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インタビュー詳細

平成30年7月豪雨からの復旧

2019新春インタビュー④ NEXCO西日本中国支社 中国道と広島呉道路では砕石盛土でのり面再構築

西日本高速道路株式会社
中国支社
保全サービス事業部長
久米 富美男 氏

 日本全国に大きな被害をもたらした平成30年7月豪雨。とくに中国地方では河川の氾濫や土砂災害により甚大な被害が生じた。西日本高速道路(NEXCO西日本)中国支社が管理する高速道路と一般有料道路も最大で全管理延長の約68%にあたる718kmが通行止めになり、20箇所が被災した。7月豪雨時の中国支社の初動対応から復旧作業状況までを、久米富美男保全サービス事業部長に聞いた。


災害対策本部は最大で40人を超える規模に

 被災状況の把握にドローンを活用

 ――平成30年7月豪雨における中国支社での初動対応を教えてください

 久米部長 高速道路の通行止め解除までを初動対応として、①本部体制の構築、②積極的な広報活動、③点検と応急復旧計画の策定、④交通路確保に向けた応急復旧作業を行っています。

 本部体制の構築では、支社管内全域で激しい降雨となる気象予測が出ていましたので、まず7月5日11時から警戒体制に入りました。その後、気象予測どおりの激しい降雨が続き、中国道で降雨基準が超過したことによる通行止めを実施し、さらに管内の他の路線も今後、通行止めに至るような降雨が予測されたことから、5日17時に緊急体制に移行しました。その後も連続的に大雨が降り続き、管内の広範囲で通行止めとなり、高速道路区域外から本線に土石流が流入したとの情報も入ってきました。よって、その社会的影響の大きさから、8日8時35分に非常体制に移行し、災害対策本部を立ち上げました。この非常体制は支社の体制として最大のものです。

 ――災害対策本部の規模は

 久米 災害対策本部は保全サービス事業部を中心として支社の全部門を対象として班編成されますが、立ち上げ当初は緊急的に、支社にいるすべての人員で対応しながら体制を構築していきました。応急復旧にあたっては、リエゾン派遣としてNEXCO西日本の本社の人員、中国地方整備局と中国電力の方、さらにゼネコンの指揮官となる責任者、グループ会社である西日本高速道路メンテナンス中国、西日本高速道路エンジニアリング中国にも本部に常駐してもらい、最大で40人を超える規模となりました。このような体制により、的確で迅速な情報共有と意思決定、応急復旧の作業指示を行うことができました。



災害対策本部(NEXCO西日本中国支社提供、以下注釈なきは同)


 ――広報活動では

 久米 中国地方整備局と連携を図りながら、5日から6日にかけて不要不急の出控えを呼びかける広報を実施しました。また、通行止め情報に加えて、通行止め可能性区間とその開始予測時間をWEBサイトなどでユーザーの方に積極的に告知しました。



7月5日17時30分に告知された通行止めの可能性のある区間


 ――点検と応急復旧計画の策定では

 久米 点検と応急復旧計画の策定にあたっては早急に現地状況を把握する必要がありましたが、被災箇所が広範囲に渡りましたので、全体状況を確認するためにヘリコプターとドローンを活用しました。あわせて、現地での点検作業も実施しています。



ドローンによる被害状況の把握


 ――点検作業はいつから開始したのでしょうか

 久米 6日夜には被災状況が判明してきましたので、7日朝から点検作業者の安全に配慮しながら開始しています。

 ――ドローンの使用台数は

 久米 西日本高速道路エンジニアリング中国所有の2台です。

 ――交通路確保に向けた応急復旧作業では

 久米 関係機関の国や県などと情報共有を密に図りながら、道路啓開の順番や施工の段取りを調整しながら応急復旧を行っていきました。作業は昼夜連続で行い、NEXCO東日本、NEXCO中日本からも応援を頂いています。具体的には、NEXCO東日本からは延べ人数で161人、ダンプトラック21台(延べ102台・日)、NEXCO中日本からは述べ人数で268人、ダンプトラック18台(延べ84台・日)、ユニック車3台(延べ18台・日)、グラップル7台(延べ41台・日)、二ブラ2台(延べ16台・日)の派遣をいただきました。



NEXCO東日本・中日本から派遣された重機


管内の通行止めは最大で718kmに

 山陽道と中国道、ネットワーク効果を発揮

 ――最大通行止めのキロ数と道路数、また各道路における通行止めキロ数、および全通した日時を教えてください

 久米 最大通行止めキロ数は8道路で718kmとなりました。これは支社の全管理延長1,054kmの約68%に達するものでした。道路別では、山陽道が約285km、中国道が約237km、岡山道が約43km、広島岩国道路が約15km、米子道が約66km、浜田道が約39km、広島道が約14km、広島呉道路が約15kmでした。

 全通は、中国道が通行止め後3日と16時間後の7月9日8時19分、岡山道が同3日と18時間後の7月9日12時32分、山陽道が同8日と10時間後の7月14日6時、広島呉道路が同82日と20時間後の9月27日15時となりました。

 ――通行止めの影響と迂回路の対策について

 久米 通行止めの影響が極力出ないように事前に広報活動を積極的に行ったため、通行止めによる影響は少なからず抑制できたと考えています。あわせて、国等の関係機関との連携を密に図り、周辺道路の状況を鑑みながら迂回路等の調整を行いましたので、広範囲で高速道路が通行止めになりましたが、その影響は可能な限り抑制できたものと考えています。

 山陽道と中国道というふたつの主要路線が6日6時から同時に通行止めとなり、その社会的な影響の大きさと作業における二次的被害の防止を考慮しながら、啓開作業を実施しなければなりませんでした。

 山陽道では緊急車両等の通行確保を第一に、中央分離帯の開口部を活用し、片側交互通行や対面通行で最低限1車線を確保する形で、通行止め開始後約3日で緊急車両等の通行を確保しました。

 中国道では7月9日8時19分に北房IC~新見IC間を対面通行という形で通行止めを解除しています。このように山陽道よりも先に中国道の通行止めを解除することにより、山陽道の迂回路として岡山道や広島道を経由することで、中国道を広域迂回路として活用していただけました。



山陽道 河内IC~広島IC通行止めにともなう広域迂回路


 ――山陽道と中国道というダブルネットワークがあったからこそですね

 久米 被災後の山陽道、中国道、山陰道の平均交通量からもネットワーク効果が発揮されたことがわかります。平成29年7月の平均交通量は、山陽道4.4万台、中国道0.5万台、山陰道1.3万台でしたが、豪雨後に中国道の通行止めが解除された10日~12日の平均では山陽道3.4万台、中国道2.4万台、山陰道1.2万台となりました。中国道は平常時の約5倍(大型車は約10倍)の交通量となり、迂回路としての機能を果たしていたことがわかります。



山陽道・中国道・山陰道の交通量推移(国土交通省HPより抜粋)


 ――広島呉道路での迂回路対策は

 久米 広島呉道路は、仁保JCT~坂北ICを除く区間(7月13日18時通行止め解除)が7月8日19時から9月27日15時の約3カ月間通行止めとなりました。並行するJR呉線、国道31号も被災しましたが、国道31号が7月11日23時から現道を海側に切り替える形で仮設迂回路を設けていただきましたので、並行する通行止め区間の坂南IC~天応西IC間では国道31号を使用した代替バス運用を7月17日5時から開始しました。また、7月17日から9月27日においては山陽道の広島IC~高屋JCTと東広島呉道路を活用して広域迂回を料金調整を活用しながら実施しました。



山陽道(広島IC~高屋JCT)と東広島呉道路を活用した料金調整をともなう広域迂回