自動車道路の4車線化事業、四国横断道の徳島東IC~徳島JCTの建設事業などを進めている。高松道は平成30年度内の全線開通を目指している。また、四国横断道は、吉野川の河口に巨大なPCラーメン箱桁橋を建設しており、当該橋梁形式としてNEXCOで初めて高炉スラグではなくフライアッシュを塩害対策に活用する方針だ。また、別埜(べっそ)谷(だに)橋では非鉄金属をPC鋼材、鉄筋代わりに用いたバタフライウエブ橋を採用。双海(ふたみ)橋では、バランスドアーチ形式を採用するなど攻めた設計を行っている。内野雅彦建設事業部長に詳細を聞いた。(井手迫瑞樹)



吉野川大橋 シギやチドリに配慮した施工が必要

 徳島東IC~徳島JCT4.7kmを整備

 ――所管事業の概要から

 内野 当支社は四国8の字高速ネットワークの整備を担当しています。

新設・改築事業として四国横断自動車道の徳島東IC~徳島JCT間4.7kmの新設事業と高松自動車道の鳴門~高松市境までの51.8kmの4車線化事業、高知ICの改築を担当しています。

 付加車線設置事業としては、徳島道の土成IC~脇町ICまでの7.5kmと松山自動車道の伊予IC~内子五十崎IC間6.3kmの事業を進めています。

 他、スマートIC設置事業として中山SIC、東温SICを担当しています。


 ――具体的にまず四国横断自動車道(徳島東IC~徳島JCT)新設事業からお願いします

 内野 四国横断自動車道(徳島東IC~徳島JCT)新設事業の正式路線名は、「四国横断自動車道 阿南四万十線」です。徳島平野を南北に横断するように徳島市北沖洲~同市川内町富久(徳島東IC~徳島JCT)までを通過する延長4.7kmを事業区間として、暫定2車線で整備しています。

 徳島平野は、吉野川の下流域に発達した沖積低地です。吉野川、旧吉野川及び今切川等によって形成された三角州低地からなっています。軟弱である沖積層の厚さは40m~50mに及んでいます。また、江戸時代以降に整備された干拓地及び埋立地も分布しています。

 構造物延長は土工部が2.9km(62%)、橋梁 が1.8km(38%)となっています。天候の影響を受けないことを前提に、2021年度末の完成を目指して事業を進めています。全ての工事に着手しており、吉野川両岸の陸上部下部工工事の2件が既に完了しています。稼働中工事は、土工3件、上下部工1件(吉野川大橋)、鋼上部工2件の計6件です。


吉野川大橋の現場施工状況(井手迫瑞樹撮影)

 同区間は、南海トラフ地震による津波発生時において、地域防災力向上の観点から、自治体との協定により、4.7kmの事業区間の中に3か所の津波避難場所を整備する予定です。

 土工については、地勢的特徴でも触れたとおり、軟弱な沖積層上に盛土施工をすることから、盛土本体の安定、地盤の圧密沈下、周辺地盤への影響が懸念されるため、プレロード工法による軟弱地盤対策などを行いながら工事を進めております。

 橋梁については、吉野川河口部に建設します「吉野川大橋」など全部で4橋(ほか宮島江湖川橋、徳島ジャンクションBランプ橋および同Dランプ橋)の施工をしています。

 橋梁は吉野川大橋が1696.5mのPC15径間連続ラーメン箱桁橋、宮島江湖川橋は上下で橋長が異なっており、上り線が93m、下り線が90m、Bランプ橋は375.5m、Dランプ橋が66mです。

 特に吉野川河口部周辺には、多種多様な希少生物や渡り鳥のシギやチドリが飛来する重要な湿原もあることから、環境保全にあたり専門家から必要な指導を得るための「四国横断自動車道 吉野川渡河部の環境保全に関する検討会」を設置し、関係機関と調整を図りながら環境保全と事業の両立に向けて工事を進めております。


各事業の橋梁リスト(西日本高速道路四国支社提供、以下注釈無きは同)

軟弱地盤対策 プレロードに5~6か月かける

 ――土工部のプレロード工法、軟弱地盤対策についてもう少し具体的に述べてください。こうした沿岸部の平野に沿ってはしる土工部の沈下は、有明海沿岸道路など建設時だけでなく、供用後も沈下に悩まされることがあるので注意が必要だと思いますが

 内野 プレロード工法は基本的には載荷盛土であり、概ね5~6ヶ月かけて施工を行います。地盤改良工法としては深層混合処理を行う箇所も当然あります。現地の地盤を精査して、矢板による縁切り(ネガティブリフレクションなどの対策)も必要があれば行います。

 ――吉野川大橋の基礎も軟弱地盤地帯に位置しますが何らかの特別な対策を行っていますか

 内野 鋼管矢板井筒基礎を採用して対応しています。具体的には後でお話しします。


約14,000のため池群を通過する高速道路

 高松道4車線化は今年度末の供用

 ――高松自動車道(鳴門IC~高松市境)4車線化事業は

 内野 当該路線は、鳴門市撫養町木津~高松市前田東町間延長51.8kmが事業区間です。瀬戸内式気候に属しており、瀬戸内海を望む平坦な讃岐平野及び和泉層群で構成される標高600m~1,000mの讃岐山脈を貫く路線です。特に香川県内においては、約14,000ものため池が点在し、農耕地域の水資源として活用されている箇所を通過しています。

 地盤については引田(ひけた)ICから東の区間は和泉層群(白亜紀末期の海成堆積物で形成、砂岩と泥岩の互層構造が特徴)となっており、流れ盤のようなところで切ってしまうと滑ってしまうので、切土には注意して施工を進めました。

 他の4車線化事業と共通する課題ですが、供用路線が近接していることから、目隠しネットや仮設防護柵を設けてお客さまへ配慮するとともに、関係機関や地元住民の皆さまにご協力いただきながら、工事の影響が最小限となるように、舗装及び施設工事を進めております。

 構造物延長は土工が38km(73%)、橋梁6.8km(13%)、トンネル7.0km(14%)となっています。今年度内の全線完成を目指し、鋭意工事を進めています。橋梁は37橋、トンネルは8箇所となっています。

南唱谷トンネル付近

 既に構造物本体の工事を完了しており、現在は残る施設、舗装工事を進めています。

トンネル一覧

 ――以前、現場取材させていただいた時にコンクリート製の仮設防護柵を設置している現場を見ましたが、非常に頑丈に見え、作業の安全に寄与しているように感じました。こうした防護柵は、ほとんどの現場で採用しているのですか

 内野 お話の通り、作業の安全に大きく寄与するところですので、できる限り設置するようにしています。


高知IC改築 土佐国道事務所と連携しながら施工

 既設出入り口の中間に新たな入出路を建設予定

 ――高知IC改築事業は

 内野 国土交通省土佐国道事務所において事業が進められている高知東部自動車道との接続に伴い、高知ICの構造の一部を改築する事業であり、高知東部自動車道とのネットワーク構築に向けて、土佐国道事務所と連携を図りながら、事業を展開しております。改築事業の内容としては、既設料金所の入口と出口の間に高知東部自動車道が直結するような形で新たな入出路を整備する事業です。

 接続する高知東部自動車道事業の進捗に合わせ、舗装及び施設工事の発注準備を進めているところです。盛土構造で橋梁やトンネルといった構造物はありません。