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13路線917km、465橋と14トンネルを管理

2019新春インタビュー② 網走開建 高速ネットワーク系で2路線、防災系で2路線の整備を推進

国土交通省
北海道開発局
網走開発建設部長

渡邊 政義

公開日:2019.01.01

橋梁465橋とトンネル14箇所を管理
 供用後50年以上経過した橋梁は約28%

 ――保全についてお聞きします。管内の橋梁の内訳を橋種別、橋長別、供用年次別、路線別で教えてください
 渡邊 当建設部では465橋を管理しています。橋種別では鋼橋213橋、PC橋164橋、RC橋88橋となっています。橋長別では15m未満が161橋、15m~100m未満が247橋、100m以上が57橋です。最長は国道39号(北見国道)の常呂川渡河部に架かる端野大橋(昭和61年供用、3径間連続非合成鈑桁)で452.7mを誇ります。
 供用年次別では50年以上経過している橋梁が133橋(28.6%)、30年~50年未満が154橋、10年~30年未満が88橋、10年未満が90橋となっています。10年後に供用50年を超える橋梁の割合は54.0%、20年後には61.7%、30年後には71.2%に達します。路線別では国道39号が最も多く76橋を占めます。次いで国道238号(オホーツクライン)が68橋、国道333号が47橋となっています。


橋種別橋梁数

橋長別橋梁数

供用年次別橋梁数

路線別橋梁数

 ――トンネルの内訳は
 渡邊 14箇所を管理しており、工種別では在来工法が2箇所、NATM工法が12箇所です。延長別では国道333号の新佐呂間トンネル(平成21年3月14日開通)が最長で4,110mに達します。なお、同トンネルでは施工時期に起きた、工事とは関係のない竜巻で現場副所長ら9人が亡くなるという痛ましい自然災害が起きています(編集部注:『平成18年11月北海道佐呂間町竜巻緊急災害調査報告書』(土木学会)https://www.jsce.or.jp/report/40/files/saroma_report.pdf。次いで1,000m~2,000m未満が4箇所、500m~1000m未満が4箇所、300m~500m未満が4箇所、300m未満が1箇所となっています。
 供用年次別では10年以上、同年未満ともに7箇所ずつで、平均供用年数は13年です。最も古いトンネルは国道334号のオシンコシントンネルで、20年後に供用50年を超える割合は14.3%となります。路線別では国道333号と国道39号北見道路が各5箇所、国道334号が2箇所、国道242号、国道450号旭川紋別道が各1箇所です。


工種別トンネル数

延長別トンネル数

供用年次別トンネル数

路線別トンネル数

点検済み橋梁の5割以上が健全度判定区分Ⅰ
 版厚が薄いRC床版で上面のひび割れ、土砂化などの損傷が発生

 ――橋梁とトンネルの定期点検結果を教えてください
 渡邊 平成29年度までに橋梁347橋、トンネル12箇所が点検済みとなっています。橋梁では、健全度判定区分Ⅰが190橋(54.8%)と最も多く、Ⅱ(予防保全)が124橋(35.7%)、Ⅲ(早期措置)が33橋(9.5%)です。トンネルでは、Ⅱが10箇所(83.3%)で、ⅠとⅢが各1箇所です。橋梁、トンネルともに緊急措置段階のⅣ判定はありませんでした。
 ――点検を進めてみての劣化状況は
 渡邊 昭和53年以前の鋼橋は版厚が薄いRC床版(180mm程度)で、荷重増加による劣化が進行していて、上面のひび割れ、土砂化、鉄筋露出などが生じています。事例としては国道39号の泉跨線橋、国道333号の敷島橋があり、両橋とも通行の安全性は確保しましたが、今後も状態を注視するとともに、抜本的な対策について検討を進めてまいります。


RC床版の損傷状況

 PC橋では伸縮装置の漏水によって、PC定着部より雨水がシース内に浸入し、グラウト未充填部のPC鋼材の腐食や凍結による損傷が発生するとともに、支承腐食も生じています。事例としては国道242号の開盛橋や社名渕橋があります。



PC橋の損傷状況

 RC橋においても伸縮装置の漏水により、支承の腐食や機能障害が進んでいて、国道39号の恵泉橋や国道242号の淀橋が該当します。



RC橋の損傷状況

 部位別では、主桁については伸縮装置からの漏水による桁端の損傷が鋼橋・コンクリート橋問わず進行しています。床版は調整コンクリートの経年劣化による土砂化や、雨水浸入による床版上面の凍害劣化が発生しています。橋台・橋脚では伸縮装置からの漏水による橋座面の凍害の発生、地覆では埋込式の防護柵支柱の根元への雨水浸入による凍害によって、せん断ひび割れが発生しています。防護柵においても埋込式の支柱下端が腐食により断面欠損している事例が見られます。
 トンネルの主な劣化状況としては、覆工表面コンクリートの剥落がもっとも多く、次いでひび割れ損傷が多くなっており、一部でですが覆工面からの漏水も見られます。対策としては、剥落防止シート(可視繊維シート)の施工およびひび割れ注入による補修を実施、漏水については漏水防止板(面導水)を施工しています。


損傷状況(はく落および漏水)

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